eぶらあぼ 2015.4月号
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176CDCDCDCDJ.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 他/新イタリア合奏団ブラームス:ドイツ・レクイエム/延原武春&orchestra JAPAN 2011GUITARRA×GUITARRA/原善伸&鈴木大介三大作曲家の遺言vol.1~vol.3/田崎悦子J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲、ヴァイオリン協奏曲第1番・第2番、ブランデンブルク協奏曲第5番フェデリコ・グリエルモ(ヴァイオリン)新イタリア合奏団 他ブラームス:ドイツ・レクイエム延原武春(指揮)orchestra JAPAN 2011木村能里子(ソプラノ)篠部信宏(バリトン)コードリベット・コールグラナドス:歌劇《ゴイェスカス》より間奏曲/アルベニス:コルドバ/プーランク:シテール島への船出/ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ/ソル:慰め/カルッリ:3つのセレナーデ第1番 他原善伸、鈴木大介(ギター)ブラームス:3つの間奏曲 op.117、6つの小品 op.118、4つの小品 op.119ベートーヴェン:ソナタ第30番・第31番・第32番シューベルト:ソナタ第19番・第20番・第21番田崎悦子(ピアノ)マイスター・ミュージックMM-3043 ¥2816+税収録:2014年3月、大阪(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7778 ¥2000+税コジマ録音ALCD-7186 ¥2800+税若林工房WKPR-8011-14(4枚組) ¥オープン古楽器全盛の今、モダン楽器によるバロック演奏に未来はないのか。答えが「ノー」なのを証明する存在が、新イタリア合奏団だ。バッハの王道名曲を集めた当盤など、まさにその好例。古楽的解釈に背を向けず、拍節感覚やアーティキュレーション遣いなど採り入れるべくは採り入れ、例えば、緩徐部ではヴィブラートで音の幅を広げ、急速部で時にエッジを立てて躍動感を演出、モダンならではの表現を追求する。全曲でソロを弾くグリエルモは闊達。ブランデンブルク5番の第2楽章18小節目でオクターヴ下げる判断は、続くフルートとの融和性を考慮してか。実に芸が細かい。(寺西 肇)3月11日は日本人にとって悲しい日だ。思い出して祈りを捧げるのにもきっかけは必要だが、あの日を悼む催しは減っているようにも思う。阪神淡路大震災を体験した指揮者・延原武春をはじめとする関西の音楽家が「ドイツ・レクイエム」を演奏したのも、そういう場所を改めて作りたかったからだろう。古楽演奏出身の音楽家ならではのごつごつとした、しかしナチュラルな音づくりや野趣をたたえた合唱は、そのシンプルさゆえに説得力を持つ。「悲しみを抱くものは、幸いである」で始まる第1曲の静かな追悼から、熱気に満ちた第6曲で頂点を描く音楽は、作り手の思いを誠実に届けている。(江藤光紀)ギター・デュオはソロに比べ、魅力も可能性も掛け算的な拡がりをみせる。だが、そのためには2人の技術と音楽性が高いレベルで拮抗していることが不可欠だ。原善伸と鈴木大介が初共演したこのCDは、そうした難題をすべて満たしている。例えば、ファリャ「スペイン舞曲」の迷いが一切ない堂々たる運び。或いは、プーランク「シテール島への船出」に続いてラヴェル「亡き王女のパヴァーヌ」を奏でる際の、音色の驚くべき変化。そして、全8曲のファーストとセカンドのパートを半分ずつ交替していることをほとんど感じさせない親和性。何度聴いてもまったく飽きがこない。(渡辺謙太郎)田崎悦子の聴衆の心を動かして止まないピアニズムは、楽譜に込められた作曲家の想いを語ろうとする希求によって生み出されたものであろう。自然なフレージングによって旋律は自由に歌い、音色は和声の変化と共に多彩な表情を見せる。ドイツ・ロマン派作品を得意とする彼女だが、死への恐怖や諦観といった人間の感情の最も純粋なものに満ちたブラームス、ベートーヴェン、シューベルトの最晩年作品を一挙に収録することには相当な覚悟が必要だったはず。しかし田崎の楽譜に対する真摯な姿勢は、作曲家の代弁者としてこれ以上ない役割を果たしている。(長井進之介)

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