eぶらあぼ 2015.7月号
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46森 麻季 ソプラノ・リサイタル2015慈しみと愛を歌にのせて文:東端哲也sonorium 共催シリーズ『映像と音楽』 S.N.G.concert@sonorium宇宙を感じる室内楽コンサート文:笹田和人9/12(土)14:00 横浜みなとみらいホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040/神奈川芸術協会045-453-5080http://www.japanarts.co.jp7/18(土)14:00 19:00 sonorium問 http://www.neguseman.com 華麗なる装飾歌唱のテクニックと、高音域に秀でた透明感溢れる歌声で、これまでに国内外で輝かしいキャリアを積み重ねてきた森麻季。華やかさだけでなく、「音楽の持つ力」や「オペラ歌手として果たす役割」についてしっかりとした考えを持ち、何かと不安な今の時代に、人々の気持ちを和ませるような音楽を届けることを信条に活動を続けていることも、その不動の人気を支えている。2001年にアメリカ同時多発テロが起きた際には首都ワシントンD.C.に居合わせ、直後に上演されたワシントン・ナショナル・オペラの公演にも参加した彼女にとって、「音楽を通して、平和を祈ることができるコンサート」にかける想いは本物。11年に東日本大震災から1週間後に公演を行った横浜で、毎年9月に行っているリサイタルは、聴衆と彼女がその「願い」をひとつに共有できるかけがえのない時間だ。 sonoriumは、東京・永福町の閑静な住宅街の一角にたたずむシンプルな建築美と同時に、理想的な音響と温かな雰囲気を兼ね備えた小ホール。その白い壁に美しい映像を投影し、質の高い演奏と共に楽しむシリーズ『映像と音楽』は、今までになかった「新しい感覚のステージ」として、体験した人たちから好評を得ている。6年目を迎えたシリーズの中での注目は、作曲家の酒井義久と4人の女性弦楽器奏者によるユニット「S.N.G.」に、ピアニストの浦壁信二が加わってのステージ『S.N.G. concert @ sonorium』だ。 酒井は国立音楽大学を卒業後、音楽出版社に勤務。その後CM音楽制作会社の専属を経てフリーに転じ、受賞も数多い気鋭の作曲家。2009年には映画『HAYABUSA-BACK TO THE EARTH-』(上坂浩光監督)をはじめ、同じく上坂監督による『MUSICA~宇宙はなぜ美しい?』『HAYABUSA2 RETURN TO THE UNIVERSE』という3つの映像 今年のプログラムは、オペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》の間奏曲に歌詞を付けた「アヴェ・マリア」(マスカーニ)を始め、被災地支援と関わりの深い「翼をください」(村井邦彦)や「花は咲く」(菅野よう子)、NHKのスペシャル・ドラマの主題歌として話題を呼んだ「Stand Alone」(久石譲)など、いずれも心を揺さぶられる佳曲ばかり。また生誕330周年を記念した〈涙の流れるままに〉や〈つらい運命に涙はあふれ〉らヘンデルのオペラ・アリア特集も彼女の当たり役だけに必聴。心に明かりが灯るひとときを!作品の音楽を担当し、高い評価を得た。今回のステージでは、これら3つの作品のための音楽を、その映像を交えながら、アコースティック・サウンドで堪能する。 酒井を中心に、ヴァイオリンの相磯優子と田島朗子、ヴィオラの錦田知子、チェロの富永佐恵子らクラシックにとどまらない活動を展開する女性奏者たちで構成する「S.N.G.」は「サカイ・ナニガシ・ガッソウダン」の略で、09年に浅田次郎原作のミュージカル『月のしずく』の上演を機に結成され、これが2回目のオリジナルコンサートとなる。そして、ピアノの浦壁は、ソリストのみならず、室内楽でも活躍する実力派。素晴らしい楽曲・演奏・音響と映像によって、聴く者を美しい宇宙への旅へと誘う。©Yuji HoriS.N.G.浦壁信二

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