eぶらあぼ 2015.8月号
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140CDSACDCDCDJ.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲(弦楽合奏版)/シトコヴェツキー&紀尾井シンフォニエッタ東京シューベルト:交響曲「ザ・グレイト」/アバド&モーツァルト管たった1本のチェロで描く“モザイク”/ミハル・カニュカFIREWORKS~3本のトランペットとオルガンによる祭典J.S.バッハ(D.シトコヴェツキー編):ゴルトベルク変奏曲(弦楽合奏版)ドミトリー・シトコヴェツキー(指揮&ヴァイオリン)紀尾井シンフォニエッタ東京シューベルト:交響曲ハ長調 D944「ザ・グレイト」クラウディオ・アバド(指揮)モーツァルト管弦楽団J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番~第6番より「前奏曲」/コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ 第1楽章/レーガー:無伴奏チェロ組曲 ニ短調より「前奏曲」/ポッパー:2つのチェロのための組曲 他ミハル・カニュカ(チェロ)齋藤千尋(チェロ)ヘンデル:組曲 ニ長調/J.S.バッハ:「管弦楽組曲」より/ヴィヴァルディ:協奏曲RV310/シャイト:戦いの組曲/リンドベルイ:夏の牧舎の古い賛美歌 他マティアス・ヘフス、辻本憲一、佐藤友紀(以上トランペット)クリスチャン・シュミット(オルガン)収録:2015.2/13,2/14 紀尾井ホール(ライヴ)マイスター・ミュージックMM-3051 ¥2816+税収録:2011.9 (ライヴ)ユニバーサルミュージックUCCG-1702 ¥2800+税ナミ・レコードWWCC-7789 ¥2500+税オクタヴィア・レコードOVCC-00120 ¥3200+税今年2月の紀尾井シンフォニエッタ東京定期演奏会のライヴ録音。編曲者のシトコヴェツキー自身は、1993年以来2度目の弦楽合奏版の録音となる。この合奏版のポイントは、変奏の曲調に即して、ヴァイオリン独奏や二重奏〜五重奏が用いられている点。そうした室内楽曲、独奏協奏曲、合奏協奏曲の要素を併せ持つ多彩な変化の妙と、巧みに保持された原曲の魅力が相まって、終始耳を惹き付けて離さない。自身のソロをはじめ、辣腕メンバー(パリ管の千々岩英一も参加)が揃うオーケストラも、色彩感と躍動感に溢れた演奏を展開。同曲の多様性と奥深さを改めて実感させる。(柴田克彦)アバドがその最晩年に心血を注いで育てたモーツァルト管との、2011年の「グレイト」のライヴ録音がリリースされた。第1楽章はしなやかにまとめられ、時折挟まれるアクセントも柔らかいクッションで受け止めるかのように入念に処理される。第2楽章や第3楽章トリオは木管を中心にエレガントに歌い、スケルツォの弦は幅広い音域を水を切って泳ぐように駆ける。終楽章も軽快なテンポで飛ばしてはいるが、一糸乱れぬアンサンブルは聴き応えがある。同じようなモティーフが繰り返しでてくる曲だが、場面ごとの意味を汲んだ含蓄に富む演奏で、亡くなったはずの人が話しかけてくるような懐かしさを感じた。(江藤光紀)チェコの名チェリストで、精鋭集団プラジャーク・クヮルテットのメンバーとしても知られるカニュカ。今回はバッハの6つの無伴奏組曲のプレリュードに、レーガーやヒンデミットなど近現代の5つの無伴奏作品などを挟み込む、ユニークな構成の録音に挑んだ。「緻密なアーティキュレーション、つまり正確な“音創り”を心がけることは、演奏の上で必須」と語る名匠。その言葉通りの的確な語法に加え、豊かな響きでも聴く者を魅了する。バッハと諸作品が、時代を越え、まるでひとつの組曲のように共鳴し合うのも不思議。「私の全て」と表現する、彼の音楽への愛情も溢れている。(寺西 肇)ジャーマン・ブラスやハンブルク国立歌劇場管の首席奏者を務めたヘフスの当レーベル4枚目のアルバム。バロックの有名作曲家の作品に20世紀の小品を1曲加えた全曲が、自身の編曲である。彼に師事した東京フィル首席の辻本、東響首席の佐藤と共に奏される3本のトランペットの音色は驚くほど均質で光輝かつ美しく、オルガンとも自然に融合している。特筆すべきは柔らかな質感と格調の高さ。教会の雰囲気に、自室で浸れる貴重なディスクともいえるだろう。ヘフスがソロで奏するヴィヴァルディの「調和の霊感」第3番の妙技にも、ただ聴き惚れるばかりだ。(柴田克彦)

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