eぶらあぼ 2015.10月号
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48クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮) 東京交響楽団話題の新鋭指揮者&ソリストが描く鮮烈な響き文:飯尾洋一リッカルド・ムーティ(指揮) シカゴ交響楽団ムーティとスーパー・オーケストラが繰り出す黄金のサウンド文:江藤光紀第634回 定期演奏会10/17(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511第92回 新潟定期演奏会10/18(日)17:00 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館問 りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-55212016.1/18(月)、1/19(火)各日19:00 東京文化会館  10/3(土)発売問 NBSチケットセンター03-3791-8888 http://www.nbs.or.jp 東京の音楽シーンを彩る若手指揮者たちのなかでも、とりわけ注目に値するのが東京交響楽団の首席客演指揮者、クシシュトフ・ウルバンスキではないだろうか。1982年、ポーランド生まれ。昨年はベルリン・フィルの定期演奏会にデビューを果たした。現在、アメリカのインディアナポリス交響楽団音楽監督、ノルウェー・トロンヘイム交響楽団首席指揮者を務め、2015/16シーズンからは北ドイツ放送交響楽団首席客演指揮者に就任。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍ぶりだ(しかもイケメン!)。 そのウルバンスキと東京交響楽団が10月の定期演奏会で披露するのは、ブラームスの「悲劇的序曲」、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」(独奏:ステファン・ジャッキーヴ)、ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」(1945年版)の3曲。リハーサルの段階からスコアを暗譜して臨むというウルバンスキは、作品を一から洗い直すことで、慣習にとらわれない清新な シカゴ交響楽団と言えば、アメリカを代表するオーケストラにとどまらない。力強く輝かしい金管を軸に、名手ぞろいの木管、しっとりと潤いのある弦楽器がブレンドされ、まさにベルリン・フィルやウィーン・フィルと並ぶ世界最高峰のオーケストラの一つだ。そのシカゴ響が来年1月、音楽監督リッカルド・ムーティと共に7年ぶりに来日する。 ムーティとシカゴ響との関係には30年近いブランク期間があった。しかし、長らくスカラ座を率いてきたムーティが2005年に同劇場を辞したのを期に、シカゴ響からのラブコールにより幾度かの共演を経て、10年には音楽監督に就任。現在は20年までの延長も発表され、関係が良好なことをうかがわせる。 ムーティは緩みなく明快な語り口で曲にずばっと切り込む指揮者。そのリードには独特の厳しさが漂い、指揮台に立つだけでその場の空気が締まる。シカゴ響のパワフルな音作りがムーティのカリスマ性と融合反応を見せ、ダイ音楽を作り出してきた。今回も発見の多いコンサートになることだろう。「火の鳥」は人気の高い1919年版ではなく、後年に改訂された1945年版を選んでいるあたりも、ウルバンスキなりの理由があってのことか。ナミックな公演になることは必至だ。すでに両者の優れた録音が幾つかリリースされているが、ムーティの芸風にも晩年時代ともいうべき風格が感じ取れるようになってきた。6年の共業を経て練り上げられたスタイルを、ぜひともご自身の耳で確かめてほしい。 東京では2公演が予定されており、1月 モーツァルトで独奏者を務めるジャッキーヴは、1985年ボストン生まれの新鋭。こちらも若い。すでにボストン交響楽団やシカゴ交響楽団などアメリカの名だたる有力楽団と共演を果たしている注目株だ。大いに期待したい。クシシュトフ・ウルバンスキ © Ole-Einar Andersen and Adresseavisenリッカルド・ムーティ Photo:Todd Rosenbergステファン・ジャッキーヴ© Lisa Marie Mazzucco18日はベートーヴェン「運命」、マーラー「巨人」の組み合わせ。翌19日にはプロコフィエフ「古典交響曲」、ヒンデミット「弦楽と金管のための協奏音楽」といった20世紀モダンの古典的名曲の後に、チャイコフスキー「交響曲第4番」が続く。オーケストラの醍醐味を心ゆくまで味わえる選曲だ。

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