eぶらあぼ 2015.9月号
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250『アレント』 ©Maria Alperi10/31(土)~11/3(火・祝) 東京文化会館(プログラムA)11/20(金)~11/22(日) Bunkamuraオーチャードホール(プログラムB) 問 チケットスペース03-3234-9999※全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。会場により演目が異なります。http://www.ints.co.jp/spain-ballet2015創立50周年記念 スターダンサーズ・バレエ団『オール・チューダー・プログラム』人間の心理の奥底を巧みに描く文:石村紀子 1978年に創設されたスペイン国立バレエ団は、スペイン舞踊最高峰の舞踊団として名高くクラシコ・エスパニョール(古典舞踊)やフラメンコ(アンダルシア地方の民族舞踊)を極めた踊り手が揃う。ホアキン・コルテス、アントニオ・カナーレスら一世を風靡した大スターを生み出し、スペイン国内外で圧倒的人気を誇る。2011年から芸術監督を務めるアントニオ・ナハーロは、スター・ダンサーとして活躍しながら早くから振付を手がけ受賞歴も数多い。ソルトレイクシティ・オリンピックのアイスダンス部門の金メダル受賞組をはじめとするフィギュアスケーターへの振付提供でも知られる。そんな鬼才ナハーロ率いる同バレエ団の来日公演は現代フラメンコの醍醐味を満喫できる絶好のチャンスだ。 Aプロでは前回(13年)来日時に評判を呼んだ『セビリア組曲』が再び登場する。セビリア出身のギタリスト、ラファエル・リケーニの曲にナハーロが振り付けた作品で、セビリアの風物が目に浮かんでくるような快作だ。フラメンコを基調とした曲にスペイン舞踊のテクニックを織り交ぜて創作したナハーロの手腕が光る。そのほか人気曲『ボレロ』(ラヴェル作曲)、それに『ファルーカ』『ビバ・ナバーラ』という、フラメンコやスペイン舞踊の精髄を堪能できる作品が並ぶ。定番から注目のナハーロ作品まで取り揃えておりカンパニーの名刺代わりといってもいいだろう。 Bプロは今年6月にマドリードで世界初演されたばかりのホットな新作の2本立て。これはナハーロの提案による民族舞踊の伝統とスペイン舞踊のさまざまなスタイルを復活させる試みである。『アレント』はナハーロが振り付けたエネルギッシュなスペイン舞踊だ。作曲家でギタリストのフェルナンド・エゴスクエのリズミカルな音楽にのせた力強いダンスに期待したい。『サグアン~新フラメンコ組曲~』はフラメンコ・ギタリスト、ヘスース・トーレスの曲に新世代のメルセデス・ルイス、ラ・ルピとマルコ・フローレスが振り付けた意欲作。ヤイサ・ピニージョスによる伝統的要素と斬新なアイディアが融合した衣裳も見ものだ。 どちらも伝統をしっかり受け継ぎながら今の時代と向きあって創造を続けるカンパニーの特徴を反映した好プログラムであり、スペイン舞踊の過去と現在を一望できるだろう。圧倒的な創作力によってスペイン舞踊の可能性を追求するナハーロと手兵による熱のこもった舞台を体感したい。9/26(土)、9/27(日)各14:00 テアトロ・ジーリオ・ショウワ問 スターダンサーズ・バレエ団03-3401-2293 http://www.sdballet.comスペイン国立バレエ団スペイン舞踊の現在と過去を一望文:高橋森彦『火の柱』 ©A.I Co.,Ltd. 20世紀を代表する振付家、アントニー・チューダー。彼と関係の深かったスターダンサーズ・バレエ団が、創立50周年の記念公演として、チューダーの6作品を揃えた『オール・チューダー・プログラム』を上演する。初期から晩年までの作品を網羅し、特徴であるロマンティックで叙情性豊かな作風をあますところなく堪能できる希少な内容となっている。 結婚を目前に控えた男女の揺れ動く想いを描いた『リラの園』、抑圧された少女の性的な焦りと躓きを表現し、初演時にセンセーションを巻き起こした『火の柱』、半生を振り返る女性の心象風景を綴った晩年の傑作『葉は色あせて』など、人間の心理の奥底を巧みに描き出すチューダーらしい魅力が詰まった珠玉のラインナップだ。国内外で活躍中の豪華7名(吉田都、山本隆之、本島美和、永橋あゆみ、島添亮子、今井智也、浅田良和)をゲストに迎え、林ゆりえ、吉瀬智弘ら同団の精鋭たちが、心に迫る舞台を創り上げる。

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