eぶらあぼ 2015.7月号
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198自在な選曲と編成で、質の高い演奏を届けている「アンサンブルdeヨコハマ」。今回はロシア出身の名ピアニスト、ミハイル・カンディンスキーを中心に。まずは、ヴァイオリン松原勝也とチェロ間瀬利雄と共に、ラフマニノフとメンデルスゾーンそれぞれの「ピアノ三重奏曲第1番」を。そして、フルート木ノ脇道元とは吉松隆の傑作「デジタルバード組曲」、さらに4人が集結して、吉松のピアノ四重奏曲を披露する。ランチタイムのひととき、荘厳な音色へ気軽に浸れるコンサート・シリーズ。今回は、スウェーデンで学んだ気鋭のオルガニスト、柳澤文子が登場し、バッハ「幻想曲 ト長調」を終着点に据えて、その源流を辿る旅へ。音色を創るレジストレーションの秘密に触れつつ、北ドイツ楽派の租スウェーリンク、コスモポリタンのムファット、バッハの先人ケルル、伊ルネサンスの名匠ヴァレンテら多彩な作品を紹介する。魚谷絵奈は、東京芸大を経てザルツブルク・モーツァルテウム音楽院に学び、国際的な活動を展開する実力派ピアニスト。4回目のリサイタルは、「ハ長調」という調性をテーマに。リストへシューマンが献呈した「幻想曲」、ショパンが献呈した「練習曲 op.10」、リスト編曲によるシューマンの歌曲「献呈」に、モーツァルト「キラキラ星変奏曲」と巧みな選曲。「ファンタジーの旅にできれば」と魚谷は言う。名匠ジルバーマンが開発し、バッハ本人も触れたとされるフォルテピアノ。深い洞察力に基づく作品解釈はもとより、楽器学的な面にも造詣が深く、数々の先鋭的な試みを行ってきた鍵盤楽器奏者の武久源造が今回、その楽器のレプリカでバッハの「パルティータ」全6曲を弾く。この楽器は、クラヴィコードと現代ピアノの中間のような魅力ある音色が特徴的。これを鍵として、名手が佳品への新たな扉を開く。「エローラのゴーシュ」は、音楽監督として東京ヴィヴァルディ合奏団を率いるチェロの渡部宏が、その盟友であるピアノのティモシー・ボザースと共に続けているリサイタル・シリーズ。12回目は声優で舞台俳優でもある中尾隆聖による、宮沢賢治「どんぐりと山猫」の朗読を交えて。ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番を核に、グラナドスやバッハ、ラヴェル、ドビュッシーなど彩り豊かな名旋律を添える。ミュンヘン国立音大に学び、東京学芸大教授として後進を指導するピアノの石橋史生。今回のリサイタルは、一体の作品として取り扱われることの多い、モーツァルトの「幻想曲 K.475」と「ソナタ K.457」を核に。バッハの「パルティータ第1番」と、その無伴奏ヴァイオリン作品からブラームスがピアノの左手のために編曲した「シャコンヌ」、さらにブラームスの「8つの小品 op.76」を。各曲が、有機的に関連付けられている。月の7魚うおたに谷絵奈(ピアノ)東京芸術劇場 ランチタイム・パイプオルガンコンサートVol.112 柳澤文あやこ子アンサンブルdeヨコハマジルバーマンピアノによる世界初録音CD発売記念 武久源造(フォルテピアノ) J.S.バッハ パルティータ全曲石橋史生(ピアノ)エローラのゴーシュ Vol.12 渡わたなべ部 宏こう(チェロ)7/3(金)19:00サントリーホール ブルーローズ(小)7/9(木) 12:15東京芸術劇場 コンサートホール7/4(土)18:00横浜みなとみらいホール(小)7/3(金)14:00、19:00東京オペラシティ 3F 近江楽堂7/14(火) 19:00東京文化会館(小)7/5(日)14:00田園ホール・エローラ文:笹田和人 ©A.Muto左より:ミハイル・カンディンスキー/松原勝也/木ノ脇道元 ©岡本洋子左:ティモシー・ボザース 右:渡部 宏

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