eぶらあぼ 2015.7月号
55/213

52紀尾井ホール・紀尾井シンフォニエッタ東京 創立20周年記念特別演奏会トレヴァー・ピノックのJ.S.バッハ「ロ短調ミサ」バッハ畢生の大作で記念イヤーを祝う文:寺西 肇レオシュ・スワロフスキー(指揮) スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団 イマジン七夕コンサート・スペシャル & 宮崎陽江を迎えて俊英2人との共演で紐解くボヘミアとスラヴの魅力文:渡辺謙太郎7/10(金)19:00、7/11(土)14:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp 紀尾井ホールのレジデント・オーケストラ(座付き楽団)として、第一線で活躍するソリストや主要オーケストラの首席級により組織された、紀尾井シンフォニエッタ東京が、今年でホールと共に20周年を迎えた。記念となる特別演奏会では、イギリス古楽界の先駆者であるトレヴァー・ピノックを招いて、バッハ畢生の大作「ロ短調ミサ」を上演する。 紀尾井シンフォニエッタ東京は1995年4月、尾高忠明を音楽監督に迎えて結成。日本有数の実力を持つ室内楽団として、国内各地のみならず、ウィーンなど海外でも公演を行っている。一方、ピ 1980年の初来日から今年で35年。民族的な色彩感があふれるアンサンブルで知られる東欧の名門スロヴァキア・フィルが、サントリーホールで2夜連続公演を行う。指揮は、同フィル首席客演指揮者のレオシュ・スワロフスキー。チェコ音楽を中心とした録音が多く、2014年からセントラル愛知交響楽団の音楽監督を務めていることもあり、日本での人気も着実に高まっている。 第1夜の『イマジン七夕コンサート・スペシャル』は、スメタナとドヴォルザークの傑作が並ぶボヘミア・プログラム。指揮者とオーケストラの双方にとって十八番であるスメタナ「モルダウ」と、ドヴォルザーク「新世界より」は、郷愁と情熱をバランスよく備えた彫りの深い演奏になることだろう。この2曲の間には、若手実力派チェリスト、宮田大をソリストに迎えたドヴォルザークの協奏曲も演奏。清廉でしなやかな音楽性を持つ宮田が、この大曲を本場の名門とノックは72年にオリジナル楽器オーケストラ、イングリッシュ・コンサートを組織し、30年以上にわたって古楽界を牽引。近年はモダン楽器の楽団との共演にも積極的で、首席客演指揮者を務めるモーツァルテウム管をはじめ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管やドイツ・カンマーフィルなどと共演。紀尾井シンフォニエッタ東京へも、2度にわたって客演している。 今回の「ロ短調ミサ」は、澤江衣里と藤崎美苗(以上ソプラノ)や青木洋也どう歌い交わすか、実に楽しみだ。 続く第2夜は『宮崎陽江を迎えて』。ヴァイオリン協奏曲、交響曲第5番、歌劇《エフゲニー・オネーギン》より「ポロネーズ」といったオール・チャイコフスキー・プログラムだ。協奏曲では、スイ(アルト)、中嶋克彦(テノール)、加耒徹(バス)といった実力派の声楽陣に、若手スペシャリストによって構成される合唱団、紀尾井バッハコーアを交えての演奏となる。一昨年6月のライプツィヒでの「クリスマス・オラトリオ」など、これまでにも、たびたびバッハの名演を聴かせてきたピノックだが、なぜか「ロ短調ミサ」の公式録音は1点も存在していない。このため、本公演は、名匠のバッハを堪能する貴重な機会ともなろう。宮崎陽江左より:トレヴァー・ピノック Photo:三好英輔/澤江衣里/藤崎美苗/青木洋也(以上©篠原栄治)/中嶋克彦/加耒徹宮田 大レオシュ・スワロフスキー第1夜 イマジン七夕コンサート・スペシャル 7/7(火)19:00 サントリーホール第2夜 宮崎陽江を迎えて 7/8(水)19:00 サントリーホール問 コンサートイマジン03-3235-3777 http://www.concert.co.jp他公演 7/4(土)松本 ザ・ハーモニーホール(0263-47-2004)、7/5(日)栃木県総合文化センター(028-643-1010)、7/10(金)愛知県芸術劇場コンサートホール(東海テレビチケットセンター052-951-9104)、7/11(土)ザ・シンフォニーホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)スを拠点に活躍する宮崎陽江が登場。楽譜や文献の知識が非常に豊富な彼女ならではの冴えた抒情と変化に富んだ表現に期待したい。チャイコフスキーの魅力満載の聴きごたえたっぷりの一夜になることだろう。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です