eぶらあぼ 2015.9月号
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45大植英次(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団濃密な演奏でブラームスの神髄に触れる文:飯尾洋一第869回 オーチャード定期演奏会9/22(火・休)15:00 Bunkamuraオーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 http://www.tpo.or.jp 昨年、東京フィルの創立100周年ワールドツアーで指揮を務めた大植英次。ニューヨーク、マドリード、パリ、ロンドン、シンガポール、バンコクを巡る大ツアーの成功によって一段と結びつきを深めたコンビが、この9月、東京でブラームスの交響曲第3番と第4番を披露する。大植英次と東京フィルによるブラームスは、2011年の交響曲第1番、14年7月の第2番に続くもの。今回の第3番と第4番で交響曲全曲演奏の掉尾を飾る。 ブラームスの交響曲といえば、どの曲をとってもドイツ音楽の真髄ともいうべき傑作ばかりだが、作品の成熟度という点では、この2曲の組合せほど魅力的なプログラムはないだろう。ブラームスの創作史をたどると、1876年に完成された交響曲第1番、そのすぐ翌年に書かれた第2番と、それから6年間を経て83年に作曲された第3番、翌84年から85年にかけて書かれた第4番といったように、前後半で2曲ずつに分けることができる。後半の2曲はともに洗練された書法のなかに深い憂愁や寂寞とした詩情を漂わせ、熱狂と興奮のなかにも常にしみじみとしたロマン的情感を横溢させる。 マエストロ大植のこと、濃密で起伏に富んだ音楽によって作品の魅力を十全に伝えてくれることだろう。オーケストラが鋭敏にその指揮ぶりに反応してくれることはまちがいない。これ以上はない傑作と、信頼関係を築きあげた指揮者とオーケストラ。記憶に残る名演が生まれる条件はそろっている。大植英次 ©飯島隆新日本フィルハーモニー交響楽団 新・クラシックへの扉 #49人気シリーズが開く新たな音楽のトビラ文:オヤマダアツシ9/18(金)14:00、9/19(土)17:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp 名曲シリーズと銘打ちながらなかなか聴けない作品もプログラムに組まれ、2014/15シーズンにはエル・システマ出身の若い指揮者など、次代のホープを指揮台へ迎えることも多かった新日本フィルハーモニー交響楽団の『新・クラシックへの扉』。 9月からスタートする新シーズンにも、ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管のピオヴァノや、ウィーン・フィルのコンサートマスターであるシュトイデなど、名門オーケストラの首席奏者をソリスト兼指揮者に迎えつつ、鈴木秀美や川瀬賢太郎などが加わり、それぞれの得意分野や個性に合わせた曲を披露してくれる。一概に“クラシック入門”と決めつけられない内容であり、オーケストラのクオリティも問われるラインナップなのだ。 幕開けとなる9月も、生誕150年を迎えているシベリウスのヴァイオリン協奏曲に加え、戦前の日本と縁が深いブリテンの「シンフォニア・ダ・レクイエム」、そして作曲者バーバーの意向に反して今や追悼曲の定番となってしまった「弦楽のためのアダージョ」という3曲が並ぶ。手堅い音楽を作り出すデリック・イノウエの指揮、シベリウスを得意とする堀米ゆず子のソロにより、充実した演奏が聴けるのは間違いない。 なお今シーズンから開演時間が、金曜日は従来通りに午後2時から、土曜日は夕方の5時から(後半の2016年3月以降は午前11時から)となる。土曜日には別のコンサートとハシゴができる可能性も?!堀米ゆず子 ©T.Okuraデリック・イノウエ ©Satoru Mitsuta
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