eぶらあぼ 2015.9月号
59/207

56仲道郁代&川久保賜紀 デュオコンサート9/22(火・休)14:00雲南市加茂文化ホール ラメール問 雲南市加茂文化ホール0854-49-85009/25(金)19:00 長岡リリックホール問 長岡リリックホール0258-29-7715CD『アンコール!』エイベックス・クラシックスAVCL-25871(SACDハイブリッド盤)¥3000+税©Yuji Hori川久保賜紀(ヴァイオリン)作品に最もふさわしい音色を追求しました取材・文:渡辺謙太郎Interview 近年は淡路島やワシントンD.C.で自らコンサートを企画するなど、プロデューサーとしての才能も発揮しているヴァイオリニストの川久保賜紀。今年4月に発表したエイベックス通算5枚目のソロ・アルバム『アンコール!』には、コンサートで人気が高かった小品を中心とした全10曲が収録されている。サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、モンティ「チャールダーシュ」、ブラームス「ハンガリー舞曲第5番」、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」、ラヴェル「ツィガーヌ」といった超絶技巧が駆使される傑作が並ぶ。 「これらの作品は聴きごたえがあるだけではなく、民族的な色彩が強いのも特徴。恩師のザハール・ブロン先生は音色へのこだわりが人一倍強い方だったので、その教えを思い出しながら、それぞれの国や地域の言語的なニュアンスを意識して、作品に最もふさわしい音色を追求しました」 今回の収録曲の中で彼女が特に気に入っているのが、ガーシュウィン「3つのプレリュード」とサラサーテ「アンダルシアのロマンス」だという。 「『3つの~』は、小さな頃から敬愛するハイフェッツの編曲ということもあり、かねてから録音したかった作品。甘美さとウイットのバランス感覚に惹かれます。『アンダルシア~』は、ロマンティックで表情豊かな旋律が大きな魅力。アルバム冒頭のクライスラー3曲も含め、後半の超絶技巧曲と良い意味でコントラストをつけられたように思います」 共演のピアニストは、名手・江口玲。録音でのタッグは今回が初めてだが、リサイタルでは度々共演しており、絶大な信頼を寄せている。 「江口さんは楽譜の改訂の歴史に精通していらして、共演の度に楽譜の入ったiPadを片手に『オリジナルはこうだったんだよ』と教えてくださるんです。それが刺激となって録音中にどんどんアイディアが湧いて、テイクを重ねる度に表現が大きく変わっていった曲もありました」 録音は昨年の11月に稲城市立iプラザで行われた。 「今回は3日間のセッション録音だったのですが、同じ作品を繰り返し演奏して自分で聴き直す作業は、とても勉強になりました」 9月後半には、島根(雲南市)と新潟(長岡市)で公演を行い、当盤の収録曲を多数披露する。ピアニストは近年共演機会の多い仲道郁代。「仲道さんの女性らしい繊細さをとても尊敬してます」とのこと。アルバムに収録された江口のピアノとの聴き比べという意味でも、聴きどころの多い公演になりそうだ。9/12(土)14:00 第一生命ホール問 銀色の瞬間(水上)090-3916-6263菊地美奈 オペラデビュー20周年記念公演レハール《メリー・ウィドウ》オペレッタの傑作で祝う記念イヤー文:宮本 明与那城 敬 ©Kei Uesugi 今年オペラデビュー20周年を迎えたソプラノ菊地美奈が、その記念として《メリー・ウィドウ》を上演する。彼女の自主企画公演だ。記念のイベントに、ソロ・リサイタルでなく、オペレッタをまるまる1本やってしまおうという発想自体に感服。 彼女が演じるのは、もちろん主役の未亡人ハンナ。与那城敬のダニロ、池田直樹のツェータ男爵、赤星啓子のヴァランシエンヌ、中鉢聡のカミーユはじめ、彼女のアニヴァーサリーを祝うために豪華なキャストが顔を揃えているのもすごい。歌手としてただ歌うだけではなく、音楽をエンタテインメントとして提示することに常に人一倍熱心に取り組んできた彼女。この《メリー・ウィドウ》でも、原曲の進行は守りつつ、さまざまな仕掛けが施されているというからニヤリ。思いっきり楽しくて素敵な舞台を観せてくれるにちがいない! 日本語訳詞、ピアノ(瀧田亮子)と弦2台に打楽器という小編成アンサンブルの伴奏による上演。菊地美奈

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です