eぶらあぼ 2015.9月号
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253『CHESS THE MUSICAL』ミュージカル版で繰り広げるスリリングなドラマ文:高橋彩子9/27(日)~10/12(月) 東京芸術劇場 プレイハウス10/19(月)~10/25(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ問 梅田芸術劇場0570-077-039(東京) 06-6377-3888(大阪)http://www.chess-musical.jp ミュージカル『CHESS』が、2度のコンサート形式での上演を経て、舞台版として日本初演される。1970年代、「ダンシング・クイーン」などで一世を風靡したスウェーデンのポップスグループABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが作曲、『エビータ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』のティム・ライスが原案・作詞を担当し、86年にロンドンで開幕したミュージカルだ。 物語の舞台は、米ソ冷戦時代のチェスの試合。イタリアでチェスの世界選手権が開かれ、世界チャンピオンであるアメリカの選手フレディは、ソ連の選手アナトリーと対戦するはずだったが放棄し、アナトリーが不戦勝に。アナトリーはフレディのセコンドを務めるフローレンスと恋に落ち、亡命する。翌年、再び世界選手権がタイで開かれ、チャンピオンとしてフローレンスを伴って出場したアナトリーの前に、テレビのコメンテーターとなったフレディ、アナトリーがソ連に残してきた妻スヴェトラーナが現れ、さらにKGB、CIAの影もちらつき…。表ではチェスの試合、裏では別の駆け引きが、スリリングに展開する。 フレディ役を演じるのは、輝きと情熱あふれる歌声で、聴く者の心をとらえて離さない中川晃教。アナトリー役には、豊富なミュージカル経験と音楽へ深い造詣を誇る石井一孝。フローレンス役は、圧倒的な存在感・歌声で高い評価を得ている安蘭けい。審判アービター役は、確かな歌唱力と瑞々しい演技力が光る田代万里生。中川、安蘭、石井は過去2回のコンサートにも出演している。 陰影に富み、ドラマティックな『CHESS』の音楽と物語。必見・必聴の舞台となりそうだ。左より:安蘭けい/石井一孝/田代万里生/中川晃教『パッション』ソンドハイムの傑作を日本初演文:藤本真由10/16(金)~11/8(日) 新国立劇場(中)問 新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jp/play11/13(金)~11/15(日) 兵庫県立芸術文化センター(中)問 芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255 http://www.gcenter-hyogo.jp 今夏のミュージカル界を席巻した大ヒット作『エリザベート』で“黄泉の帝王”トート役を演じて好評を博した井上芳雄が、勢いもそのままにミュージカル『パッション』に主演する。今年の春に代表作の一つである『イントゥ・ザ・ウッズ』が豪華キャストで映画化、公開されるなど、話題も多いブロードウェイ・ミュージカルの鬼才スティーブン・ソンドハイムが作曲、1994年に世界初演した作品だ。イタリア映画『パッション・ダモーレ』を基に、究極の愛、そして美醜という非常に難しいテーマを扱い、最優秀ミュージカル作品賞、楽曲賞、脚本賞などトニー賞主要4部門を獲得した作品で、今回が待望の日本初演となる。 井上扮する青年兵士ジョルジオは美しい恋人と恋愛関係にあるが、赴任先で、美貌に恵まれない病気の娘に思いを寄せられる。当初娘を寄せ付けないジョルジオだったが、彼女のあまりに激しい愛にやがて心動かされてゆき…。 「僕が思うにこれは、“逆『オペラ座の怪人』”のシチュエーション。傷を負う女性に愛されるという興味深い役どころで、二人の女性の間で揺れるうち、ジョルジオは何が本当の愛か気づいていく。今回ソンドハイム作品初挑戦となりますが、彼の楽曲にはいい意味で期待を裏切るところがあって、その複雑さに人の心の機微を表していくところがあると思う」と、作品の見どころを語る井上。ミュージカル界の実力派スターが難作で見せる新たな魅力に期待したい。左より:シルビア・グラブ/井上芳雄/和音美桜/福井貴一 撮影:熊谷仁男

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