eぶらあぼ 2015.6月号
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68『MORPHED―モーフト』 テロ・サーリネン・カンパニーサロネンとサーリネンが生みだすエモーショナルな空間文:江藤光紀芸劇 & N響ジャズ東京芸術劇場がジャズ・クラブに変身!?文:オヤマダアツシ6/20(土)15:00、6/21(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場問 彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939 http://www.saf.or.jp7/10(金)18:30 東京芸術劇場コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp コンテンポラリーダンス界をリードするテロ・サーリネンが、自らのダンス・カンパニーを率いて6月に来日する。本誌5月号の「Danza inside」でも紹介されているが、現代音楽やクラシックのファンにも見過ごせない公演だ。 サーリネンが今回さいたま芸術劇場で披露する『MORPHED―モーフト』は、フィンランド出身の同郷人エサ=ペッカ・サロネンの音楽を用いている(「無伴奏ホルンのための演奏会用練習曲」「フォーリン・ボディーズ」「ヴァイオリン協奏曲」)。周知のようにサロネンは、フィルハーモニア管の音楽監督を務めるなど世界を股にかける人気指揮者でサーリネンとも旧知だが、もともとは作曲家で、現在も精力的に創作を続けている。 現代音楽と言っても、サロネンの音楽は華麗なオーケストレーションと躍動感あふれるリズムで、一瞬にして聴き手を魅了する。日常のインスピレー クラシック音楽とジャズが融合して生まれたのは、シンフォニック・ジャズと称される新しいエンタテインメント。しかし演奏がハイセンス&ハイクオリティでなければ、単なる“ジャズの真似”に終わってしまうのも事実だ。であるなら、多彩なジャンルの音楽を演奏するNHK交響楽団がチャレンジすれば、都会的でゴージャスなサウンドを浴びることができそうである。 東京芸術劇場とN響がタッグを組んだコンサートは、「BEBOP BERNSTEIN」というサブタイトルが示すように、その道の開拓者であるレナード・バーンスタインにオマージュを捧げたプログラムだ。クラリネットとジャズ・オーケストラ(ビッグバンド)のために書かれた「プレリュード、フーガとリフ」やジャズ風のバレエ音楽「ファンシー・フリー」、そしてサーカスの音楽を思わせる部分が印象的な「ディヴェルティメント」という3つのバーンスタイン作品は、吹奏楽ファンションを楽譜に落とすタブレットPCのCMで、その一端に触れた人も多いだろう。この時のCM曲「ヴァイオリン協奏曲」は、日本初演時にソロの諏訪内晶子が熱演のあまり弦を切ってしまったほどダイナミックな曲だが、これも含め今回サーリネンは3つの楽曲からダンス作品を仕上げた。 「モーフト」は「絶え間なく移りゆくもの」を意味し、天井から何本もの縄がぶら下がったシンプルな舞台上で、8人のダンサーが出会い、争い、愛、憎しみなどの様々な感情をぶつけていく。自身も認めるようにサロネンの音楽は身体性を強く帯びてにもおすすめ。それに加え、先達であるガーシュウィンの「パリのアメリカ人」と、デューク・エリントン楽団がジャズの領域からシンフォニック・ジャズに挑んだ「ハーレム組曲」(多彩な音を出すトランペットが大活躍)もホールに鳴り響く。いるが、「サーリネンのダンス作品に触れ、自作に潜むエモーショナルな側面に改めて気づかされた」という。ダンスとのコラボによって引き出されたこの“エモーショナルなもの”こそが、公演の見どころになるのではないか。 指揮はバーンスタイン門下のジョン・アクセルロッド、ソリストのゲストはニューヨークを拠点に活動しているクラリネット奏者の大島文子。この日ばかりは東京芸術劇場がハイソなジャズ・クラブに変身だ。エサ=ペッカ・サロネン ©Benjamin Ealovegaテロ・サーリネン ©Tanja AholaNHK交響楽団ジョン・アクセルロッド ©Stefano Bottesi

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