eぶらあぼ 2015.7月号
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33藤原歌劇団×日生劇場×東京フィル×フェスティバルホール×ザ・カレッジ・オペラハウス 共同制作公演ロッシーニ 歌劇《ランスへの旅》まさにベルカント・オペラの極み文:岸 純信(オペラ研究家)7/3(金)18:30、7/4(土)14:00、7/5(日)14:00 日生劇場問 日本オペラ振興会チケットセンター044-959-5067 http://www.jof.or.jp いまから190年前、フランスのシャルル10世の戴冠を祝って作られた歌劇《ランスへの旅》(1825)。当時のオペラ界の頂点に立つ大作曲家ロッシーニが、パリでイタリア語のオペラを上演するテアトル・イタリアンの舞台に、現役最前線の人気歌手を一人でも多く立たせ、喉の競い合いでステージを賑わせたいと考えて作った一作だけに、その最大の見せ場となるのも、前例のない〈十四重唱〉という大アンサンブルである。ドラマは明るい喜劇仕立て。欧州各国から温泉地に集まった名士たちが、恋の駆け引きも交えて様々に絡みあいながら、最後は皆で仲良く新国王の姿をパリで眺めようと出発するというたわいもないものだが、そこに流れる根本的なテーマは「民族同士の『魂の融和』」と名指揮者アルベルト・ゼッダは力説する。確かに、何かと言えば、国と国が対立しがちな昨今だけに、このオペラが示す理想的な境地が、現代の観客には却って新鮮に映るかもしれない。 また、音楽的には、歌手たちが歌うメロディが19世紀初頭の最高水準を行く難しさであることに注目。今回は、イタリアものを得意とする藤原歌劇団が、幅広い世代から適材適所で名手を選んでいるので、彼ら彼女らが、誰にも遠慮することなく、それぞれの技を惜しげもなく披露する。コリンナ役を佐藤美枝子(7/3,7/5)と砂川涼子(7/4)が歌うのにも注目だ。音の粒を滑らかに繋げて圧倒的な勢いで歌い上げるベルカント唱法の極意を、一同の「いかにも楽しげな歌いぶり」からじっくり聴き取ってみては?砂川涼子ダニエル・ハーディング(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団マーラー「復活」に聴く名コンビの深化文:江藤光紀#545 定期演奏会7/10(金)19:15、7/11(土)14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 http://www.njp.or.jp2010/11のシーズンから始まったダニエル・ハーディングの新日本フィル・ミュージック・パートナーも5期目が終わろうとしている(任期が16年夏まで延長されたので、まだ1年は聴ける!)。マーラーを得意とするハーディングは、新日フィルともたびたびマーラー作品を取り上げてきたが、今シーズンの締めくくりは大作・交響曲第2番「復活」だ。 そもそも両者は船出時点からマーラーでつながっていたと言ってもいい。ミュージック・パートナーお披露目演奏会はマーラー第5番だったが、東日本大震災当日と重なったこの日、彼らの演奏は都内で開かれたわずかな公演の一つとなった。3ヵ月後に行われたチャリティーコンサートも第5番。その後も第9番(12年1月)、第1番(12年5月)、第6番(13年6月)、第7番(13年11月)、第4番(14年11月)と、毎シーズン手掛けており、来年7月には大曲・第8番「千人の交響曲」が予定されている。深化を続けてきた両者のマーラーは、ここにきて声楽を含む超大作群へと歩みを進めようとしている。 2人の独唱、合唱を要する「復活」の演奏時間は1時間半に及び、英雄の葬送に始まり、終楽章では黙示録的なカタストロフの描写を経て復活の神秘が歌い上げられる。的確な表現力と高い集中力が求められる曲だが、独唱陣も豪華。ソプラノのドロテア・レシュマンはいまや世界の著名劇場に定期的に登場し、近年は内田光子との歌曲アーベントも好評を得ている。ハーディングともマーラーの第4番などで共演している旧知の仲だ。クリスティアーネ・ストーティンも躍進を続けるメゾソプラノ。一昨年には来日して、ドイツリートの名品を聴かせてくれた。クリスティアーネ・ストーティン©Joost van den Broekダニエル・ハーディング©Julian Hargreavesドロテア・レシュマン©Jim Rakete佐藤美枝子アルベルト・ゼッダ

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