eぶらあぼ 2015.6月号
47/213
446/7(日)14:00 東京文化会館(小)問 イマジンチケットセンター03-3235-3777http://www.concert.co.jp水谷川優子 チェロリサイタルシリーズ Vol.810本の弦が織り成す清新な響き文:柴田克彦 似ているようで遠く、ましてやデュオの機会など滅多にないのが、チェロとギター。そのコラボレーションが、水谷川優子の『チェロリサイタルシリーズ Vol.8』で実現する。 ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院を首席で卒業した水谷川は、現在日本とドイツを拠点に、独奏や室内楽などに加え邦楽をはじめとした異分野とのコラボを行うなど、多彩な活動を展開。豊かな感性と音色が際立つ実力派チェリストとして高い評価を得ている。ギターは鈴木大介。武満徹から絶賛されて以来、現代曲の初演、美術展でのコンサート、斬新なアルバム制作などで注目を集める、新世代の名手だ。プログラムは、響きの交錯が特に興味深い「アルペジオーネ・ソナタ」のほか、パガニーニ、ファリャ、ヴィラ=ロボスなど、この共演に相応しいラテンものがズラリ。さらにはブラジルの巨匠ジナタリの「チェロとギターのためのソナタ」といったレアな曲も生体験できる。二人はモーツァルテウムの同窓生として交流も深い間柄。ここでしか聴けない10弦の“あや=綾・彩”を満喫しよう。6/25(木)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.comヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ)バッハとシルヴェストロフが出会う時文:飯田有抄 “鬼才”・“奇才”と称され、強いカリスマ性を放ち続けるピアニスト、ヴァレリー・アファナシエフがトッパンホールに登場する。深い思索、厳しさ、そして愛に満ちた彼の音楽観が、鍵盤音楽の最高傑作の一つであるバッハの「平均律クラヴィーア曲集」をもって聴衆の前に立ち上る。文学者であり、哲学に通じるアファナシエフの研ぎすまされた知性が、理数的な美を感じさせるバッハの構造美を確かに、そして力強く伝えてくれることだろう。「平均律」から演奏されるのは、第1巻の第1・8・22番、および第2巻の第5・7・8・9・14・16番だ。そして1巻と2巻の間には、ウクライナの現代作曲家シルヴェストロフの作品が2つ挿し込まれている。調性を臆することなく用い、静謐かつドラマ性に富んだシルヴェストロフの作品は、聴く者の追憶の扉を開けてしまう。アファナシエフの温かくもどこか孤独な様相を帯びる音色によって、心抉られるような聴取体験となるかもしれない。特別な一夜になりそうだ。6/20(土)15:00 大田区民ホール・アプリコ問 大田区民ホール・アプリコ03-5744-1600 http://www.ota-bunka.or.jp読響 × アプリコ クラシック二大傑作選 皇帝&新世界新鋭指揮者と名手で聴く2大名曲文:笹田和人仲道郁代©Kiyotaka Saito クラシックの名曲と共に贅沢な時間を過ごす大田区民ホール・アプリコの人気シリーズ『読響×アプリコ』。今回は、注目の新鋭指揮者・石川星太郎が登場し、読売日本交響楽団とともに、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」とベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」という2つの名曲を届ける。東京芸大指揮科を首席で卒業し、現在はロベルト・シューマン大学デュッセルドルフで研鑽を積む石川。名匠ゲルハルト・ボッセの後任として神戸市室内合奏団の指揮台に立つ一方、スイス・ボズウィルの現代音楽アンサンブルに招聘されてツアーを率いるなど、国際的に活躍している。「家路」のタイトルでも広く知られる第2楽章をはじめ、魅力的な旋律が満載で、最もポピュラーなシンフォニーの一つである「新世界より」。日本を代表するピアニストであり、特にベートーヴェン演奏には定評のある仲道郁代を迎えての「皇帝」。この2名作を石川がどのように聴かせるのだろうか。期待は高まるばかりだ。石川星太郎水谷川優子©Masaru Mizushima鈴木大介©Matsunao Kokubo
元のページ