eぶらあぼ 2015.5月号
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76中村紘子(ピアノ) トーク&コンサート Vol.3 「ロシアの六月」情熱的なピアニズムが復活!文:長井進之介6/19(金)13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp 華やかな音色を駆使したスケールの大きな演奏はもとより、国内外のコンクールの審査員やマスタークラスの開催等で後進の育成にも尽力し、日本のピアノ界を牽引し続ける中村紘子。講演会やメディアにも積極的に出演し、軽妙な語り口で人気を集める彼女の真骨頂とも言える『トーク&コンサート』の第3回目が開催される。様々なテーマを設定し、多くの人々に愛される名曲を、歯に衣着せぬ「本音」トークと共に繰り広げる、大人気の企画である。今年は体調不良で心配なこともあったが、見事に復活を果たしたばかりの中村。彼女の元気な姿はもちろん、多くの聴衆を魅了してやまない、輝かしい演奏の復活にも期待が膨らむ。 「ロシアの六月」をテーマに掲げた今回のプログラムは、中村の情熱的なピアニズムを余すことなく楽しめる重厚なもの。「6月」のために書かれたチャイコフスキー「四季」の〈舟歌〉に始まり、中村が得意とするラフマニノフからは、甘美な旋律が魅力の「幻想的絵画」第1曲〈舟歌〉と、彼女の十八番である前奏曲「鐘」。最後に控えるのはムソルグスキーの「展覧会の絵」だ。色彩感、繊細さと大胆さとが融合した作品を、切れ味鋭いトークと共に楽しめる時間は非常に有意義なものとなるはず。梅雨時である6月は気分が塞ぎがちだが、遠いロシアの大地へと想いを馳せつつ、中村のドラマティックなピアノに耳を傾け、ジメジメ気分を吹き飛ばそう。©Hiroshi Takaoka左:ベルギー金管アンサンブル 右:ミシェル・ベッケ Photo:Marie-France MONTANT6/24(水)18:45 電気文化会館ザ・コンサートホール6/25(木)19:00 京都コンサートホール(小)6/26(金)19:00 伊丹アイフォニックホール 6/28(日)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jpベルギー金管アンサンブル Special Guest ミシェル・ベッケ(トロンボーン)至高の名手と強者たちがおくる、変幻自在のブラス・サウンド文:柴田克彦 五重奏などコンパクトな編成の金管アンサンブルも愉しいが、それらを含む様々な編成が楽しめるとなれば、当然さらに面白い。そんな夢を実現させたのがベルギー金管アンサンブル。トランペット4名、トロンボーン4名、ホルン2名、テューバ1名、打楽器2名の計13名が揃い、合奏はもとより、金管五重奏、トロンボーン四重奏など、多様なアンサンブルを堪能させてくれる。メンバーは、リエージュ・フィルやワロニー王立劇場、吹奏楽界に名を馳せるベルギー空軍軍楽隊のソロ奏者をはじめ、同国の著名楽団で活躍する精鋭たち。彼らは、打楽器を含む編成と相まってのフレキシビリティ、豊かなニュアンス、幅広い音色、快適な響き、高感度の音楽性で、唯一無二の魅力を満喫させる。しかも公演には、フランスを代表するブラス界の巨星にしてトロンボーンの“神様的”な存在の一人、ミシェル・ベッケがゲストで参加。彼の精緻なテクニックとベルベットトーンまで味わえるとなれば、もはや贅沢極まりない。 演目は、ガブリエリの定番曲やヴィヴァルディから、ビゼーの「カルメン組曲」、ピアソラや「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ライオン・キング」まで極めて多彩。これはブラス公演の常道ではあるが、彼らの場合、こうした楽曲がいかなる編成やサウンドで演奏されるのか? も大きな妙味となる。ベルリオーズ「葬送と勝利の大交響曲」の「追悼の辞」やウェーバー、ピアソラで聴かせるベッケのソロも、むろん貴重にして嬉しい贈り物。あらゆる聴衆の好みと音楽的好奇心を満足させる当公演に、こぞって足を運ぼう!
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