eぶらあぼ 2015.9月号
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64ホール・アドバイザー 小川典子企画 Noriko's Day Vol.3ピアノの魅力がはじける1日文:山田治生中野翔太(ピアノ)研ぎ澄まされた感性が編む物語文:高坂はる香10/31(土) ミューザ川崎シンフォニーホール 11:00 モーニング・コンサート14:00 アフタヌーン・コンサート 18:00 イブニング・コンサート問 ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 http://www.kawasaki-sym-hall.jp10/27(火)19:00 東京文化会館(小)問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp 10月31日、ミューザ川崎シンフォニーホールのホール・アドバイザーであるピアニストの小川典子が、今年も同ホールをまる1日使って『Noriko's Day』を開催する。小川の出演するコンサートが朝、昼、夕にひらかれ、それぞれまったく違った内容となっている。 「モーニング・コンサート」では、ジャズ・ピアニストの国府弘子をゲストに迎え、2人でジャズのスタンダード・ナンバーやオリジナル曲を弾く。「アフタヌーン・コンサート」では公開マスタークラス(10/25)の4人の受講生によるショパンのバラードのあと、小川のリサイタ 15歳でニューヨークに渡り、ジュリアード音楽院プレ・カレッジ、同大学、大学院で学んだ中野翔太。これまで、ウィーン・フィルやN響など数々の名門オーケストラや名指揮者と共演を重ねてきた実力派だ。クラシックのマスターピースに加えてジャズ風の作品や現代音楽もごく自然に手の内に入れ、幅広いレパートリーによる演奏活動を行っている。 今年のリサイタルで用意されているのは、そんな中野が知性と豊かな想像力をもって自由に編み上げた、実に魅力的な流れを持つプログラム。主にフランスの近現代作品を取り上げ、ここでしか聴くことのできない物語を展開する。 前半でまず演奏するのは、昨年録音もリリースしているラヴェルの作品から。「夜のガスパール」では、緻密でありながら柔軟で自由な彼の音楽性が、大いに発揮されるだろう。サティの「3ルとなり、ショパンの「英雄ポロネーズ」、ラヴェルの「クープランの墓」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番を演奏。 そして「イブニング・コンサート」は現代の音楽。まず、スティーブン・ハフ、吉松隆ら6人の作曲家による連作「ラフマニノフの墓」が小川典子によって日本初演される。そのあと、ケージ作品でプリペアード・ピアノ(ピアノの弦に金属、ゴム、つのジムノペディ」より第1番に続いて演奏するのは、現代フランス音楽の作曲家ギョーム・コネッソン(1970~)の作品。持ち前の優れた技巧と表現力を活かし、鮮烈な音とリズムを持つ「Initial Dances」を演奏して、いわば最先端の音楽に到達する。その後、ジョン・ケージの「In a Landscape」で、原点に回帰するかのようなシンプルかつ穏やかな世界へと誘い、終曲にデュティユーのピアノ・ソナタより第3楽章「コラールと変奏」を置く。 いずれの作品も、中野の澄んだ音色に合いそうな楽曲ばかり。これらの作品を彼の用意したこのストーリーの中で聴くことにより、多くの発見がありそうだ。木などを挟んで独特の音響を生み出す)の演奏も披露する。続いて、大竹紀子も加わって、菅野由弘のプリペアード・ピアノ連弾と2台のトイ・ピアノのための新作「Cat in the Box(猫はしばしば箱に潜る)」を世界初演。そして最後は、菅野の「光の残像Ⅲ『天使の梯子』」を作曲者のコンピュータ演奏とともに弾く。小川の地元・川崎で、彼女の多彩な魅力を満喫する1日を過ごしてみてはいかがだろう。菅野由弘 ©木之下 晃©Yuuji小川典子 ©Irene Ramejkis大竹紀子 ©iriephoto国府弘子

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