eぶらあぼ 2015.7月号
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66第11回 国際オーボエコンクール・軽井沢 入賞者&審査委員コンサート3年に一度のゴージャスな饗宴文:柴田克彦One Month Festival 2015公式公演 Bloom Quartet & Ensemble 武田知奈津(ヴァイオリン) デュオコンサート世界を目指す若手女性演奏家たちの熱演文:笹田和人10/11(日)14:00 軽井沢大賀ホール 10/12(月・祝)15:30 東京文化会館(小)問 「第11回 国際オーボエコンクール・軽井沢」事務局03-5227-5233 http://oboeck.jp7/10(金)19:00 名古屋/ドルチェ・アートホールNAGOYA7/11(土)15:00 神戸/Natural Harmony7/12(日)15:00 奈良/Music Salon Nakagawa問 Bloom Quartet & Ensemble事務局 bloomquartet@gmail.comhttp://www.bloomquartet.com これほど華麗なオーボエの祭典は他にない。今年10月、第11回「国際オーボエコンクール・軽井沢」が行われる。同コンクールは、1985年より3年毎に開催。シカゴ響、パリ管ほか多くの楽団の首席奏者を輩出するなど、世界屈指の実績を誇っている。コンクール自体も公開されているので、興味ある方はぜひ足を運んで欲しいが、ここで注目したいのは、終了後の「入賞者&審査委員コンサート」。2つの公演には、ファンならずとも垂涎のプログラムが組まれている。 まずは出演する審査委員の顔ぶれが凄い。委員長のハンスイェルク・シェレンベルガー(元ベルリン・フィル首席)、 今年7月に世界27ヵ国で432の音楽公演が開催される『One Month Festival』の一環として、女性メンバーによる弦楽アンサンブルBloom Quartet & Ensemble(以下Bloom)の総合リーダーを務めるヴァイオリニストの武田知奈津が、Bloomのメンバーである河村真野と共に名古屋(7/10)、同じく中川芙美を伴って神戸(7/11)と奈良(7/12)で、ヴァイオリンのデュオによるステージを開催。クラシックという枠組みを遥かに超えた、熱気あふれる快演を聴かせる。 「音楽をもっと身近に」をコンセプトに、韓国の作曲家でピアニストのパク・チャンスの提唱で2002年に始まったThe House Concertを端緒として、韓国全土で月に30公演を開催する規模へと成長し、クラシック普及の先駆けとなった『One Month Festival』。一方、07年に結成されたBloomは、東京・名古屋・神戸の3都市を拠点に総勢50名を数えるモーリス・ブルグ(元パリ管首席)、ゴードン・ハント(フィルハーモニア管首席)、アラン・フォーゲル(ロサンゼルス室内管首席)に、古部賢一(新日本フィル首席)、小畑善昭(東京芸大教授)、吉田将(読響首席ファゴット)が加わる豪華版だ。10月11日の軽井沢公演では、彼らが「展覧会の絵」(抜粋)とアルビノーニの2つのオーボエのための協奏曲を演奏。バリトンオーボエの発展形であるヘッケルフォーンも加わった前者、ブルグ&ハントのソロによる後者共に聴きものとな国内最大級の弦楽アンサンブル。“クラシック界のAKB48”にも例えられる。 Bloomを手掛ける音楽プロデューサーの南出卓は、『One Month Festival』の理念に共感し、「若手奏者の国際的な活動の一歩に」と、世界的な規模に拡大を続けるフェスティバルへ参加を提案。韓国で7度の公演経験のある武田は「日韓国交正常化50周年の今年、友好と平和へのきっかけになれば」と快諾した。ステージでは、モーツァルトのオペラ・アリアからヒンデミット、プニャーニまで多彩なデュオ曲を、グルーヴ感も豊かに披露。モデルもこなす武田だけに、華やかなビジュアルにも期待できそうだ。る。12日の東京公演は、バッハの「音楽の捧げもの」より「6声のリチェルカーレ」と、オーボエ・ダモーレ協奏曲。前者はシェレンベルガーと古部のコーラングレ演奏、後者はブルグのソロなど、こちらも見どころ充分だ。加えて両日とも、モーツァルトの協奏曲などが入賞者によって披露され、未来のスターの先物買いを、名作と共に楽しむこともできる。 愛好家はもちろん、名人芸に酔いたい音楽ファンは、この絶好機を逃してはならない。左より:ハンスイェルク・シェレンベルガー ©Gerhard Winkler/モーリス・ブルグ/ゴードン・ハント ©Chris Fower/アラン・フォーゲル ©Michael Burke/古部賢一 ©土居政則/小畑善昭/吉田 将 ©読売日本交響楽団武田知奈津
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