eぶらあぼ 2015.5月号
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178し、毎回趣向を凝らした企画を行ってきた。受賞公演「東洋と西洋の絃」はギターと箏のみという異色の楽器編成による演奏会である。古典のほか武満徹、伊福部昭作品などを織り交ぜながら、国内外の作曲家による良質な新作初演を提供する好企画であり、選曲センスと演奏レヴェルの両面でバランスがとれて、極めて充実した内容であった。同演奏会の成果は名古屋の音楽会にとどまらず、我が国の音楽文化全体に一石を投じ得る。■福井敬が芸術選奨文部科学大臣賞を 受賞 平成26年度(第65回)芸術選奨の贈呈式が3月18日、東京都内で行われ、音楽部門では、テノールの福井敬(東京二期会)が文部科学大臣賞を受賞した。 東京二期会によるヴェルディのオペラ《ドン・カルロ》(2014年2月)でタイトル・ロールを演じ、際立って充実した歌唱が評価された。 受賞に際し福井は次のようなコメントを寄せた。「オペラというものは、一人では何もできない。歌い手がいて、オーケストラがいて、合唱がいて、舞台を作るスタッフがいて、全ての人が本当に力を合わせてはじめてひとつの作品が出来上がる。私はその代表というとおこがましいですけれど、皆が創ったもののその成果に対してこの度の賞をいただいたと思っています」■成田達輝が上毛芸術文化賞を受賞 ヴァイオリニストの成田達輝が平成26年度上毛芸術文化賞を受賞した。同賞は、上毛新聞社(群馬県前橋市)が群馬県出身者または県内で顕著な活躍をしている芸術分野の個人、団体を対象に毎年贈賞するもの。○成田達輝(ヴァイオリン/1992年生) 札幌市出身。学生時代を群馬県前橋市で過ごす。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て、現在パリ国立高等音楽院で学ぶ。 07年東京音楽コンクール弦楽部門第1位および聴衆賞受賞。09年日本音楽コンクール第2位およびE.ナカミチ賞受賞。10年ロン=ティボー国際コンクール第2位およびサセム賞受賞。12年エリーザベト王妃国際コンクール第2位およびウジェーヌ・イザイ賞を受賞。13年仙台国際音楽コンクール第2位。同年ホテル・オークラ賞、14年出光音楽賞を受賞。■METライブビューイング 新シーズンのラインナップ メトロポリタン・オペラの名演をスクリーンで楽しむ『METライブビューイング2015/16シーズン』の上映演目が発表された。今年はライブビューイング10周年の記念シーズン。この10月から来年4月にかけてニューヨークで上演されるオペラの中から10作品が選ばれ、アンナ・ネトレプコやヨナス・カウフマンら今をときめくスター歌手のほか、話題の新星が次々に登場、今回もMETならではの壮麗なプロダクションや初演作品などが期待される。演目、主な出演予定は次の通り。《イル・トロヴァトーレ》(MET上演日:10/3)(表記は指揮/演出/出演の順)アルミリアート/マクヴィカー/ネトレプコ、ホヴォロストフスキー、ザジック《オテロ》新演出(10/17)ネゼ=セガン/シャー/アントネンコ、ルチッチ、ヨンチェーヴァ《タンホイザー》(10/31)レヴァイン/シェンク/ボータ、マッテイ、ヴェストブルック贈呈式を終えた福井敬。2015年3月18日 都市センターホテルにて©Masashige Ogata

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