eぶらあぼ 2015.5月号
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208「観客にも、演奏家にも、大きな負担と挑戦になる王道プログラム。これでいこう」。N響第1コンサートマスターで、その容貌から「マロ」の愛称で親しまれているヴァイオリンの篠崎史紀。3つのソナタに、「F.A.E.ソナタ」からのスケルツォを加えた「ブラームス全曲」を主催者から打診され、こう快諾したという。ロシア出身のピアノの名手イリヤ・イーティンをパートナーに、ブラームスの壮大な音の宇宙と対峙する。Pacicmodernはヴァイオリニストの姉・山下美音理(みねり)と、作曲家兼チェリストの弟・山下いずるによる演奏ユニット。時にゲストを交えて自在に編成を変えつつ、古典から、いずる作曲の実験的な作品まで、幅広く手掛けている。今回は、ピアノの白石光隆を迎えて。ラフマニノフの第1番、ドヴォルザークの第3番「ドゥムキー」、ベートーヴェンの第7番「大公」と、ピアノ三重奏の佳品を特集する。昨年11月、チェリストの登竜門として知られるエマニュエル・フォイアマン・グランプリを弱冠19歳で制して、話題となったフランス出身のオーレリアン・パスカル。その興奮も冷めやらぬうちに来日を果たし、初リサイタルに臨む。ブラームスの第2番、ドビュッシー、グリーグと3つの名ソナタに、ポッパーの「小さなロシアの歌による幻想曲」を配した、意欲的なプログラム。瑞々しい才能に、いち早く触れてみたい。大人の街・銀座を舞台に、出演者の息遣いまで感じられる小ぶりな空間で、傑作のエッセンスを愉しむ「銀座オペラ」。第5弾では、プッチーニの不朽の名作「蝶々夫人」を取り上げる。タイトルロールの小川里美をはじめ、与那城敬(シャープレス)や高田正人(ピンカートン)、鳥木弥生(スズキ)と豪華な顔ぶれ。清水のりこがエレクトーンを担当、カウンターテナーとして活躍する彌勒忠史の演出も期待できよう。瑞々しい感性で聴衆を魅了する一方、音楽史の彼方に埋もれた知られざる作品の発掘・蘇演にも力を注ぎ、若くして“鬼才”と称されているヴァイオリンの佐藤久成。今回は、ロシア出身のチェロのドミトリー・フェイギンと、長くドイツで活躍してきたピアノの川島基、2人の仲間を迎え、チャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出に」とメンデルスゾーンの第1番、スメタナと3つのピアノ三重奏曲を披露する。ウィーン・フィル首席を務め、「現代フルート界を代表する名手」と目されるカール=ハインツ・シュッツが、再び美音を聴かせてくれる。今回はピアノの島田彩乃との共演。フランクのソナタ、シューベルトの「しぼめる花」による序奏と変奏曲、デュティユーのソナチネ、チャールズ・デラニー「…そして不思議な見知らぬ花が…」と“王道”の名曲に、8歳のモーツァルトが書いた「ソナタハ長調K.14」を添える。月の5銀座オペラVol.5プッチーニ《蝶々夫人》ハイライト佐藤久成(ヴァイオリン)と仲間たち~偉大な芸術家の思い出にオーレリアン・パスカル(チェロ)篠崎史紀が奏でるブラームス・ヴァイオリン・ソナタ全曲カール=ハインツ・シュッツ(フルート)Pacicmodern Classic Concert Vol.11~「大公」&「ドゥムキー」5/1(金)19:00、5/2(土)17:00ヤマハホール5/16(土)14:00東京文化会館(小)5/8(金)19:00かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール5/5(火・祝)14:00王子ホール5/17(日)14:00トッパンホール5/8(金)19:00大田区民ホールアプリコ(小)文:笹田和人 ©Armin Plankensteiner高田正人小川里美 ©大杉隼平

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