eぶらあぼ 2015.6月号
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66扱う作品になるはずです。実は私、現代ものも大好きです。50年後、100年後の歴史に残るかもしれない音楽が誕生する瞬間に立ち会えるなんて貴重ですよ」 気軽に出かけられるお昼のコンサートながら、充実の中身。どちらも実に聴きごたえありそうだ。©Akira Mutoサントリーホール チェンバーミュージック・ガーデンENJOY! ウィークエンドVol.2 6/12(金)14:30 美声のシャワー~華麗なる歌曲とアリアの万感交錯Vol.4 6/19(金)11:00 精彩放つ音のファンタジー~歌心溢れるパーカッションサントリーホール ブルーローズ(小)問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017※チェンバーミュージック・ガーデンの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://suntory.jp/HALL天羽明惠(ソプラノ)午後のひと時を声の饗宴でお楽しみください取材・文:宮本 明Interview 「1時間の枠の中に凝縮したプログラム。遊びに来る感覚で楽しんでください」 リリックな美声と繊細なコロラトゥーラの技巧でファンを魅了する天羽明惠。5年目を迎えたサントリーホールの初夏の室内楽シリーズ『チェンバーミュージック・ガーデン』で、「ENJOY! ウィークエンド」2公演に出演する。選りすぐりのアーティストの演奏をお得な価格で楽しめる、週末の昼間のコンサート。しかもワン・ドリンク・チケット付きだ。 「ブルーローズ(小ホール)のステージと客席を横に配置して使用するのも特徴です。お客様と演奏者の距離が近いので、息づかいが直接感じられるほどの一体感が生まれますし、演奏者を真横から見るというのも面白い体験になるのではないでしょうか」 天羽は1993年に発足した「サントリーホール・オペラ・アカデミー」の第1期生。現在はその指導スタッフも務めている。Vol.2「美声のシャワー」と銘打った公演は、野田ヒロ子(ソプラノ)、今尾滋、櫻田亮(以上テノール)、古藤田みゆき(ピアノ)ら、アカデミーの仲間たちによる歌曲とアリアのプログラムだ。 「アカデミーは、お互いが自分の声を聴いてくれる信頼できる“耳”を持とうという意識で、20年以上続いています。家族のように仲良しでもあり、厳しくもあり、お互いの方向を確認できる場所です。今回は4人がそれぞれ歌いたい曲を自由に選んだので、幅広い多彩な曲目を聴いていただけます。私はモーツァルトを選びました。モーツァルトって、全部の音がきれいじゃないと成立しないんです。いかにピュアで良い音を出せるか、室内楽アカデミーの若い人たちと一緒に作り上げられたらと思います」 そしてVol.4「精彩放つ音のファンタジー」では、打楽器の安江佐和子との共演。 「音や音楽に対する彼女の姿勢は素晴らしくて、いつも刺激を受けています。今回は安江さんからご指名いただき、曲目もすべて彼女が選んだものです。杉山洋一さん編曲の『朧月夜』はハーモニーの移り変わりがあまりにも美しく、送られてきた楽譜を見た時、興奮してメールしちゃいました(笑)。安江さん作曲の新曲もどうぞお楽しみに。声を、旋律線ではなくちょっと違った形で7/4(土)15:00 よこすか芸術劇場問 横須賀芸術劇場046-823-9999 http://www.yokosuka-arts.or.jp横須賀製鉄所(造船所)創設150周年記念 ポール・メイエ(クラリネット)& アンサンブル横須賀で味わう極上のアンサンブル文:宮本 明ウェールズ弦楽四重奏団 ポール・メイエ ©Vandoren Edith Held サブタイトルに「モーツァルト→ベニー・グッドマン」とあるとおり、バロックから古典派、プロコフィエフやバーンスタインにジャズまで盛り込んだ、楽しそうなコンサート。名手ポール・メイエは、若い頃ニューヨークで晩年のベニー・グッドマンに絶賛され、このジャズ・レジェンドとの交流を通じてジャズやポップスにも活動の場を拡げてきた。だから、この謳い文句は伊達ではない。腕利きが揃った赤丸急上昇中の若手クァルテット、ウェールズ弦楽四重奏団と共演するというのも楽しみ倍増ポイントだ。また、この公演は「横須賀製鉄所(造船所)創設150周年記念」と銘打っている。幕末にこの地に造船所(当初は製鉄所)を建設する際に、西洋の先端技術を導入するために招かれたのがフランス人技師だったというから、横須賀でフランス人奏者のメイエが演奏するのは、日仏友好の歴史からも意味のあることなのだ。夏の初めの週末、潮風を感じながら極上のアンサンブルを!

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