eぶらあぼ 2015.4月号
171/219

180CDCDDVDCDベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番/アルゲリッチ&ブリュッヘン架空庭園の書~新ウィーン楽派の歌曲を集めて/長島剛子&梅本実ザルツブルク・リサイタル2008/グリゴリー・ソコロフスメタナ&ヤナーチェク:弦楽四重奏曲集/クァルテット・エクセルシオベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番*ドキュメンタリー「ブレス・オヴ・ザ・オーケストラ」も収録マルタ・アルゲリッチ(ピリオド・ピアノ)フランス・ブリュッヘン(指揮)18世紀オーケストラシェーンベルク:ブレットル・リーダー(キャバレー・ソング)より、4つの歌曲 op.2、シュテファン・ゲオルゲの『架空庭園の書』より15の歌曲ベルク:4つの歌曲 op.2ウェーベルン:『第7の環』による5つの歌曲 op.3長島剛子(ソプラノ) 梅本実(ピアノ)モーツァルト:ソナタ第2番・第12番ショパン:24の前奏曲、マズルカ第47番・第41番スクリャービン:詩曲 op.69-1・同op.69-2 他グリゴリー・ソコロフ(ピアノ)スメタナ:弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」・第2番「ないしょの手紙」クァルテット・エクセルシオ収録:2012年8月、ワルシャワ(ライヴ) 他東京エムプラスNIFCDVD-004 ¥オープンコジマ録音ALCD-9147 ¥2800+税収録:2008年7月、ザルツブルク(ライヴ)ユニバーサルミュージックUCCG-1695/6(2枚組) ¥3500+税ナミ・レコードWWCC-7779 ¥2500+税アルゲリッチがエラールを弾いた! と聞くだけでも驚きだが、ブリュッヘン&18世紀オーケストラとのベートーヴェンとなると、もはや興奮を抑えきれない。アルゲリッチ初となるピリオド・ピアノ(1849年製エラール)を用いた歴史的演奏会を収録。オーケストラの中央、指揮者と向かい合う位置で演奏するアルゲリッチが、モダンピアノ以上に粒立った壮快な響きを引き出すと、ブリュッヘン&18世紀オケのパッション溢れる響きと相まって、協奏曲が巨大なピアノ付交響曲の体をなす。リハーサル風景やブリュッヘンと18世紀オケのメンバーへのインタビューなど、貴重な映像も。(唯野正彦)新ウィーン楽派の作品の真価を長年にわたって伝え続けているリート・デュオが、この作曲家たちの初期無調歌曲を中心に録音した希有な一枚。とりわけ注目したいのは「架空庭園の書」。長島は言葉の意味一つひとつが浮き彫りになるように、声の陰影を繊細かつ巧みに用いる。更に梅本が鍵盤のタッチを自在に操ることで多彩な不協和音の響きを引き出し、ゲオルゲの詩の持つ夢幻的な雰囲気を共に創り上げている。まるで物語を聞くかのようなその歌唱に、この歌曲が、シェーンベルク最大の無調歌曲「月に憑かれたピエロ」で到達する“シュプレッヒゲザング”への出発点だと気づかされる。(梅原志歩)スタジオ録音を避け、音楽が瑞々しく生まれる瞬間を捉えたライヴ録音を好むグリゴリー・ソコロフ。1950年にサンクトペテルブルクに生まれ、16歳でチャイコフスキー国際コンクールで優勝した彼だが、本人が発売を許可したCDはかなり少ない。貴重な記録となるこの2枚組は2008年のザルツブルク音楽祭での演奏だ。繊細に微笑むようなモーツァルトのソナタ第2番・第12番、驚くほど多彩な表情を見せつけるショパンの「24の練習曲op.28」、そしてアンコールのラモー、バッハ、スクリャービンの立体感。まるで、演奏会場に居合わせたかのような高揚感を味わえる。(飯田有抄)昨年結成20周年を迎え、意欲的な活動を展開するクァルテット・エクセルシオによる、チェコ名作集。いずれも濃厚な3曲だが、あいまいな情緒に流されず、あくまで譜面をベースに洗い直して再構築し、知性と感情のバランスが取れた清新な演奏を実現。特にヤナーチェク作品は曲自体の熱気や情念が過不足無く表現された好演。彼らが近年採用している、ヴィオラを下手(しもて)側に置く対向配置(左からVn1,Va,Vc,Vn2)も効果的で、内声が鮮明に浮き上がり、第2ヴァイオリンの表現力がより際立つ(ヤナーチェク1番終楽章の32分音符の嵐!)。チェロの大黒柱としての存在感も頼もしい。(林 昌英)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です