eぶらあぼ 2015.8月号
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217ダンスがみたい! 17~春の祭典~12人12色の春の祭典!文:乗越たかお『Clementia クレメンティア:相受け入れること、寛容』男たちの魂が響き合う華麗なる競演文:藤本真由ダンスがみたい! 17 7/28(火)~8/30(日) d-倉庫※7/28、8/29の演目は『春の祭典』ではありません。 公演の詳細は下記ウェブサイトをご確認ください。問 d-倉庫03-5811-5399 http://www.geocities.jp/azabubu9/12(土)14:00 19:00、9/13(日)12:00 17:00 銀河劇場 7/18(土)発売問 ホリプロチケットセンター03-3490-4949 日暮里の駅からちょっと歩かねばならず、住宅街の細い道なのでわかりにくい。それなのに夜な夜なダンス好きが集まるのがd-倉庫である。独自色の強い企画が人気で、とくに『ダンスがみたい!』シリーズは今回で17回目を迎える。このシリーズは玉石混淆感が強めではあるがゆえに、ここからしか出てこないような才能がヒョイっと登場したりするので、目が離せないのである。 今回特筆すべきは、共通のテーマを設定したこと。しかもなんと『春の祭典』なのである。12名の振付家が、ストラヴィンスキーの“名曲にして難曲”に挑むことになる。 なぜ難曲なのか。変調に次ぐ変調、しかも曲自体が内包しているプリミティブなエネルギーがハンパないので、生半可な振付家では、呑み込まれてしまうのである。結果、曲の魅力に乗っかったチョロい作品が量産されること 図抜けた身体能力をもち、バレエ、ジャズ、コンテンポラリー、モダン、ストリート、アクロバット等、多彩なジャンルを踊りこなすダンサーとして活躍する大貫勇輔。インバル・ピント&アブシャロム・ポラック、マシュー・ボーンら海外振付家の作品に抜擢されてきたほか、『ロミオとジュリエット』『キャバレー』『ピーターパン』といった大型ミュージカル作品にも出演、今年は『アドルフに告ぐ』で初めてストレートプレイに挑戦するなど、ますます活動の場を広げている。その彼が、2014年にマリンバ奏者SINSKEとコラボレーションして話題を呼んだ公演『Clementia』の第2弾を、9月に天王洲 銀河劇場で上演する。 バレエ界からは、熊川哲也率いるKバレエカンパニーのプリンシパル・ソリストとして活躍する宮尾俊太郎が参加。数々の舞台で主役を務め、存在感を増しつつある宮尾と大貫とは親友の間柄になる。だがその一方で、ベジャールやピナ・バウシュなど、真に力のある振付家は、とんでもない名作を生み出してきた。「当たり外れ」がデカい。それが“難曲”たる由縁なのである。 それもあってか、今回登場する12組の振付家は、ビックリするようなキャリアを持っている人と、若手でもすでに一定の評価を受けている力のある面々が揃っている。 ダンスと曲との真剣勝負。みごとに御するか、砕けて散るか。べつに勝負として見る必要もないわけだが、12人のダンサー達が一つの曲へ様々なアプローチをする様を見比べるとダンスの奥深さが味わえるぞ。で、今回が初共演となる。また、日本舞踊界からは尾上流四代家元・尾上菊之丞が参戦。3人の踊りがどんな化学反応を見せるのか、注目が集まる。 そして今回、マリンバ界の異端児SINSKEに加え、尺八演奏家の藤原道山左より:尾上菊之丞/大貫勇輔/宮尾俊太郎/藤原道山/SINSKEがミュージシャンとして参加する。2人の作り出す音の世界も楽しみだ。そんな男たちの華麗な競演をまとめあげるのは、構成・演出・振付担当の川崎悦子。異種格闘技のごときコラボレーションから生み出される舞台に期待したい。

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