eぶらあぼ 2015.6月号
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170CDCDCDファンタジー/塩安真衣子ドヴォルザーク:交響曲第4番&チェコ組曲/ヘンゲルブロック&北ドイツ放送響サムライ、海鳴り/舘野泉武田忠善 クラリネット・リサイタルベダール:ファンタジーグリエール:12のやさしい小品デュボワ:ソナタヴィラ=ロボス:ファンタジアJ.S.バッハ(グノー編):アヴェ・マリア塩安真衣子(サクソフォン)羽石道代(ピアノ)ドヴォルザーク:交響曲第4番、チェコ組曲トーマス・ヘンゲルブロック(指揮)北ドイツ放送交響楽団梶谷修:祈り/吉松隆:NHK大河ドラマ『平清盛』より「遊びをせんとや」「海鳴り」/光永浩一郎:サムライ/ゴドフスキー:エレジー/マグヌッソン:アイスランドの風景 他舘野泉(ピアノ)ラボー:ソロ・ドゥ・コンクール/ヴィドール:序奏とロンド/ドビュッシー:クラリネットのための第1狂詩曲/プーランク:クラリネット・ソナタ/ブラームス:クラリネット五重奏曲武田忠善(クラリネット)斎藤雅広(ピアノ)水野佐知香、荒井章乃(ヴァイオリン)大野かおる(ヴィオラ)藤村俊介(チェロ)マイスター・ミュージックMM-3048 ¥2816+税ソニーミュージックSICC-30221 ¥2600+税エイベックス・クラシックスAVCL-25870 ¥3000+税収録:2014年10月24日、紀尾井ホール(ライブ)コジマ録音 ALCD-9151 ¥2800+税サクソフォン・カルテット・アテナのメンバーとして同楽器のファンにはおなじみである塩安の、初のソロ・アルバム。3つのサックスのために書かれたオリジナル曲を軸にしたシリアスな内容が、強い意欲と高い見識を感じさせる。演奏は全体にしなやかで軽やか。1曲目のベダール「ファンタジー」の冒頭から、なめらかな音色と軽妙な節回しに耳を奪われる。グリエールの「12のやさしい小品」は元々ヴァイオリン曲だが、まるでオリジナル曲のよう。次々に変わる風景が実に愉しく、デュボワとヴィラ=ロボスの作品でも、技術力の高さと表現の幅広さが如実に示される。濃密にして心地よい1枚。(柴田克彦)首席指揮者の任期延長も発表され、北ドイツ放送響とのコラボも安定期に入ってきたヘンゲルブロックだが、本盤はその初シーズン(12年6月)に録音されたもの。全篇に躍動感が漲り過剰なくらいに元気なのだが、いわば“新婚ほやほや”の演奏と考えれば納得がいく。飛び回るように忙しいポルカやメヌエット、フリアントといった舞曲(「チェコ組曲」)にも、細やかな気遣いが行き届いているのが微笑ましい。ドヴォルザークの4番は一風変わった選曲だが、古楽に強い指揮者ならではの力強く筋の通った解釈で曲の真価を問うている。畳み掛けるように追い込んでいくフィナーレは聴き応えがある。(江藤光紀)舘野泉、3年振りの新録音。「…左手の作品は最近も優れたものが発表されているが、それもあとどれだけ録音して後世に残せるかと考えることもある」との舘野の言葉通り、このピアニストが2012年から13年にかけて行なった『舘野泉フェスティヴァル〜左手の音楽祭』で弾いてきた曲を集大成したアルバムである。冒頭の梶谷修「祈り」の、美しくも決して感傷に陥ることのない強い意志を感じさせる歌からいきなり引き込まれるが、全曲にわたって、単に「新しく、かつ知られていない左手用の楽曲を紹介」するというレベルに留まらない傑作揃いと断言できよう。お薦め。(藤原 聡)朴訥とした演奏を予想して封を切る。だが、冒頭からいきなり剃刀のように鋭い音色と技巧が飛び出してきて呆然とした。国際的なクラリネット奏者で、今年から国立音大の学長も務める武田忠善。昨年10月に紀尾井ホールで行ったデビュー35周年記念リサイタルのライヴ盤だ。共演も斎藤雅広をはじめ、水野佐知香、藤村俊介ら豪華な顔ぶれが集結。ラボーやプーランクの、見通しの良さと即興性は特に圧巻だ。ラストのブラームスも、作曲家晩年の境地を描く際にみせる、澄明な音色と緊張感が秀逸だ。実演を聴き逃したのが実に残念…。(渡辺謙太郎)CD

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