eぶらあぼ 2015.7月号
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607/12(日)14:00 東京文化会館(小)、7/20(月・祝)14:00 京都府立府民ホール アルティ問 KCMチケットサービス0570-00-8255他公演7/5(日)町田・アートスペースオー、7/6(月)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館、7/7(火)鵠沼・レスプリ・フランセ、7/8(水)宗次ホール、7/9(木)札幌・六花亭 ふきのとうホール、7/11(土)宗像ユリックス、7/17(金)米子市文化ホール、7/18(土)岸和田・カフェのだて、7/19(日)岸和田・むくの木ホール他公演の情報はコジマ・コンサートマネジメント(03-5379-3733)でご確認ください。漆原朝子(ヴァイオリン)歌心の豊かなプログラムを感じてほしい取材・文:宮本 明Interview ヴァイオリニストの漆原朝子が7月に全国11ヵ所を巡るリサイタル・ツアーを行う。長く共演を重ね、高い評価を得ているベリー・スナイダーとのデュオ。1966年のヴァン・クライバーン・コンクールでラドゥ・ルプーに次ぐ銀賞を獲得した大ベテランのピアニストだ。 「初めてご一緒したのは96年。最初に合わせた時、ほんの数分で『すごい!』とわかりました。とても繊細な方で、調弦のAの音をすごく丁寧に、思い入れのある美しい音でくださって、その瞬間にすっと空気が変わります。それは今でも変わりません」 ツアーの曲目のベースは、東京(7/12)と京都(7/20)で聴けるウィーンをテーマにしたプログラム。R.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタを中心に、《ばらの騎士》からの編曲、シューベルトのソナチネ第2番、ブラームスのソナタ第2番を弾く。 「シュトラウスはジュリアードで勉強していた頃によく弾いていましたが、もう20年以上前のこと。その頃はシュトラウスをまだよく知らずに弾いていたかもしれません。交響詩やオペラを聴いて経験を重ねた今のほうが、かなりシュトラウスが身近になった実感があります。彼のヴァイオリン曲は少ないですが、唯一のソナタは、ちょうど交響詩を書き始めるようになる転換期の作品です。幕が開くといきなりストーリーが始まるような導入部や、たいへん華やかな第3楽章など、古典的な様式で書かれているのに、すでに後期のシュトラウスの香りがぷんぷん(笑)。でも、変ホ長調。“英雄の調性”ですが、ヴァイオリニストにとっては楽器が鳴らない調性なんですね。自分で響きを作って弾かなきゃ! という気合の入る調性です」 シューベルトとブラームスは、スナイダーと録音したCDでも高い評価を得ているレパートリーだ。 「儚げな美しい楽章が続く大好きなシューベルトの2番のソナチネと、幸せなブラームスの2番と組み合わせ。シューベルトはもちろん、ブラームスも旋律の美しい歌曲を書いた作曲家。歌心の豊かなプログラムを感じていただけると思います」 10年前から東京芸大准教授として学生たちを指導している。 「お弟子さんたちと一緒に勉強する中で、自分では無意識にできていたことを、何となくではなくて、きちんと言葉にして相手に伝える経験を積み重ねてきて、演奏のアプローチもちょっとずつ変わったかなと感じています」 そうして演奏にさらに磨きがかかる。いよいよ注目度を増す円熟の音楽家だ。7/11(土)18:00 東京文化会館(小)問 カワイ音楽振興会03-3320-1671 http://kawai-kmf.comピアノ・デュオ・プロジェクト Vol.3名手たちが紡ぐ華麗なる響き文:笹田和人 『ピアノ・デュオ・プロジェクト』とは、東京芸術大学ピアノ科で教鞭を執る教員たちによるピアノ音楽の祭典。第3回となる今回も、6組12人の名手が、2台のカワイの銘器SK-EXを使い、時に丁々発止のやりとり、そして時に親密な音の対話を繰り広げる。まずは、東浦亜希子と冨士素子が、シャブリエの「3つのロマンティックなワルツ」と「スペイン狂詩曲」を。そして、菅野雅紀と松岡淳は、シューマン「アンダンテと変奏曲」とデュカス「魔法使いの弟子」を披露。そして、恩田佳奈と後藤友香理は、シューマンの独奏曲をドビュッシーが2台ピアノのために編曲した「カノン形式による6つの練習曲」やサン=サーンス「死の舞踏」を。さらに、ラヴェル「スペイン狂詩曲」を菊地裕介と新納洋介、ラフマニノフ「交響的舞曲」を竹内真紀と安田里沙が弾き、安武亮と白石光隆はガーシュウィンの名品をグレンジャーが編曲した「ポーギーとベスによる幻想曲」を演奏する。まさにピアノ・デュオの神髄に触れる一夜だ。©Naoya Yamaguchi, Studio Diva白石光隆菊地裕介安武 亮安田里沙

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