eぶらあぼ 2015.9月号
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166CDCDCDCDプロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番/ヴィクトリア・ムローヴァブルーノ・カニーノ プレイズ 西村朗ヴェルディ:レクイエム、聖歌四篇/ライナー、メータDUO/荘村清志&福田進一プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番、2本のヴァイオリンのためのソナタ、無伴奏ヴァイオリン・ソナタヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)テディ・パパヴラミ(ヴァイオリン)パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)フランクフルト放送交響楽団西村朗:夜光、薔薇の変容、オパール光のソナタ、カラヴィンカ、神秘の鐘ブルーノ・カニーノ(ピアノ)ヴェルディ:レクイエム、聖歌四篇フリッツ・ライナー(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団レオンティン・プライス(ソプラノ)ユッシ・ビョルリンク(テノール)ズービン・メータ(指揮)ロサンゼルス・フィルハーモニック 他モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス/ファリャ:スペイン舞曲/マイヤーズ:カヴァティーナ/アルビノーニ:アダージョ/ディアンス:ハクジュ・パルス/サイ:リキアの王女/久石譲:Shaking Anxiety and Dreamy Globe 他荘村清志(ギター)福田進一(ギター)収録:2012.5/17,18,2014.12/7、フランクフルト(ライヴ)onyx(東京エムプラス)ONYX-4142 輸入盤/¥オープンカメラータ・トウキョウCMCD-28321 ¥2800+税TOWER RECORDS/ユニバーサルミュージックPROC-1858/9(2枚組) ¥1800+税日本コロムビアCOCQ-85265 ¥3000+税ヴァイオリンの女王格ムローヴァの、ライヴ録音によるプロコフィエフ・アルバム。編成が順に縮小していく構成が、まずは妙味充分だ。協奏曲第2番は、1988年以来の再録音。前回は透明感と均整美が特徴だったが、パーヴォ・ヤルヴィが的確なバックを付ける今回は、情感豊かで生彩に富んだ表現が成され、終楽章の盛り上がりも熱い。デュオ・ソナタは、鬼才パパヴラミとの絡みが、実に精妙かつスリリング。これは特に聴きものだ。鮮やかな無伴奏ソナタも含めて、ムローヴァの円熟を示すと同時に、プロコフィエフのヴァイオリン音楽のエッセンスを満喫させる1枚。(柴田克彦)イタリア・ピアノ界の重鎮ブルーノ・カニーノが西村朗のピアノ曲を録音した。「オパール光のソナタ」のハレーションを伴う単音の連打、極楽浄土に住む鳥「カラヴィンカ」の晴れやかな鬨(とき)の声、「神秘の鐘」の苛烈な乱れ打ち。カニーノという当代きっての解釈者に加え、明確な響きのフォルムを持つファツィオーリのピアノ、そして録音場所となったイタリアの古い教会が三位一体となり、独特のオーラを纏った生々しい音のリアリティを作りあげる。冒頭の「夜光」は最終トラックで1.5倍の時間をかけ、もう一度演奏される。東洋的世界観を体現した西村の音が、西洋的空間に深い余韻を残し消えていく。(江藤光紀)ハンガリー出身の名匠ライナーによる硬派な名盤の再発。往年の名テノール、ビョルリンク最晩年の美声の記録としても知られるが、特筆すべきはライナーの厳格にして熱い指揮と、精密な美音で応えるウィーン・フィルのすばらしさ。手兵シカゴ響を鍛え上げた指導力は当録音でも健在。1曲目や終曲の精妙さ、「怒りの日」の強靱な音響(大太鼓の恐るべき打撃音!)は格別で、何より全曲を支配する緊張感には背筋が伸びる思い。ヴェルディの名演というにとどまらず、より普遍的な境地に達した「レクイエム」だ。メータ指揮LAフィルの「聖歌四篇」も、明瞭な響きでヴェルディの本質に迫った好演。(林 昌英)荘村清志と福田進一のデュオアルバムとなれば、普段ギター音楽を聴かないファンも注目だ。Hakuju Hallの「ギター・フェスタ」における委嘱作品が3曲、モリコーネ、ファリャからアルビノーニ、マイヤーズらの著名な名曲の2台ギターアレンジ作品が7曲。前者では2小節毎にメイン奏者が交代するスリリングなファジル・サイ作品や、4分の13拍子(!)というリズムで2人が常に違った拍子で弾くことを要求される久石譲作品が快作。これらに対して他の7曲はゆるやかな情感に満ちた曲であり、また演奏も繊細の極み。2人の音色のえも言われぬ高雅な絡みあい。(藤原 聡)

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