eぶらあぼ 2015.9月号
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164SACDCDCDCDベートーヴェン:交響曲第2番&第8番/小澤征爾&水戸室内管愛しのイヴォンヌ・キュルティオルガ・シェプス・プレイズ・ショパンリサイタル 3 シューベルト/シューマン/ブラームス/澤和樹&蓼沼恵美子ベートーヴェン:交響曲第2番・第8番小澤征爾(指揮)水戸室内管弦楽団ブラガ:天使のセレナード/ドビュッシー:小舟にて/モンティ:チャールダーシュ/ラフ:カヴァティーナ/フォーレ:夢のあとに/ラフマニノフ:セレナード/ボッケリーニ:メヌエット/シューマン:子守歌 他イヴォンヌ・キュルティ(ヴァイオリン)ショパン:3つの新しい練習曲、バラード第1番、夜想曲「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」(遺作)、幻想曲、ピアノ協奏曲第1番(弦楽合奏伴奏版)・第2番(同) 他オルガ・シェプス(ピアノ)マティアス・フォレムニー(指揮)シュトゥットガルト室内管弦楽団シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番、華麗なロンドop.70/ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番、ヴィオラ・ソナタ第1番/シューマン:アダージョとアレグロ澤 和樹(ヴァイオリン、ヴィオラ)蓼沼恵美子(ピアノ)収録:2015.1,5、水戸芸術館(ライヴ)ユニバーサル・ミュージックUCCD-1421 ¥3000+税8/19(水)発売オクタヴィア・レコードOVCK-00005 ¥3200+税ソニーミュージックSICC-30231~2(2枚組) ¥2700+税収録:2014.12/14、Hakuju Hall(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00573(2枚組) ¥3500+税小澤征爾&水戸室内管によるベートーヴェンの交響曲録音第2弾は第2番と第8番。第2番冒頭から予想外にしなやかで躍動的な開始に頬が緩む。指揮者の老齢ゆえの弛緩など微塵も感じられない。基本的にはオーソドックスな演奏だが、響きの練り上げの入念さは小編成のオーケストラということもあるのか、サイトウ・キネンとの録音すら凌いでいると思える。特に第2楽章の美しさは出色。第8番ではこの曲に潜むギャグ要素は際立たせず端正な仕上がり。尖がった演奏ではないので表面的なインパクトは薄めだが、その分飽きが来ない。何度も聴きたくなる。全集を期待!(藤原 聡)キュルティは1920〜30年代に多数のSP盤録音を発表し、本国フランスのみならず、日本でもレコードがプレスされた売れっ子ながら、生没年はおろか、一切の経歴や演奏歴が不明という“謎のヴァイオリニスト”。その代表作であるモンティ「チャールダーシュ」をはじめ23の録音のSP盤を、現代の響きの良いホールで再生、収録し直して集成した。当盤が「キュルティのCD化フルアルバムとしては、おそらく世界初」と販売元は言う。独特のポルタメントと幅の広いヴィブラートが呼び起こすのは、独特の浮遊感と懐かしさ。今の演奏家には到底真似のできぬ、強烈な個性が体感できる。(笹田和人)1986年モスクワ生まれ、6歳でドイツに渡り音楽教育を受けたオルガ・シェプス。2010年にアリス=紗良・オットと「エコー賞」を二分したドイツで人気のピアニストで、今年1月に初来日を果たした。日本デビュー盤は、ショパンのソロ作品(09年録音)と協奏曲(弦楽合奏伴奏版、13年録音)のカップリング。バラード第1番やノクターン遺作など、テンポをゆったりとって存分に歌わせる。弱音を美しく鳴らすピアニストだ。協奏曲では響きを繊細に操り、ショパン作品ならではの柔らかい輝きを再現する。自由に揺れ、弾むシェプスのピアノに寄り添うシュトゥットガルト室内管の気品ある演奏もすばらしい。(高坂はる香)40年近くコンビを組むベテラン・デュオによる、ライヴ・シリーズ第3弾。昨年12月のリサイタルでのドイツ・ロマン派名作プロが全曲収録されている。これは、熟達の芸を存分に味わえる、充実度の高いアルバムだ。シューベルトの2曲の堅牢で濃密な表現は、何れも立派なソナタに聴こえるほど。ブラームスのヴァイオリン・ソナタも、抒情的かつ芯がぶれない。ヴィオラ・ソナタは、曲の構成と魅力が明快に表出された名演奏。しかも同一奏者が同一作曲家の作品を続けて弾くことで、両楽器の個性の違いをリアルに実感させる。ピアノとのバランスや呼吸も絶妙だ。(柴田克彦)

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