eぶらあぼ 2015.7月号
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255佐東利穂子『ハリー』より ©Sakae Oguma勅使川原三郎『天才的な時代』より ©Aya Sakaguchi2015年3月5日、シャンゼリゼ劇場でのオペラ《ソラリス》より 佐東利穂子(右)©Vincent Pontet『青い目の男』 7/8(水)19:30、7/9(木)19:30、7/12(日)16:00『ハリー』 7/10(金)19:30、7/11(土)16:00 シアターX(カイ)問 KARAS 03-3682-7441 http://www.st-karas.com勅使川原三郎連続公演『青い目の男』『ハリー』美を探求し続ける男を描く新作と待望の佐東利穂子ソロ文:高橋彩子 ダンス界を長年リードしてきた勅使川原三郎率いるKARAS。近年、その益々の充実ぶりには、目を見張るものがある。新しい表現を生み出す場所として2013年に設立したスペース「カラス・アパラタス」での精力的な作品発表、パリ・オペラ座バレエ団に委嘱された新作『闇は黒い馬を隠す』の振付、パリ・オペラ座エトワールのオーレリ・デュポンを迎えてのKARAS作品『睡眠-Sleep-』…。今年3月には、パリ・シャンゼリゼ劇場から委託を受け、ポーランドの作家スタニスワフ・レムの同名小説を原作にした藤倉大作曲の新作オペラ《ソラリス》で、勅使川原が台本・舞台美術・照明・衣装・振付・演出を手がけて話題を呼んだ。こうした活動の中、一貫性・連続性あるプログラムで光彩を放っているのがシアターXでの連続公演だ。13年以来、現在までに、ポーランドの作家ブルーノ・シュルツのテクストに想を得た『春、一夜にして』『ドドと気違いたち』『空時計サナトリウム』『7月の夜』『天才的な時代』の5つの新作と、アパラタスで発表した佐東利穂子のソロ『パフューム』の再演を行っており、第6回公演の今回は、新作『青い目の男』と再演の『ハリー』を上演する。 『青い目の男』のもとになるのは、シュルツの短編『夢の共和国』。その内容とは、実現不可能な“夢の共和国”について語らっていた“私達”の前に青い目の男が現れ、共和国設立の宣言をするというもの。男の姿には、自身が信じる美を探求し続ける、あらゆる芸術家を重ねることができるだろう。勿論、勅使川原もその一人であるだけに、どのような世界が立ちのぼるのか、楽しみでならない。一方、『ハリー』は昨年末、オペラ《ソラリス》に先駆けてアパラタスで初演された佐東のソロ。従って、オペラの曲は用いられていない。既にこの世におらず、記憶によって再生された存在であるハリーに、オペラでも同役を踊った佐東が再び挑む。こちらも見逃せない舞台だ。8/28(金)~8/30(日) アサヒ・アートスクエア 6/26(金)発売問 alfalfa(アルファルファ)070-6443-8151 http://alfalfalfa.net/『ファム・ファタール』濃厚で芳醇なステージに期待文:乗越たかお撮影:吉田多麻希 そろそろ誕生から30年が経とうとしている日本のコンテンポラリー・ダンス。その長きにわたってシーンを牽引してきた3人の女性ダンサーが、次の時代、次のダンスに向けて結集した。 まずはコンテンポラリー・ダンスで傑出した作品を生み出すのみならず、フィギュアスケート日本代表選手らにも振り付けてきた平山素子。次に様々な有名カンパニーや森山開次などとの共演、自ら振り付けたソロダンスなど、確かな技術と強い存在感を示してきた加賀谷香。そして演劇やミュージシャンのPVなどでは引っ張りだこの人気ながら、最近初のソロ公演も成功させた注目の原田薫…実力・人気の3人である。 しかもタイトルが『ファム・ファタール』、つまり「運命の女」という意味だ。相手の魂をわしづかみにし、ときに破滅にまで追いやるほどの魅力をたたえた女性である。観客全てを魅了する、濃厚で芳醇な舞台を期待したい。

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