eぶらあぼ 2015.6月号
187/213

200チェロやヴィオラを担当する田崎瑞博の編曲で、聴く者をあっと驚かせる取り組みを披露してきたアンサンブル『音楽三昧』。今回の“お題”は、シューベルトの「未完成」。交響曲を室内楽版で聴かせるだけでなく、2つの楽章を付け加えて、“完成”させてしまう試みだ。他にも交響曲第5番の第1楽章や、ピアノ作品の「4つの即興曲 D899」などへ違った響きを纏わせることで、新たなシューベルト体験への扉を開く。大胆さと緻密さが同居する音楽性が魅力のピアニスト、田中良茂。桐朋学園大学・同大学院を経て、ケルン音大・同大学院でも研鑽を積み、キジアーナ音楽院では巨匠ポリーニに絶賛された。そんな名手が取り組んできた、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ連続演奏会が、いよいよ最終章へ。まずは13時開演の第9回で第1~4番をベーゼンドルファーで、さらに19時開演の第10回で第30~32番をスタインウェイで弾く。石田多紀乃は音楽の自然な流れと美しい響き、説得力ある表現力、何よりも真摯な姿勢が共感を呼ぶピアニスト。後進の指導にも力を注ぐ彼女が1994年から20年以上にわたって、毎年続けているリサイタル。今回はベートーヴェン「悲愴」と矢代秋雄のソナタに、ドビュッシー「ベルガマスク組曲」と「映像」第2集、さらにエマヌエル・バッハの幻想曲ヘ長調という、時空を超越する独創的なプログラムに挑む。美しい音色のみならず、奏でられる楽曲に湛えられた深い精神性でも聴衆を惹きつけるピアノの藤原由紀乃。4歳からミュンヘンの名教師アンナ・シュタードラーのもとで学び、国際的な檜舞台で活躍を続けてきた。今回は、リスト唯一のピアノ・ソナタを中心に。ベートーヴェンのソナタ第17番「テンペスト」と、超絶技巧で知られるリストのエチュード「ラ・カンパネラ」、ショパンのバラード第2番を弾く。「日本を代表するリスト弾き」として知られる、ピアニストの渡辺健二。東京芸大を経てハンガリーの名門リスト音楽院に学び、難関ミュンヘン国際コンクールなど数多くの登竜門で入賞を果たした。今回のリサイタルでは、リスト「ペトラルカのソネット」第47・104・123番を核に、シューベルト中期の傑作であるソナタ第16番、バルトーク「子どものために」第2集を置き、独自の音の宇宙を構築する。「ワンコインで、質の高い音楽を味わえる」と好評の、所沢ミューズの「大人のための500円コンサート」シリーズ。今回は、バーゼル音楽院修士課程を最高点で修了後、スイスを中心に欧州で活躍する気鋭のチェリスト、新倉瞳が初登場。バッハの無伴奏組曲第1番に、ピアノの櫻井さやかを伴ってのベートーヴェンのソナタ第3番やサン・サーンス「白鳥」、ポッパー「ハンガリー狂詩曲」と、珠玉の名曲を紡ぎ上げる。月の6アンサンブル『音楽三昧』「(未)完成交響楽」ベートーヴェン ピアノ・ソナタ連続演奏会Ⅸ・Ⅹ 田中良茂(ピアノ)藤原由紀乃(ピアノ)渡辺健二(ピアノ)大人のための500円コンサート新倉瞳(チェロ)石田多紀乃(ピアノ)6/4(木)19:15東京オペラシティ リサイタルホール6/7(日)13:00 19:00東京オペラシティ リサイタルホール6/6(土)18:00 東京文化会館(小)7/5(日)17:00 電文ザ・コンサートホール6/5(金)19:00東京文化会館(小)6/7(日)13:00所沢市民文化センターミューズ アークホール6/7(日)14:00浜離宮朝日ホール文:笹田和人

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です