eぶらあぼ 2015.7月号
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42ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ7/16(木)19:00 武蔵野市民文化会館(小)(完売)、7/18(土)15:00 フィリアホール(045-982-9999)、7/19(日)14:00 笠懸野文化ホール(0277-77-1212)、7/20(月・祝)15:00 宗像ユリックスハーモニーホール(0940-37-1483)日下紗矢子(ヴァイオリン/ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ・リーダー)アンサンブルのバランスの良さが魅力です取材・文:渡辺謙太郎Interview ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と読売日本交響楽団のコンサートマスターを兼任し、ドイツと日本を往復する日下紗矢子。2009年からはコンツェルトハウス管のメンバーで構成されるベルリン・コンツェルトハウス室内管弦楽団のリーダーも務めている。大好評を博した13年の初来日に続き、この度同楽団2年ぶりの来日ツアーが行われる。 「メンバー全員が自主参加で、顔ぶれもほぼ変動がありません。定期公演は年3回。近年は録音に参加したり、トルコへの海外ツアーを行ったりすることもあります。プログラムや、編成、ソリストの決定まで私たちが責任を持てるので、とてもやりがいがありますね」 今回のツアーは全国4ヵ所で、メインとなる曲が異なる2つのプログラムを用意。まずはツアーに共通する部分の聴きどころを語ってくれた。 「私たちの強みは、低弦がしっかりしていて、アンサンブルのバランスが良いこと。今回の演目は、その魅力をできるだけお伝えできるように選びました。前半はパッヘルベルの『カノン』で軽やかに始め、その後に私が独奏を務めるヴィヴァルディ『四季』が続きます。私たちはこの作品を何回も演奏しています。ダニエル・ホープの録音(マックス・リヒターによる『Recomposed』シリーズ)に参加したり、昨年はニコラ・べネデッティをソリストに迎えて、本拠地のコンツェルトハウス大ホールでも演奏しました。今回は、そうした彼らのユニークな解釈から得た多くの刺激を踏まえながらも、過剰な要素はできるだけ排した中庸の『四季』を目指したいと思います。そして後半の冒頭に置いたのが、バーバー『弦楽のためのアダージョ』。暗くすすり泣くような旋律を情感豊かに歌いながら、重くなり過ぎないように細心の注意を払いたいです」 後半のメインは「弦楽セレナード」。7月19日と20日公演がチャイコフスキーで、16日と18日がドヴォルザークだ。前者は前回の来日でも披露した得意曲だが、後者は今回の直前にベルリンで初披露するそうだ。 「チャイコフスキーの作品はモーツァルトへのオマージュということもあり、純粋に演奏に集中して楽しめます。でも、ドヴォルザークは一筋縄ではいきません。第2楽章の揺らめくような旋律や、第4楽章の静謐さをどう描き、全5楽章の音楽としてまとめるか。現在はまだその設計図を模索中ですが、皆さんに新鮮な発見や喜びをお届けできるように精一杯頑張ります!」9/3(木)11:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net第一生命ホール 雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第2回 鈴木大介(ギター) & 大萩康司(ギター)2人の名手による情熱の響き文:渡辺謙太郎大萩康司 ©Ryotaro Horiuchi鈴木大介 ©Matsunao Kokubo 音楽ライター、山野雄大のわかりやすく楽しいナビゲートも好評な『雄大と行く 昼の音楽さんぽ』。第2回目には、日本を代表するギタリスト、鈴木大介と大萩康司のデュオが登場し、スペインを中心としたテーマで、バラエティ豊かなプログラムを披露する。アルベニス、グラナドス、ファリャの有名曲に加え、ロッシーニや、フォーレ、ピアソラなど、スペイン人以外の作品が含まれているのも面白い。確かな技術とダイナミックな表現力を備えた2人の掛け合いは、作品に潜む情熱や悲しみを余すところなく描き出すことだろう。中でも楽しみなのが、ファリャの歌劇《はかない人生》より「スペイン舞曲第1番」と、ピアソラの「タンゴ組曲」。華麗なフラメンコと哀愁漂うジプシー音楽が巧みにブレンドされた前者は、2人の奏者にぴったりの名曲だ。そして、天才ギター・デュオ、アサド兄弟のために書かれた後者。まるで兄弟のように仲のよい彼らが、このギター・デュオの傑作をどんな呼吸感で歌い上げるかに注目しよう。©Kiyoaki Sasahara

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