eぶらあぼ 2015.7月号
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168CDCDCDCDヴェルディ:レクイエム/マゼール&ミュンヘン・フィルJ.S.バッハ:小プレリュードと小フーガ集/カール=アンドレアス・コリーカルリーチェク兄弟 ライヴ・イン・ハーモニーホール・松本ショスタコーヴィチ:交響曲第4番/ラザレフ&日本フィルヴェルディ:レクイエムロリン・マゼール(指揮)ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団アニヤ・ハルテロス(ソプラノ) ダニエラ・バルチェッローナ(メゾソプラノ) 他 J.S.バッハ:12の小プレリュード、6つの小プレリュード、プレリュードとフゲッタBWV 899・BWV900、デュエットBWV804、幻想曲とフーガBWV904、幻想曲BWV 906 他カール=アンドレアス・コリー(ピアノ)ポッパー:ハンガリー狂詩曲/シューマン:民謡風の5つの小品/マルティヌー:スロヴァキア民謡の主題による変奏曲、ロッシーニの主題による変奏曲/プロコフィエフ:チェロ・ソナタ 他ヨゼフ・カルリーチェク(チェロ)ペトル・カルリーチェク(ピアノ)ショスタコーヴィチ:交響曲第4番アレクサンドル・ラザレフ(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団収録:2014.2/6,2/7,2/9、ミュンヘン、フィルハーモニー・ガスタイク(ライヴ)ソニーミュージック SICC-30224/5(2枚組) ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-3049 ¥2816+税収録:2014.7/21、松本音楽文化ホール(ライヴ)ナミ・レコード WWCC-7787 ¥2500+税収録:2014.10/24,10/25、サントリーホール(ライヴ)オクタヴィア・レコード OVCL-00568 ¥3000+税マゼールのほぼ最後の録音か。映像作品を除けばCDとしてはこの指揮者初の「ヴェルレク」であるが、冒頭の澄み切った弱音のたゆたいからして、ただごとではない気配が漂う。強烈な表現意欲のかたまりであったマゼールがこういう“彼岸の音楽”という他にないような演奏をするとは全く意外だが、演奏家最晩年の演奏には不思議とこういうことが起こる。全曲を通してゆったりとした運びを見せながらも「怒りの日」では逆に煽るような高速テンポでダイナミックに盛り上げる。約90分、その統率にいささかの緩みも見られない。また、声楽陣の優秀さは数ある同曲中でも特筆に値する。(藤原 聡)グールドの鮮烈さの揺り返しのような、現代ピアノによるバッハ演奏の停滞期を経て、いま再び「モダンのバッハ」が活況を呈しつつある。その立役者の1人が、スイスの名匠コリー。しっとりとした楽曲と晴れやかな作品、リズムが優先される曲か、それとも和声か。基本とするタッチを楽想によって巧みに変え、小気味良い装飾と共に、現代ピアノにしかできない繊細な表現を聴かせている。ピアノ学習者にもお馴染みの小プレリュードなどに、「幻想曲とフーガ BWV904」のような難曲を交えた当盤。シンプルな楽曲にも特に丁寧かつ真剣に向き合い、その美点を改めて知らしめてくれる。(寺西 肇)チェコ出身の気鋭の兄弟デュオが、昨年7月に松本で行ったライヴの記録。前作のセッション録音から約7年が経過し、兄のピアノと弟のチェロはより自在で深みのある対話を聴かせてくれる。両者とも大らかで上品な歌い回しが特徴。アンサンブルではどちらかがリードするのではなく、常に一体感を保ち、雄弁かつ緻密に進んでゆくのが爽快だ。自国の作曲家マルティヌーの2つの変奏曲の演奏はいずれも深い共感にあふれ、表情の豊かさと踏み込みの深さが格別。そしてプロコフィエフのソナタも明晰で切れ味が鋭く、情熱と洗練された音楽性が調和した演奏を繰り広げている。(渡辺謙太郎)現在進行中のラザレフ&日本フィルによるショスタコーヴィチ・シリーズ。代表的な傑作にして問題作である第4番を取り上げ、同コンビの成熟度を示す演奏で成功を収めたライヴの記録。圧倒的な迫力や推進力は期待通りのすさまじさ。ただ、例えば「f」の指示でも“爆音”にはせず、あくまで“楽音”として扱うなど、ラザレフはことさらに刺激性を強調はしない。日本フィルから澄んだ音を引き出し、繊細かつ抒情的な表現を重視することで、この異形の大作の核心に迫る。弱音のコーダは楽譜の指示以上にテンポを落として幽玄な空間を現出し、最後に到達する解決しないチェレスタのD音が胸を打つ。(林 昌英)

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