eぶらあぼ 2015.7月号
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39有田正広(指揮) クラシカル・プレイヤーズ東京名曲が瑞々しい響きにより新たな魅力を纏う文:寺西 肇ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団テーマは「海」と「時空のコントラスト」文:江藤光紀7/12(日)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp第87回 東京オペラシティシリーズ7/11(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール第632回 定期演奏会7/16(木)19:00 サントリーホール第51回 川崎定期演奏会7/18(土)17:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp 我が国の古楽界の先駆者であり、近年はオリジナルとモダン双方の楽器の特性を生かしたマルチな活動を展開するフルートの有田正広。その有田が、指揮者として率いるオリジナル楽器オーケストラ、クラシカル・プレイヤーズ東京(CPT)が、日本を代表するピアニスト、仲道郁代と共演してのベートーヴェンの協奏曲第3番に加えて、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」やモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」第1楽章と意欲的なプログラムに対峙。今回も、多彩な選曲と繊細な響きで空間を満たし、日本の古楽シーンに新たな1ページを記す。 CPTは、日本初の本格的オリジナル楽器オーケストラとして1989年春に結成され、約20年にわたって先鋭的な活動を続けた「東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ」のメンバーを中心に、2009年6月に組織された。特に古典派以降の作品に焦点を当て、これまで 第2シーズンに入ったジョナサン・ノット&東響。抜群の統率力を誇る指揮者と端正なアンサンブルが持ち味のオーケストラのコンビだが、予定調和をあえて崩すノットの変化球も飛び出したようで、目が離せない。7月の2プログラムも知性派指揮者らしい考え抜かれたもの。そこに込められた意図を確認しよう。 11日の東京オペラシティシリーズは「海」がテーマ。まずは欧州で躍進を続ける細川俊夫の近作「循環する海」。どっしりとした持続の中で海が様々な表情を見せる。続いて萩原麻未の独奏でラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」。ジャジーでリズミカルな箇所も印象的だが、作品全体に立ち込める底知れぬ暗さはどこか深海を思わせるだろう。そしてドビュッシー「管弦楽のための映像」。こちらは打って変わって、南欧の輝かしい太陽を反射する海の姿が描き出される。 16日と18日のプログラムでは、近現代とベートーヴェンが鋭く対峙する。ス日本ではオリジナル楽器で演奏されなかった作品に果敢に挑戦するなど、野心的な取り組みを展開。仲道とも、国内で初めて、ショパンの2つのピアノ協奏曲をオリジナル楽器で演奏するなど、これまで4度にわたって共演を重ねて来た。 5度目のコラボレーションとなる今回、仲道は自身所蔵のジョン・ブロードウッド製作のフォルテピアノ(ロンドン/1816年製)を駆り、ベートーヴェンのトラヴィンスキー「管楽器のための交響曲」は、この作曲家の新古典期の作風を表すシニカルで乾いたサウンドが特徴的だ。厳しく、また力強いバルトークの「ピアノ協奏曲第1番」は、落ち着いた佇まいとノーブルなアプローチで聴き手を魅了するデジュー・ラーンキのソロで。これにベートーヴェンの「運命」交響曲が続く。現代音楽の扉を開いた前半の作曲家たちと対比させることで、クラシックの代名詞のような協奏曲第3番に挑戦。また、前回公演に引き続き、名手・豊嶋泰嗣がソロ・コンサートマスターを務める。さらに、ロマン派の名曲からメンデルスゾーン「イタリア」も披露。日本ではロマン派作品のオリジナル楽器による実演はまだ少なく、貴重な機会となろう。ここへ、モーツァルトの佳品の端正な響きも共鳴してゆく。聴き慣れた名曲も、オリジナル楽器の瑞々しい響きによって、きっと新たな魅力を纏うはずだ。この曲の“危険さ”が伝わってくるのではないか。伝統を伝統として受け止めるのでなく、それが当初持っていた起爆力とラディカルさを再発見したい。左より:有田正広/仲道郁代 ©Kiyotaka Saito/クラシカル・プレイヤーズ東京 ©Hikaru.☆ジョナサン・ノット ©K.Miura萩原麻未©Akira Mutoデジュー・ラーンキ©Andrea Felvégi

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