eぶらあぼ 2015.4月号
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44 2013年6月に来日し、15年ぶりにリサイタルを行い絶賛されたチョン・キョンファが、4年間コンビを組んでいるケヴィン・ケナーと再び来日、息の合ったデュオを披露する。 「ケヴィンとコンビを組むようになったのは、彼が演奏するショパンの『舟歌』を聴いて深い感銘を得たからです。完成度の高い美しいピアノに魅了され、すぐに一緒に演奏しないかと声をかけました。でも、最初は、『自分はショパンのスペシャリストで、弦楽器と共演したことはないので』と、断られたんですよ。でも、それは冗談で、『あなたと一緒に演奏できるのはとても光栄なことですので、ぜひ挑戦してみたい』と言ってくれたのです」 こうしてふたりのデュオは始まったが、当初は多くの問題を抱え、それを乗り越え、練習を重ねることで音の融合を図っていった。 「今回のベートーヴェン・プログラムは、いまだから演奏できる作品。ヴァイオリンとピアノのデュオというのはとても難しく、両楽器が完璧に融合しなければいい演奏はできません。特にベートーヴェンの作品はそれが強く要求されます。私たちは200年以上前のベートーヴェンの作品を現代の聴衆へと近づけるため、その間に位置するウェーベルンの作品を加えました。ウェーベルンの『4つの小品』は、永遠、闘い、諦念、勇気という感情が曲に込められ、ベートーヴェンのソナタにも共通しています。ベートーヴェンと現代に生きる私たちをつなげる役割を果たしているのです」 このベートーヴェンの3曲のソナタをメインに据えたプログラムAは、日本公演で初めて公開し、今後海外ひとつのステージに命を賭ける、その思いを受け取ってください取材・文:伊熊よし子の公演で演奏していく。 「もう一つのプログラムBで弾くフォーレとグリーグのヴァイオリン・ソナタは、私が長年愛奏している作品ですが、ケヴィンにとっては私とコンビを組んでから学んだ作品です。その意味で、私たちはこのふたつの作品において両楽器が豊かな音の対話を行うよう集中して練習に取り組みました。フォーレはロマンの香り豊かな抒情的な作品です。グリーグのソナタは民族色豊かで、舞曲のリズム、うたうような旋律、情熱的な主題が特徴。それらを私たちは歌心をもって奏でていきます」 両方のプログラムに共通しているのは、ベートーヴェンの「クロイツェル」である。 「これは難度が高く、両楽器が完全に一体化しないと聴衆が感動する演奏にはなりません。私たちは往年の名手が繰り広げた圧倒的な名演を目指し、全身全霊を傾けて演奏します」 チョン・キョンファはアメリカ留学時代に師事したポール・マカノウィツキーと、彼とコンビを組んでいたノエル・リーのデュオを目指しているという。彼女は多くの偉大なヴァイオリニストに師事し、「演奏家は生涯学びの姿勢をもつこと」「自分はメッセンジャーで、前面に出るのはあくまでも作曲家」という精神を教え込まれた。2005年から5年間、指のケガで演奏から遠ざかり後進の指導を行っていたが、弟子にもその精神を伝えている。 「いまは教育が発達し、みんな技術的レベルが高く何でも弾けますが、私の時代はひとつずつ自分で勉強してきました。私はいまでも学びの途中。ひとつのステージに命を賭けます。その思いを受け取ってください」Interview チョン・キョンファ(ヴァイオリン)4/20(月)19:00 ザ・シンフォニーホール 問 エス・ピー・エース06-6204-04124/26(日)14:00 サントリーホール 問 キョードー東京0570-550-799 ※両公演ともプログラム A他公演 4/15(水)東京文化会館(都民劇場03-3572-4311)、4/18(土)愛知県芸術劇場コンサートホール(CBCテレビ音楽祭・イベント事業部052-241-8118)、4/22(水)福岡シンフォニーホール(092-725-9112)、4/25(土)相模原市民会館(042-752-4710)プログラム A:4/18 プログラム B:4/15, 4/22, 4/25

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