eぶらあぼ 2015.7月号
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172CDSACDCDCDラヴェル:ピアノ・ソロ作品全集/菊地裕介プレイズ・モーツァルト 2015/横山幸雄HORIZON~究極のホルン作品集/日髙剛アルメニアン・ダンス/ジャパン・ウィンド・プレイヤーズラヴェル:古風なメヌエット、亡き王女のためのパヴァーヌ、水の戯れ、ソナチネ、鏡、夜のガスパール、ハイドンの名によるメヌエット、高雅で感傷的なワルツ、シャブリエ風に、クープランの墓 他菊地裕介(ピアノ)モーツァルト:きらきら星変奏曲K.265、ピアノ・ソナタ第8番K.310・第13番K.333・第14番K.457 他横山幸雄(ピアノ)シューマン:アダージョとアレグロ/ワーグナー:《ラインの黄金》より/ベートーヴェン:ホルン・ソナタ/中原達彦:月光のもとで聲を聴く、ハレルヤ! 他日髙剛(ホルン) 三輪郁(ピアノ) 大塚直哉(フォルテピアノ)リード:アルメニアン・ダンス・パートⅠ・パートⅡ、ミュージック・イン・ジ・エアー/ネリベル:コラールと舞曲/ストラヴィンスキー:八重奏曲/三木稔:マリンバ・スピリチュアル甲斐誠(指揮)ジャパン・ウィンド・プレイヤーズ齋藤珠希(マリンバ)オクタヴィア・レコードOVCT-00115(2枚組) ¥3500+税ソニー・ミュージックダイレクトMECO-1028 ¥3000+税TOKYO GEIDAI RECORDINGS/カメラータ・トウキョウCPCD-38004 ¥2800+税マイスター・ミュージックMM-3050 ¥2816+税菊地裕介の繊細な表現力と持ち前の澄みきった美音が活かされた、ラヴェルのピアノ・ソロ作品全集。作曲年代順に収録した2枚組のアルバムで、作風の変遷を追うことができる。「亡き王女のためのパヴァーヌ」や「水の戯れ」といった小品における音のきらめきと色彩感。「夜のガスパール」では、高いバランス感覚と思いきり良く表出された鮮やかなコントラストで、存分に魅せる。高校卒業後、長らくパリで研鑽を積んだ彼のフランスものには定評があるが、今回のラヴェルの録音でも余計なものが取り払われたまっすぐな表現で、瀟洒で独特な作品の魅力を見事に伝えている。(高坂はる香)横山の卓越した技巧は、あくまでも真摯な音楽表現をするための手段でしかない。彼にとって初めてとなるモーツァルト・アルバムを聴き、改めてそれを実感した。冒頭の「きらきら星変奏曲」では、音数の極端に少ない主題にも関わらず音色の美しさ、旋律の自在な歌い回しに圧倒される。ソナタは第8・13・14番と技巧的な要素の強いものを選択しているが、華麗な技巧の誇示には決して終わらず、旋律と和声の関係性、場面ごとに移り変わる楽想の変化を誠実に捉え、ドラマ性の強い解釈に昇華。絶えず作曲家の目線に立ってピアノに向かう彼ならではのモーツァルトだ。(長井進之介)これは圧巻。NHK交響楽団などで活躍後、東京芸大で後進の指導にあたる日本屈指のホルン奏者が、通常の楽器で現代ピアノと共に名曲や名旋律を披露するのみならず、ナチュラル・ホルンでフォルテピアノと、各種の角笛(なんとホラ貝まで!)を吹きこなし、美音と機動力で魅せる1枚。さらに、多重録音によるワーグナー《ラインの黄金》よりの八重奏は、1パートごとに違うメーカーの楽器を吹き分ける凝りよう。たった1人で、響きの宇宙を創出してみせる。芸大第6ホールを舞台とする、シリーズ録音の第1弾でもある当盤。タイトル通り、ホルンという楽器に新たな“地平”を拓く。(笹田和人)気鋭の若手奏者によって構成され、オリジナル作品に絞って活動する新進プロ吹奏楽団の第2弾CD。昨年12月の第2回定期の主要演目が、セッション録音で収録されている。大きな特徴は、「アルメニアン・ダンス」のパート1と2の間に、クラリネット、八重奏、打楽器という形態の異なるアンサンブル曲が挟まれた異例の構成。これはまさに音楽監督・甲斐誠がいう「新しい形のディスク」であり、吹奏楽ファンの視野を広げる有意義な発想だ。演奏も柔らかく丁寧かつフレッシュ。「アルメニアン・ダンス」もじっくりと構築され、定型化された耳には新鮮に届く。(柴田克彦)

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