eぶらあぼ 2015.10月号
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206CDCDCDホルニッシモ~ホルン・アンソロジー/松﨑 裕ショパン:バラード全集/外山啓介ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番/アルティ弦楽四重奏団「再会」~ブーニン・プレイズ・ブリュートナーR.シュトラウス:アンダンテ/ヴィンター:ハンターズ・ムーン/F.シュトラウス:ノクターン/シューマン:アダージョとアレグロ/O.フランツ:無言歌 op.2 他松﨑 裕(ホルン)広海滋子(ピアノ)ザ・ブラス・ゼクステットショパン:バラード第1番~第4番、ノクターン第1番~第3番外山啓介(ピアノ)ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番アルティ弦楽四重奏団[豊嶋泰嗣、矢部達哉(以上ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)、上村昇(チェロ)]シューマン:アラベスク/ショパン:ノクターン第8番、マズルカ第25番・第41番・第45番、ワルツ第7番・第9番・第12番/メンデルスゾーン:無言歌「甘い思い出」/J.S.バッハ(マイラ・ヘス編):主よ、人の望みの喜びよスタニスラフ・ブーニンマイスター・ミュージックMM-3057 ¥3000+税エイベックス・クラシックスAVCL-25877 ¥3000+税オクタヴィア・レコードOVCL-00575 ¥3200+税ユニバーサル・ミュージックUCCY-1057 ¥3000+税約30年間N響の首席奏者を務めた日本ホルン界の第一人者のアンソロジー・アルバム。2002〜10年に録音した5枚のCDから13曲が選ばれ、ドイツものを軸とするホルン音楽のアンソロジーにもなっている。全体に、豊麗な音による恰幅のよい音楽が展開。柔らかみと鋭さを併せもった幅広い表現力が、最高峰の貫禄を感じさせる。1曲目のR.シュトラウス「アンダンテ」の冒頭から、「ドイツの深い森からこだましてくるような響き」(ライナーノーツ)に引き込まれるし、F.シュトラウスやフランツの作品の歌い回しも魅力充分。ホルンの醍醐味が詰まった1枚だ。(柴田克彦)外山啓介が、デビュー盤で取り上げたショパンに再び向き合い、バラード全4曲と作品9のノクターン3曲を収録。特に「作曲家の人間的な部分が包み隠さず表現されていて、今の自分の心情と重なる」というバラードには、深い想いが込められている。自然で力強い演奏から、作品を探究する中で発見した表現に意欲的に挑んでいることが伝わる。涼やかで透明感ある音に一瞬クールな印象を受けるが、要所で躊躇なくぶつけられる情感、思い切った間のとり方は、作品の内に秘められた激情を色濃く再現する。しかし同時に聴き手が想像力を働かせる自由も残された、まっすぐな演奏だ。(高坂はる香)長い時間を共にして音楽を醸成する常設団体の意義は大きいが、ソリストが結集する弦楽四重奏にも、特有の愉悦がある。個人の経験がその都度、フィードバックされることが、その理由のひとつ。1998年に一流のソリストで結成、ステージを重ねる度に4人の経験が違った化学反応を起こし、新たな色彩を紡ぐアルティ弦楽四重奏団は、その最たる例だろう。彼らが主軸に据えているベートーヴェン、中でも後期作品に焦点を当てた録音の第2弾。神々しい光に包まれた第3楽章を中心に、透明感あふれる精緻なアンサンブルの一方、4人の奏者がそれぞれ、四方から語り掛けてくるような瞬間もある。(笹田和人)ブーニンがドイツの名器ブリュートナーのピアノ、それも1908年製の楽器を弾いている——それだけでもインパクトの大きいアルバムだが、このピアノはロシア最後の皇帝であるニコライⅡの所持品だったものであり、さらには亡命前の若きブーニンの手に渡って弾かれ、彼の音楽性の形成に一役買った楽器なのだ。巡り巡って東京のブーニンの元に再びやってきた、この歴史ある楽器への敬愛の念を一つひとつ確かめるように、ブーニンがショパンのワルツやマズルカを中心に奏でる。美しく優しく奏でられる音楽に、ブーニンの過去と今のシルエットが浮かび上がる。(飯田有抄)SACD
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