eぶらあぼ 2015.3月号
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1825月の見もの・聴きもの2015年5月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン芸術週間[会場:無印=コンツェルトハウス大ホール(ウィーン)、(MQ)=ハレ・E・イム・ムゼウムスクヴァルティエ(Halle E im MuseumsQuartier)(ウィーン)](5月分/主要公演のみ(小ホール分は省略))◎5月9(19:30)、10(19:30)日 D.ハーディング指揮ウィーン・フィル O.ノイヴィルト:Masaot/Clocks without Hands、マーラー:大地の歌独/K.F.フォークトT、M.ゲルネBr5月12(19:30)日 P.ピケット指揮ニュー・ロンドン・コンソート パーセル:妖精の女王 演出/M.G.ロザーノ★5月16(19:30)(MQ)、18(19:30)(MQ)、19(19:30)(MQ)日 S.シャリーノ:私の裏切りの瞳[プレミエ] 指/E.ポマリコ、演出/A.フライヤー、演奏/クランクフォールム・ヴィーン5月19(19:30)日 R.ブッフビンダーp モーツァルト:ピアノ・ソナタ第12番、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」、シューマン:謝肉祭5月20(19:30)日 A.フィッシャー指揮ウイーン響 モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」、第36番「リンツ」、第38番「プラハ」5月21(19:30)日 C.マイスター指揮ウィーン放送響 ブルッフ:スコットランド幻想曲、マーラー:交響曲第9番 独/H.ハーンvn5月22(19:00)日 A.フィッシャー指揮ウィーン響(Fridays@7)モーツァルト:魔笛〜序曲、管楽器のための協奏交響曲(初稿の復元版)、交響曲第38番「プラハ」、他 独/ウィーン響木管ゾリステン5月24(19:30)(MQ)、25(19:30)(MQ)日ヘンデル:イェフタ(演出付上演) 指/K.ユンクヘネル、演出/L.シュタイアー、演奏/ポツダム室内アカデミー◎5月28(19:30)日 S.ラトル指揮ウィーン・フィル C.ヴィヴィエ:みなし児、ハイドン:想像上の交響曲(交響曲第45番、第64番、第90番、天地創造、十字架上のキリストの最後の7つの言葉、からの抜粋に基づくイマジネーションによるオーケストラの旅) 独/B.ハンニガンS5月31(11:00)日 J.ヴァン・ズヴェーデン指揮ウィーン響 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 独/D.フレイp5月31(19:30)日 A.パッパーノ指揮ローマ・サンタ・チェチーリア国立管 ラフマニノフ:死の島、チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲、シベリウス:交響曲第2番 独/J.フォークラーvcウィーン国立歌劇場5月1日 チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギン 指/L.ラングレ、演出/F.リヒター、出/M.コヴァレフスカ、P.マッテイ、C.カストロノーヴォ5月2、5、8、11日 ドニゼッティ:ドン・パスクワーレ[15年4月プレミエ] 指/J.ロペス=コボス、演出/I.ブルック、出/M.ペルトゥージ、J.D.フローレス◎5月3日 〔ニール・シコフ舞台生活40周年記念ガラ・コンサート〕 オペラ・ハイライト集(ホフマン物語、スペードの女王、ユダヤの女、カルメン) 指/F.シャスラン、出/N.シコフ、K.ストヤノヴァ、A.シリア、F.フルラネット、A.バルツァ5月6日 ドニゼッティ:愛の妙薬 指/G.ガルシア・カルヴォ、演出/O.シェンク、出/A.ガリフッリーナ、シャホウ・ジンフー、G.ベルムデス、P.ルメッツ5月7、12日 ロッシーニ:セビリャの理髪師指/M.ギュトラー、演出/G.レンネルト、出/D.コルチャク、A.シュラメク、R.フレンケル、D.パーシャル、R.S.グリーン◎5月10、14、18、22日 ヴェルディ:ナブッコ指/J.ロペス=コボス、演出/G.クレーマー、出/P.ドミンゴ、M.タラバ/C.オスナ(18/22日)、M.カザコフ、M.グレギーナ◎5月16、30日 ワーグナー:ラインの黄金 指/S.ラトル、演出/S.E.ベヒトルフ、出/M.フォッレ、H.リッパート、E.クルマン、J.ベヒレ、T.コニエチュニ◎5月17、31日 ワーグナー:ワルキューレ 指/S.ラトル、演出/S.E.ベヒトルフ、出/C.ヴェントリス、M.ペトレンコ、M.フォッレ、M.セラフィン、E.ヘルリツィウス◎5月20日 ワーグナー:ジークフリート 指/S.ラトル、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.グールド、E.ヘルリツィウス、M.フォッレ5月21、23、26日 ロッシーニ:チェネレントラ指/E.ピド、演出/S.E.ベヒトルフ、出/B.ブルンス、A.アルドゥイーニ◎5月25日 ワーグナー:神々のたそがれ 指/S.ラトル、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.グールド、F.シュトルックマン、E.ヘルリツィウス、B.ダニエル、C.ウェンボーン◎5月27日 M.コジェナーMs シューマン:メアリー・スチュアート女王の詩、ドビュッシー:ビリティスの3つの歌、マーラー:リュッケルトの詩による歌曲集、ドビュッシー:忘れられたアリエット、メシアン:ミのための詩共/内田光子pウィーン・フォルクスオーパー5月1(18:00)、9(18:30)、16(19:00) J.ハーマン:ハロー・ドーリー!(ミュージカル) 演出/J.E.ケプリンガー5月2(19:00)日 ビゼー:カルメン 演出/G.ヨーステン【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 5月になると次第に「音楽祭」なるものが増えてくる。本文には記述できなかったが、老舗の「プラハの春国際音楽祭」(http://www.festival.cz/en/programme)では、スメタナの「わが祖国」全曲が演奏される恒例の開幕演奏会を、何と、ヘンゲルブロック指揮のハンブルク北ドイツ放送響が担当する。チェコの指揮者でもオーケストラでもないという、ある意味衝撃的な新機軸。なお、同音楽祭では、鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンの公演(5月17日)もあるので、ぜひ音楽祭HPをご参照いただきたい。 その他の音楽祭では、「ザルツブルク聖霊降臨祭音楽祭」でのプレガルディエン親子の共演、ネトレプコ、バルトリ、フローレスら現代の人気声楽家を集めた祝祭コンサート、「ドレスデン音楽祭」でのペーター・レーゼルのピアノ・リサイタル、ケルンの現代音楽フェスティヴァルである「アハト・ブリュッケン音楽祭」でのメッツマッハー指揮のルイス・アンドリーセン作品集や、大西義明、岸野末利加といった日本の若手注目作曲家の作品を取り上げるアンサンブル・アンテルコンタンポランやアスコ/シェーンベルク・アンサンブルによる演奏、「シュヴェツィンゲン音楽祭」でのインマゼールの指揮するシュトゥットガルト放送響やビエイト演出によるパッラの現代オペラ「ヴィルデ(Wilde)」あたりがいずれも要注目公演。 なお、音楽祭とは謳っていないが、バーデン・バーデン祝祭劇場は、ツィメルマンやシフのピアノ・リサイタル、グルベローヴァの声楽リサイタル、本来はテノール歌手であるヴィリャソン演出(!?)の「椿姫」、ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンの2公演など、ミニ音楽祭クラスの充実ぶりだ。音楽祭を離れ、通常公演でのオペラのプレミエでも、人気絶頂のキリル・ペトレンコ指揮によるベルク「ルル」(バイエルン州立歌劇場)、ドレスデン・ゼンパーオーパーでのティーレマン指揮の「魔弾の射手」(ティーレマンでない日もペーター・シュナイダーが指揮台に上る盤石の態勢)、クラウス・グートの演出が楽しみな「ばらの騎士」(フランクフルト歌劇場)、シャイーが棒を担当するミラノ・スカラ座の「トゥーランドット」、アン・デア・ウィーン劇場のミヨー「罪ある母」やパリ・バスティーユ・オペラのショーソン「アルテュス王」といったフランス系の珍品オペラ、ネトピル指揮のお国ものオペラであるドヴォルザーク「ルサルカ」(エッセン歌劇場)、ダントーネ指揮のヴィヴァルディ「試練の中の真実」(チューリッヒ歌劇場)、あまり実演ではお目にかからないベルリオーズの「ベンヴェヌート・チェルリーニ」(オランダ国立オペラ)、カスパー・ホルテン演出によるシマノフスキの「ロゲル王」(英国ロイヤル・オペラ)などなど、非常に充実した5月のオペラ界と言える。 レパートリー・オペラでも、サイモン・ラトルがウィーン国立歌劇場公演で振るワーグナーの「リング」、ヤノフスキがベルリン放送響とともに演奏会形式で取り上げるR.シュトラウスの「ダフネ」と「エレクトラ」、ライプツィヒ歌劇場の一連のワーグナー公演(珍しい「恋愛禁制」を含む)、ミンコフスキ指揮の「椿姫」やネトレプコ出演の「ボエーム」(英国ロイヤル・オペラ)など充実。 個人的には、アーノンクールがウィーン・コンツェントゥス・ムジクスと演奏するベートーヴェンの交響曲第4番と第5番が一番の聴きもの。ウィーンやケルン、パリ(シャンゼリゼ劇場)で演奏されるコジェナーと内田光子の共演にも大注目。サロネン指揮の「トゥーランガリラ交響曲」も重要。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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