eぶらあぼ 2015.2月号
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582/21(土)13:30 文京シビックホール(小)問 及川音楽事務所03-3981-6052http://oikawa-classic.comCD『メモワール~愛の小径』Beltàレコード YZBL-2504¥2500+税1/21(水)発売野平一郎アレクサンドル・メルニコフ ©Marco Borggreve24の前奏曲でたどるピアノ音楽史の旅取材・文:飯尾洋一東京・春・音楽祭 ̶東京のオペラの森2015̶《24の前奏曲》シリーズ 春の訪れとともに上野は音楽祭の街になる。「東京・春・音楽祭」では今年も興味深い公演が目白押しとなっているが、なかでも目を引くのが《24の前奏曲》シリーズだ。全4公演にわたって、ショスタコーヴィチ、ドビュッシー、ショパン、そして没後100年を迎えるスクリャービンの曲集が演奏される。 「24の前奏曲」といわれて、まっさきに思い出されるのはショパンの曲集だろう。ショパンは、24のすべての調に「前奏曲とフーガ」をそろえたバッハの「平均律クラヴィーア曲集」に触発されて、この曲集を作曲した。ピアニストの聖典ともいうべきバッハの曲集に続いて、ショパンが大傑作「24の前奏曲」を書いたことから、このスタイルが続く作曲家たちによって踏襲されている。 ショパンに影響を受けたスクリャービンは、16歳から24歳にかけて書いた前奏曲をひとまとめにして「24の前奏曲」に仕立てた。作風は多彩で、ショパンゆずりの甘美なメロディにあふれる一方、スクリャービンならではの恍惚感や独創性にも不足しない。 ドビュッシーは前奏曲集第1巻および第2巻で、合わせて24の前奏曲を書いた。曲集中には「亜麻色の髪の乙女」や「沈める寺」など広く知られる作品も含まれる。この曲集ではもはや24種類の調というコンセプトは失われているものの、20世紀を代表する名作として、このシリーズには欠かせない。 ショスタコーヴィチは「24の前奏曲」を作曲したうえで、さらに後年に「24の前奏曲とフーガ」も作曲している。前者はショパンの前奏曲集、後者はバッハの「平均律クラヴィーア曲集」の系譜に連なる作品ということになるだろうか。今回演奏されるのは「24の前奏曲とフーガ」のほうである。 全4公演のシリーズ中、ショスタコーヴィチ、ドビュッシー、ショパンの3公演をアレクサンドル・メルニコフが、スクリャービンを野平一郎が演奏する。メルニコフにとって、ショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」は名刺代わりともいうべき得意のレパートリー。オリジナル楽器にも積極的に取り組むメルニコフは、ドビュッシーでは1910年製のプレイエルを使用する。ショパンではこの名曲に新たな光を当ててくれることを期待したい。またスクリャービンでは、野平一郎の作曲家としての目が、作品の真価を明らかにしてくれることだろう。 「24の前奏曲」でたどるピアノ音楽史の旅。驚きと発見が待っている。《24の前奏曲》シリーズ アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)Vol.1 ショスタコーヴィチ 3/29(日)15:00 東京文化会館(小)Vol.2 ドビュッシー 3/31(火)19:00 上野学園 石橋メモリアルホールVol.3 ショパン 4/1(水)19:00 東京文化会館(小)野平一郎(ピアノ)Vol.4 スクリャービン 4/9(木)19:00 東京文化会館(小)問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-3322-9966 http://www.tokyo-harusai.com望月友美(メゾソプラノ)世界の名歌曲をフランス仕込みの美声で文:笹田和人 メゾソプラノの望月友美が、デビューCD『メモワール~愛の小径』をリリース。記念のコンサートを東京で開く。国立音大でユーフォニアムを専攻後、声楽に転向した異色の経歴の持ち主。声楽に転向してからはパリ国立地方高等音楽院を首席で卒業、ドビュッシー音楽院にも学び、日本音楽コンクールやトゥールーズ国際フランス歌曲コンクールを制した実力派。「タイトルはフランス語で“記憶”を意味します。今まで私が出会った中で、思い出の詰まった曲を選びました」と語るCDでは、副題にも掲げたプーランク「愛の小径」をはじめ、サティ「あなたが欲しい」など本場仕込みのフランス歌曲を中心に、オペラや、滝廉太郎「荒城の月」などの日本の名旋律までを天性の美声で歌いこなす。ステージでは、録音でも共演したピアノの御園生瞳(みそのう・ひとみ)とCDそのままに、情感あふれる熱演で聴かせる。

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