eぶらあぼ 2015.6月号
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37ワレリー・ゲルギエフ(指揮) ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団新たなシェフを迎えた名門オーケストラの響き文:渡辺謙太郎高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモック管弦楽団新時代の到来を告げる意欲的なプログラム文:オヤマダアツシ11/25(水)19:00 フェスティバルホール 問 フェスティバルホール06-6231-222111/26(木)18:45 愛知県芸術劇場コンサートホール問 東海テレビ放送事業部052-954-110711/28(土)14:00 イズミティ21(仙台市泉文化創造センター)問 東日本放送022-215-254511/29(日)14:00(完売)、12/1(火)19:00(完売)、12/2(水)19:00 サントリーホール問 チケットスペース03-3234-9999 http://www.mphill.jp辻井伸行出演公演:11/25,11/26,11/28,11/29,12/1第290回 定期演奏会 6/5(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第41回 ティアラこうとう定期演奏会6/20(土)14:00 ティアラこうとう問 東京シティ・フィルチケットサービス  03-5624-4002 http://www.cityphil.jp 期待の新コンビが、早くも日本デビューを飾る! 今年9月からミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任するワレリー・ゲルギエフ。そのお披露目を兼ねて、ドイツ屈指の名門オーケストラが約2年ぶりに日本ツアーを行う。ロシアの鬼才が、ドイツ伝統の響きとどう向き合うのか、その手腕に期待が高まる。 ソリストには辻井伸行が登場し、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏する。ゲルギエフとは2012年から共演を重ね、互いに信頼が篤いこともあり、親密でダイナミックな名演が期待できそうだ。 そして今回は、メイン演目も名曲揃いだ。なかでもブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」は、ぜひとも聴いておきたい。なぜなら、同フィル歴代の錚々たる首席指揮者 ——レーヴェ、ハウゼッガー、カバスタ、ケンペ、チェリビダッケらは、ブルックナーを得意とし、演奏史に重要な足跡を残し続けてきたからだ。これまでにブルックナーの作品 今年の4月11日、新常任指揮者となった高関健が登場し、記念すべき創立40周年のシーズンをスタートさせた東京シティ・フィルハーモック管弦楽団。スメタナの「わが祖国」全曲という意欲的なプログラムを、生命感にあふれた音楽絵巻として演奏し、新時代の到来を聴衆へ宣言した。を手がける機会が少なかったゲルギエフが、パイプオルガンのように荘厳な響きや、精密なアンサンブルの綾をどう描くかに注目しよう。 さらに別プログラムには、チャイコフスキーの「悲愴」や、ショスタコーヴィチの第9番といったゲルギエフ十八番の交響曲を配置。多彩な首席指揮者の個性に柔軟に対応しつつ、ドイツ系のレパートリーでは芯の通った伝統を保持してきたこの名門オーケストラは、ロシアのカリスマとも美しい果実を結ぶに違いない。 その高関健は、計13回ある年間の定期演奏会(東京オペラシティおよびティアラこうとう)のうち6回を指揮するが、そのうちの2回が早くも6月に。東京オペラシティにおける第290回定期では、高関時代の安定化と真価を問うようなプログラムが用意されている。弦楽合奏でありながら鋭い切れ味と重厚感が心を打つオネゲルの交響曲第2番から始まり、竹山愛をソリストに迎えるニールセンのモダンなフルート協奏曲(作曲者生誕150年の記念に)、そして高関だからこそスコアの鋭い読み込みに期待したいベートーヴェンの交響曲第5番へ。 一方のティアラこうとうで行われる第41回定期演奏会では、ドイツ・ロマン派の語法とオーケストラの相性が試されるシューマンの交響曲第1番「春」、そして管楽器のソロイスティックなパッセージが頻出するリムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」を。どちらも聴きどころが多数あり、高関のアプローチ、そしてシティ・フィルのダイナミズムと躍動感に期待できるプログラムだろう。シティ・フィルもしばらく聴いていないな…という方こそ、ぜひリフレッシュしたこのオーケストラを体験しにホールへ。ワレリー・ゲルギエフ ©Alexander Shapunov辻井伸行 ©Yuji Hori高関 健 ©大窪道治

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