eぶらあぼ 2015.4月号
205/219
2486/11(木)~6/13(土) 東京文化会館 問 NBSチケットセンター03-3791-8888 http://www.nbs.or.jp http://www.thetokyoballet.com東京バレエ団『ラ・バヤデール』豪華主役陣で魅せる、東京バレエ団の十八番文:高橋森彦 創立50周年シリーズを華々しく繰り広げた東京バレエ団が余勢をかって挑むのがナタリア・マカロワ振付・演出『ラ・バヤデール』全3幕。往年の名花マカロワがロシア・バレエの名作を練り上げ決定版の誉れ高いバージョンだ。古代インドを舞台に寺院の巫女ニキヤ、戦士ソロル、王女ガムザッティらによる愛憎劇が展開される本作は、起伏に富んだ物語とエキゾチックなキャラクター・ダンスや様式美に貫かれた女性群舞が溶けあい濃密なドラマを生む。舞台装置・衣裳も重厚で比類なく素晴らしく、壮麗なスペクタクルとして魅力的だ。 東京バレエ団初演は2009年9月。その舞台をマカロワは絶賛した。特に第2幕「影の王国」における優美に揃ったコール・ド・バレエ(群舞)に称賛を惜しまなかったという。 11年4月、東日本大震災発生の直後に行った再演では、ソロル役にイーゴリ・ゼレンスキー、マシュー・ゴールディングが急きょ来日し、心のこもった演技を披露した。12年8月に「世界バレエフェスティバル」全幕特別プロとして上演された際には、ディアナ・ヴィシニョーワ&マルセロ・ゴメス、アリーナ・コジョカル&ヨハン・コボーの競演が話題を呼んだ。昨年8月の創立50周年記念ガラでも「影の王国」を抜粋上演するなど、東京バレエ団の新たな十八番といえる。 今回も主役陣が豪華。役柄を広げ進化する女王コジョカル&マリインスキー・バレエの貴公子ウラジーミル・シクリャローフの共演に胸躍る。絶頂期にある看板プリマ上野水香&風格の出てきたホープ柄本弾という華のあるコンビも楽しみだ。ガムザッティ役を踊る奈良春夏、川島麻実子ら気鋭ソリスト、定評あるアンサンブルの活躍にも注目したい。左より:アリーナ・コジョカル Photo:Charlotte McMillan/ウラジーミル・シクリャローフ/上野水香 Photo:Shitomichi Ito/柄本弾 Photo:Nobuhiko Hikiji新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』ムンタギロフの美技に酔う文:高橋森彦6/10(水)~6/14(日) 新国立劇場オペラパレス問 新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jp/ballet 大原永子芸術監督就任初シーズンのラストを飾るのは『白鳥の湖』。古典中の古典だけにカンパニーの真価が問われる。2006年に牧阿佐美が演出・改訂した版では、プロローグに王女オデットが悪魔ロットバルトにさらわれる場面を設け「なぜ白鳥に姿を変えられたのか」が明快に語られる。踊りの見せ場も豊富だ。第3幕のルースカヤには主軸クラスの踊り手が配される。おなじみ白鳥のコール・ド・バレエ(群舞)の美しさも見逃せない。 話題はシーズン・ゲストダンサーのワディム・ムンタギロフだろう。端正な容姿、優美な身体のライン、安定したテクニックと三拍子揃う彼が、王子ジークフリートの揺れ動く心の内をどう演じるのか興味が尽きない。オデット/オディールは米沢唯。心技体ともに充実し旬な輝きを放つだけにムンタギロフとの化学反応が生まれそうだ。 息のあった好ペア小野絢子&福岡雄大、表現力豊かな実力派の長田佳世&奥村康祐にも期待したい。 米沢 唯 Photo:Hidemi SetoPhoto:Kiyonori Hasegawa
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