eぶらあぼ 2015.4月号
206/219

249Kバレエカンパニー『海賊』アナニアシヴィリとSHOKOをゲストに迎えいっそう豪華に5/30(土)12:30 16:30、5/31(日)14:00、6/13(土)17:00、6/14(日)14:00 Bunkamuraオーチャードホール6/20(土)14:00 神奈川県民ホール ※出演者は公演日によって異なります。下記ウェブサイトでご確認ください。問 チケットスペース03-3234-9999 神奈川芸術協会045-453-5080(神奈川公演のみ)  http://www.ints.co.jp  昨年創立15周年を迎えたKバレエカンパニー。そのクライマックスとして登場するのが、Kバレエの宝ともいうべき歴史的傑作『海賊』である。熊川版は、独創的な構成で従来版を改訂、海賊として生きる男たちの生き様と恋物語を鮮やかに描き出した勇壮な冒険活劇である。初めて観る人にもわかりやすいように物語の流れをよどみなく整理しながら踊りを刷新。熊川流のスパイスが効いた極上のエンタテインメントに仕上がっている。英国美術界の鬼才、ヨランダ・ソナベンドによる衣裳や装置の素晴らしさにも目を見張る。大海原を進む勇壮な海賊船や美しい浜辺の風景、一転して金とピンクで埋め尽くされた煌びやかなハーレムなど、場面ごとにガラリと転換。別世界へと誘ってくれる。 今回ゲストとして出演するのはニーナ・アナニアシヴィリ(グルジア国立バレエ芸術監督兼プリンシパル)とSHOKO(ハンガリー国立バレエ団プリンシパル)。長身のふたりが踊るヒロイン、メドーラはさぞや見ごたえのあるニーナ・アナニアシヴィリ©N.Elisson左:SHOKO 右:遅沢佑介 ©言美歩TACT/FESTIVAL 2015『眠れない… ―L’insomnante』『アサニシマサ~魔法の呪文』ユーモアとイマジネーションに溢れた2作品文:乗越たかお(作家・ヤサぐれ舞踊評論家) 純粋に素晴らしい舞台芸術は、大人も子どもも垣根を越えて楽しめる。そんな舞台を提供し続けているTACT/FESが今年もやってくる。 まずはフランスのクレール・リュファン『眠れない…』。変わったタイトルだが、じつは驚くほどタイトル通りの作品だ。一人の女性が眠れずにベッドで何度も寝返りをうつ。横には怪しいチェロ弾きがいて、おまけに天井には一面に敷き詰められた枕たち。そんな悪夢のように美しい情景から様々な意表を突く展開があり、いつしか観客も摩訶不思議な世界に引き込まれてしまう。ちなみに本作には昨年の同フェスで舞台上の全てが崩れ去るちょっとイカれた『リメディア』という作品で度肝を抜いたカミーユ・ボワテルも参加している。 さてもうひとつは、高精度の映像とダンスをミックスさせたら当代随一のジョゼ・モンタルヴォの作品。昨年の『ト『眠れない… ―L’insomnante』5/3(日)~5/6(水・休) 東京芸術劇場シアターイースト『アサニシマサ~魔法の呪文』5/3(日)~5/6(水・休) 東京芸術劇場シアターウエスト問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jpロカデロのドン・キホーテ』でも満載の仕掛けで観客を驚かせたが、今回の作品タイトルは『アサニシマサ』。意味がわからない。それもそのはず、魔法の呪文なのである。これをアフリカ調のリズムに乗せて唱えていると、象やらヒョウやらフラミンゴやら、舞台の壁ものになるだろう。また、熊川版『海賊』は男性ダンサーの出番が多く、その迫力ある踊りも魅力のひとつ。海賊の首領コンラッドにはスチュアート・キャシディ、遅沢佑介、宮尾俊太郎らベテラン陣が、熊川版『海賊』のキーパーソンである忠実な奴隷アリには池本祥真、井澤諒、福田昂平ら若手が配役。ダイナミックな踊りを存分に楽しみたい。気分が高揚するスペクタクルに彩られたこの作品、一度は観ておくべきだ。文:石村紀子一杯に動物たちが現れて、舞台上のダンサー達と踊り出す。しかも現実にはあり得ないような、奇想天外なコラボレーションの数々だ。 夢と現実が渾然となる。想像力が、見たことのない世界に羽ばたく翼になる。それが、舞台芸術の素晴らしさなのだ。『眠れない…』 Photo:Vincent Beaume『アサニシマサ』 Photo:Patrick Berger

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です