eぶらあぼ 2015.10月号
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307牧阿佐美バレヱ団 創立60周年記念公演シリーズⅣ『ジゼル』『牧神の午後』バレエ団の代表作と未来へつながる新作を文:守山実花ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエーレオニード・ヤコブソン記念ー年末は贅沢なロシア・バレエを堪能文:石村紀子10/15(木)19:00 文京シビックホール問 牧阿佐美バレヱ団公演事務局0570-03-2222 http://www.ambt.jp『くるみ割り人形』12/19(土)、12/20(日)各14:00 東京国際フォーラム ホールA12/23(水・祝)14:00 めぐろパーシモンホール12/24(木)18:30 オリンパスホール八王子※全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。『親子で楽しむ年末バレエ・ガラ・コンサート』12/26(土)、12/27(日)各14:00 東京文化会館問 光藍社チケットセンター050-3776-6184 http://www.koransha.com 2016年、創立60周年を迎える牧阿佐美バレヱ団は、今春から60周年記念公演シリーズを上演中だ。10月に上演するのは、ロマンティック・バレエの代表作で三谷恭三芸術監督の演出・改訂振付による『ジゼル』と、ドミニク・ウォルシュ振付『牧神の午後』日本初演。 『ジゼル』においてアルブレヒト役を踊ってきた三谷が目を向けたのは、粗野な敵役として描かれることの多いヒラリオンの人間的な側面だ。親しい友人もいて、信頼もされているヒラリオンなのに、届かないジゼルへの想いにより自らを追い詰め、別の顔をのぞかせていく。09年の上演ではヒラリオンを魅力的に踊った菊地研の演じるアルブレヒトと、進境著しいラグワスレン・オトゴンニャム演じるヒラリオン、この2人がジゼルをめぐり対峙し、火花を散らす。 ジゼル役は、表現力に進化をみせる青山季可。前回の上演では、壊れやすい心、アルブレヒトを守り抜く凛とした 数々の名作古典バレエが生まれたロシアの文化芸術の都、サンクトペテルブルグ。この地に1966年に誕生したロシア国立サンクトぺテルブルグ・アカデミー・バレエは、比較的新しいバレエ団でありながら、ロシア・バレエの伝統である正統派クラシック・スタイルを忠実に守り続けており、日本でも来日の度に高い評価を受けている。現在、芸術監督を務めているのは、マリインスキー・バレエでプリンシパルとして活躍したアンドリアン・ファジェーエフ。理想的なダンスール・ノーブルであった彼が団を牽引するようになって早4年。深化した優雅さに溢れる“サンクトペテルブルグ様式”の踊りに期待したい。 4年ぶり7回目の来日となる今回は『くるみ割り人形』を上演する。日本ではマリー(クララ)は子役が演じ、金平糖は大人の別のダンサーが踊る版が上演されることが多いが、今回上演されるのは、マリーと金平糖を一人のダン意思を見せた青山は、今回どのようなジゼルを描き出すのだろう。ミルタには、恵まれたプロポーションの久保茉莉恵が配されている。 新作『牧神の午後』は自身のコンテンポラリー・ダンス・カンパニーで次々と作品を発表しているウォルシュによる。サーが通して踊るワイノーネン版で見応えたっぷり。優雅さと気品に満ちた夢の世界を堪能できるはずだ。 また、今回は特別企画として『親子で楽しむ年末バレエ・ガラ・コンサート』も上演。人気演目の名場面ばかりを集めた公演で、大人も子どもも楽しめると人気のシリーズだ。司会によるあらすじや見どころ解説が付くなど、初めてバレエを鑑賞する子どもでもわかりやすいので、バレエのファースト鑑賞にうってつけ。贅沢なロシア・バレエに浸る年末を過ごしてみてはいかがだろうか?節目の記念公演シリーズにおいて、未来へつながる新作を上演するところに、創作バレエにも注力し、ローラン・プティ、ナチョ・ドゥアトらの作品をいち早くレパートリーとしてきたバレエ団の心意気がよく現れているのではないだろうか。『ジゼル』より ©鹿摩隆司『くるみ割り人形』より

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