eぶらあぼ 2015.10月号
61/253

58ハルトムート・ヘンヒェン(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団重厚な名曲を名匠で聴く不変の醍醐味文:柴田克彦ハバネラ サクソフォン・カルテット & ブルーオーロラ サクソフォン・カルテットサクソフォンの新時代を宣言文:オヤマダアツシ#92 多摩定期演奏会10/24(土)15:00 パルテノン多摩問 チケットパルテノン042-376-8181#548 定期演奏会10/25(日)14:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス  03-5610-3815http://www.njp.or.jp 正統派の名曲を正統派の演奏で堪能するのは、音楽鑑賞の基本であり究極でもある。ハルトムート・ヘンヒェン指揮する新日本フィル定期のブラームス・プログラムは、まさしくそれだ。ヘンヒェンは1943年ドレスデン生まれの名匠。ネーデルラント・フィルやネーデルラント・オペラ等のシェフを歴任し、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウ管等にも客演を重ねている。そして実は日本でも引く手数多の存在。メンデルスゾーン「エリア」や「第九」など、紀尾井シンフォニエッタの重要公演を再三受け持っているほか、新国立劇場の《ヴォツェック》や、読響などへの客演で好評を博し、新日本フィルでは、今年3月にモーツァルトの三大交響曲や「レクイエム」で造型確かな演奏を聴かせたばかりだ。これは本場の正統派が強く望まれていることの証しでもある。特に彼の強みはオペラの手腕。近年も、スカラ 次々に若い世代の新しい四重奏団が登場するサクソフォン・シーンだが、そうした中で卓越した演奏テクニックを駆使し、真にクリエイティヴな音楽活動を行っているアンサンブルと言えば「ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット」だろう。平野公崇、田中拓也、西本淳、大石将紀という、個々でも活躍する4人が集合してサクソフォン・カルテットに新しい可能性をもたらしたが、そのもっとも新しい成果が『和楽』というCDになってリリースされる。 雅楽や津軽三味線、山田耕筰の愛唱歌などから、ドビュッシーやホルストが作曲した日本がらみの作品、さらにはサクソフォン四重奏の人気作品として注目される坂井貴祐と鈴木歌穂の曲などを収録したこのCD。サクソフォンという楽器でどこまで「和」の精神や情景を表現できるのか? という模索の到達点であり、即興演奏なども含めた多彩なアイ座の《さまよえるオランダ人》、英国ロイヤル・オペラの《サロメ》等々、第一線の舞台で活躍している。今回のブラームスの交響曲第1番では、こうした実績と相まってのドラマティックな表現力と堅牢な構成力が最大限に発揮される。 もう1曲はヴァイオリン協奏曲。ソロを弾く韓国系ドイツ人、クララ=ジュミ・カンは、2010年インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール優勝など数々の受賞歴をもち、バレンボイムから「間違いなく後世に名を残す演奏家ディアによって「日本人だからこそできるサクソフォン四重奏」を実現している。 その活動の一端を披露してくれるのが、フィリアホールや神戸文化ホールで行われるコンサート。ブルーオーロラの演奏が聴けるのはもちろん、いくつもの国際コンクールを制して現代サクソフォン四重奏の最高峰に君臨する、フランスの「ハバネラ サクソフォン・カルテット」が来日してジョイント公演を行う。さらに、「ハバネラ」のみの単独公演も開催される。最先端の選曲と演奏で聴き手を圧倒してくれるはず。ピアソラや真島俊夫、平野公崇による作品などが並ぶ中、圧巻なのは2つのグループによるサクソフォン八重奏だろう。予想もつかない響きが生まれ、まさに新時代を宣言するようなコンサートになるはず。この楽器のファンや演奏者であるならスケジュール最優先で駆けつけるべきだ。となるだろう」と絶賛された逸材。その鮮やかなテクニックと艶やかな音色で、この名作を満喫させる。 熟達の棒と鮮烈なソロで、ブラームスの真髄を聴こう!クララ=ジュミ・カンジョイント・コンサート10/22(木)19:00 神戸文化ホール(中) 問 神戸文化ホールプレイガイド078-351-334910/24(土)19:00 フィリアホール 問 フィリアホールチケットセンター045-982-9999ハバネラ サクソフォン・カルテット 単独公演10/23(金)19:00 フィリアホール 問 フィリアホールチケットセンター045-982-9999CD『和楽』オクタヴィア・レコードOVCC-00117¥3000+税ハバネラ サクソフォン・カルテットブルーオーロラ サクソフォン・カルテット©ノザワヒロミチ(CAPSULEOFFICE)ハルトムート・ヘンヒェン

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です