eぶらあぼ 2015.4月号
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54 ©Marco Borggreveトヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン ウィーン・プレミアム・コンサート共演:菊池洋子(ピアノ) 他4/6(月)19:00 サントリーホール、4/11(土)13:00 岩手県民会館他の全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。問 トヨタ・マスター・プレイヤーズ事務局03-5210-7555http://www.toyota.co.jp/tomas15菊池洋子(ピアノ)ショパンの変奏曲はモーツァルトへの尊敬と愛を感じる作品です取材・文:寺西 肇Interview ウィーン・フィルの首席クラリネット奏者ペーター・シュミードルが芸術監督を務め、首席級の奏者30人で組織された“日本限定”の夢の室内オーケストラ「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン(TMPW)」が、今春も全国で6公演を行う。 東京と盛岡でショパン「モーツァルト『お手をどうぞ』による変奏曲」のソリストを務めるのは、国際的に活躍するピアニストの菊池洋子。 「この曲では、自分がさらけ出されると同時に、“アッラ・モーツァルト(モーツァルト風)”のユーモアも表現されています。ショパンのモーツァルトへの尊敬と愛を感じる作品です」 菊池がライフワークとするモーツァルトと比較するとどうだろうか。 「ショパンの音楽は、情熱と優しさを内に秘め、メランコリックで時に爆発的、そして、美しく詩的でありつつ、常に明確な方向性も持ち、とても緻密。その点は、共通しています」 そのショパンが、モーツァルトの歌劇《ドン・ジョヴァンニ》の有名な二重唱に材を取ったのがこの変奏曲だ。 「主題の後の第4変奏を除く変奏とポロネーズ風の部分は、どれも大変な超絶技巧。リストなどとはまた違った、独特の難しさです。ただソロで弾くより、オーケストラと一緒なら、さらに広がりがあるので、自由に演奏できる箇所は思い切り良く、たっぷり演奏したいですね」 昨春はウィーンを再訪し、「また魅力の虜になっています」と笑う菊池。 「TMPWの音楽監督のシュミードルさんとは、去年ステージでご一緒しました。今回はとても華やかなプログラムですし、ふだんはオペラやバレエも演奏している彼らと共演できることに、期待が膨らみます。それに東京だけではなく、震災から4年が経ち、力強い復興を遂げていらっしゃる岩手の皆様にお目にかかれるのも楽しみですね。機会があればTMPWと、ぜひモーツァルトのピアノ協奏曲で共演したいですね」 5月には「プラハの春音楽祭」で、名手ラデク・バボラーク(ホルン)らのアンサンブルとの共演を控えるなど、多忙なスケジュールが続く菊池。そんな中でも、「モーツァルトの作品を一曲でも多く演奏したい。今は、ソナタ全曲演奏に、もう一度取り組みたいと考えています。それに、ピアノ協奏曲の弾き振りも!」と目標を見失うことは決してない。 そんな菊池にとって、「音楽」とは。そして、「ピアノ」とは一体何だろうか。 「音楽は、いつも私に大きな力と感動を与えてくれる存在です。どんな時も、いつもそばで励ましてくれて、一緒に喜びや悲しみを分かち合い、時には祈りを共にする。一番信頼できる、大きなエネルギーの源です。そして、そんな音楽と私を繋いでくれるピアノは、自己表現するための大切な宝物ですね」4/21(火)19:00 サントリーホール問 ミリオンコンサート協会03-3501-5638 http://www.millionconcert.co.jpニュー・チューリッヒ管弦楽団スイスで最も注目を集める新進オーケストラ文:笹田和人マルティン・シュトゥーダーニュー・チューリッヒ管弦楽団 ニュー・チューリッヒ管弦楽団は、若手奏者たちによって1990年に結成されたスイスの覇気溢れるオーケストラ。国内だけでなく、世界各国から俊英たちが集結、サイモン・ラトルら巨匠たちの薫陶を受けながら、ヨーロッパ各地で350公演以上を重ねて来た。首席指揮者のマルティン・シュトゥーダーは、深い知性と音楽性で尊敬を集める一方、スイス・フィルハーモニック・アカデミーを創設するなど、若手の育成にも力を注いでいる。 今回の来日プログラムでは、モーツァルトの歌劇《フィガロの結婚》序曲と、チャイコフスキーの交響曲第5番を大枠に。そこへ挟み込まれるのは、2人のフルートの名手を迎えて、その魅力を存分に発揮する名曲たち。シュトゥットガルト・フィルなどの首席を歴任したフィリップ・ユントとは、ロドリーゴ「田園協奏曲」を。さらに、1983年のランパル国際での優勝など数々のコンクールで実績を残した佐久間由美子が、ドップラーの難曲「リゴレット幻想曲」を吹きこなす。

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