eぶらあぼ 2015.10月号
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208CDCDCDシューベルト:「白鳥の歌」/里井宏次&ザ・タロー・シンガーズ札響アーカイブ・シリーズ第1期-3 1970/アルゲリッチ、シュヴァルツ&札響ショパン:ピアノ・ソナタ第2番・第3番/中井正子Blue Rondo/須川展也シューベルト:「白鳥の歌」、楽興の時第3番、夜と夢(以上パブロ・エスカンデ編)、憩いなき愛(クリトゥス・ゴットヴァルト編)、野ばら、魔王(以上千原英喜編)、天使の合唱/ブラームス:「13のカノン」より「もの憂い恋の恨み」里井宏次(指揮)ザ・タロー・シンガーズプロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」・第38番「プラハ」ペーター・シュヴァルツ(指揮)マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)札幌交響楽団ショパン:ピアノ・ソナタ第2番「葬送」・第3番、幻想曲、幻想ポロネーズ中井正子(ピアノ)ブルーベック(挾間美帆編):トルコ風ブルー・ロンド/加藤昌則:ソナタ・ルシーダ、オリエンタル/挾間美帆:サクソフォン・ソナタ第1番/ピアソラ:「タンゴの歴史」よりカフェ1930・ナイトクラブ1960 他須川展也(サクソフォン)小柳美奈子(ピアノ)奥村愛(ヴァイオリン)鈴木大介(ギター)収録:2014.11/9、トッパンホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードEXCL-00097 ¥3000+税収録:1970.1/24,2/12,4/14、札幌市民会館(ライヴ)TOWER RECORDS/フォンテックTWFS-90005 ¥2200+税コジマ録音ALCD-7191 ¥2800+税Imagine Best CollectionIMGN-3004 ¥2778+税関西拠点のプロ合唱団による、シューベルト三大歌曲集の無伴奏合唱版完結編。編曲は「冬の旅」「水車屋」の千原英喜から、アルゼンチン人作曲家パブロ・エスカンデに交代。旋律線をただ多声化するのでなく、ドイツリートの特徴である表現豊かなピアノ伴奏も声で置き換えている。収録の「魔王」にも聴かれる、千原版で用いられていた擬音などは用いず、その意味で原作により忠実。14曲中6曲が移調されているが、連作を意図していないこの歌曲集なら違和感はない。有名な〈セレナーデ〉など楽しく、楽譜が出版されればアマチュアにも定着するのでは。(宮本 明)1970年、札幌交響楽団と若きアルゲリッチが共演した貴重な記録。ピアノの音が克明に収められ、天才の圧巻のパフォーマンスが眼前に迫ってくる。強靱なタッチ、切れ味、推進力、いずれもケタ違い。強い求心力を発揮するソロに、61年の創立からわずか10年目の札響がすばらしいサポートを実現。見事に合わせるのみならず、一瞬の閃きを楽しみ、共に名演を作り上げていることは見逃せない。モーツァルトも一音一音歌い込まれ、練られた音色としなやかな表現を聴かせた好演で、楽団の充実が伝わる。なお、当CDで発生するアルゲリッチの印税は福島で音楽活動を続ける青少年に寄付される。(林 昌英)フランス音楽の優れた解釈で知られる中井正子による、ショパンがノアン滞在中に手掛けた主要作品を集めたアルバム。パリの音楽文化を深く理解する感性と、ショパン作品を真摯に研究してきた成果が生かされている。安定感と大胆さをもって演奏されるソナタ第2番や第3番は、ドラマティックな4幕のストーリーのよう。自然に歌う高音部の下で、ふくよかな低音が豊かに鳴らされることにより、多くの演奏では浮き彫りになりにくい複数の歌が聴こえてきて新鮮だ。「幻想ポロネーズ」では、あたたかみのある音が色彩と豊かな香りを感じさせ、夢か幻のような作品の世界を再現する。(高坂はる香)昨年デビュー30周年を迎えたサックスの巨匠による3年ぶりの新譜。ジャズやタンゴの傑作から邦人作曲家の新作や編曲作品まで、須川ならではのボーダーレスで鮮烈な音世界を堪能できる。今作は、ピアノの小柳美奈子に加え、ヴァイオリンの奥村愛とギターの鈴木大介が共演者に名を連ねているのも聴きどころ。共演楽器や作品ごとに、サックスの音色の温度や色彩を須川が自在に変えていることに改めて驚嘆した。加藤昌則や挾間美帆の若手作曲家の作品も、コンセプチュアルで聴きごたえ充分。年々しなやかに研ぎ澄まされてゆく須川の”新たな円熟”に酔いしれた至福の67分43秒。(渡辺謙太郎)SACD

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