eぶらあぼ 2015.9月号
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35タンブッコ(打楽器アンサンブル)あらゆるものから音楽を引き出す驚異のグループ文:笹田和人京響スーパーコンサート タン・ドゥン × 京都市交響楽団 WATER SPIRIT 京都に響く“水の音楽”文:江藤光紀9/26(土)11:00ワークショップ 15:00本公演 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール(0570-064-939)9/27(日)13:00 16:00 七ツ梅酒造跡 東蔵ホール(彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939)10/1(木)19:00 松本ザ・ハーモニーホール(オフィス・マユ026-226-1001)10/4(日)15:00 東京文化会館(小)(03-5685-0650)10/10(土)15:00 長久手市文化の家 森のホール(0561-61-2888)9/19(土)14:00 京都コンサートホール問 京都コンサートホール・チケットカウンター075-711-3231 http://www.kyoto-ongeibun.jp/kyotoconcerthall 彼らが奏でる打楽器の圧倒的なエネルギーには、魂をぐっと掴まれる思いがするはず。予想を遥かに超えた驚異のパフォーマンスで聴衆を魅了、グラミー賞へのノミネートも実に4度というメキシコの世界的打楽器アンサンブル、タンブッコ。衝撃の来日公演から2年、再び彼らが戻ってくる。タンブッコは、1993年にアーティスティック・ディレクターを務めるリカルド・ガヤルド以下、4人の卓越したメキシコ人打楽器奏者により結成された。複雑な構造を持つ打楽器オリジナル作品から、民俗的なドラム・ピース、実験的な前衛作品、バッハなど古典作品までを“叩きこなす”一方、ロックや邦楽、クラシックの名手らとコラボレートを展開、打楽器に新たな地平を開拓している。またタンブッコは、ジェームズ・ボンド・シリーズ最新作『007 スペクター』(12/4日本公開)の、メキシコシティで撮影されたオープニングシーンに音楽で参加しているので、こちらも要チェックだ。 京都コンサートホールが開館20周年を記念して、意欲的な企画を打ち出している。9月の京都市響とのコラボ企画「京響スーパーコンサート」では、作曲家・指揮者として世界を股にかけ活躍するタン・ドゥンの指揮で、“水”をテーマに考え抜かれたプログラムを演奏する。 タン・ドゥンはナチュラルな思考から生まれる大胆な作風で知られている。今回演奏される「水の協奏曲」のソロ楽器、水盤の表面をぴちゃぴちゃと叩くウォーター・パーカッションは、タン・ドゥンならではのオーガニックな世界観を反映したものだ。独奏者・藤井はるかは、本作をすでにイタリアで演奏しており、作曲家からも厚い信頼を得ている。 武満徹に捧げられたこの「水の協奏曲」に続き、今度は武満の水をテーマにした「ウォーター・ドリーミング」が、京都市響首席フルート奏者・清水信貴を ツアーと言っても、彼らは画一的なステージをただ繰り返したりはしない。聴衆や共演者によって、曲目や構成、時に使用する楽器までも自在に変化させていく。今回も、小学生以上を対象とした埼玉でのワークショップ(9/26)で、キッチン道具でのアンサンブルに挑戦。同じ埼玉の深谷での公演(9/27)は、元酒蔵という会場にちなみ、酒樽も叩くという。また、長野の松本公演(10/1)はピアノの松橋朋潤と共演。愛知・長ソリストに演奏される。シャーマニスティックな衝撃力が魅力のタン・ドゥンと、イマジネーションによってコンサートホールを詩的な空間へと変える武満との作風の違いにも耳をそばだててみよう。 コンサートの冒頭にはとめどない水の流れを描いたスメタナ「モルダウ」、最後に海洋国・英国の作曲家ブリテンが海の多彩な表情を描いた「四つの海の間奏曲」が演奏される。そう、これは京都・平安京がモデルにしたという唐の都・長安(現・西安)との絆を、水を架け橋にして現代に甦らせようというコンセプトで組まれたプログラムなのだ。川を軸に発展した両市、近年は姉妹都市として友好関係を築いている。その絆を寿ぐ、まさに水づくしの演奏会だ。久手公演(10/10)ではガムラングループ「スカルサクラ」との共演で、新作も世界初演する。タン・ドゥン

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