eぶらあぼ 2015.2月号
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54クァルテット・ウィークエンド クァルテット・エクセルシオ Quartet+プラス多彩な音色のパレットに新色をプラス文:オヤマダアツシムノツィル・ブラスすべてを超越した奇跡のエンタテインメント文:柴田克彦3/15(日)14:00 第一生命ホール問 トリトン・アーツ・ネットワーク・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net2/13(金)18:30 愛知県芸術劇場コンサートホール、2/14(土)14:00 ザ・シンフォニーホール、2/15(日)14:00 アルファあなぶきホール、2/16(月)19:00 松山市民会館、2/18(水)19:00京都コンサートホール、2/19(木)19:00 Bunkamuraオーチャードホール、2/20(金)19:00 ゆうぽうとホール※公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.min-on.or.jp 日本ではごく少ない、常設の弦楽四重奏団として活動しているクァルテット・エクセルシオ。東京、京都、札幌で行う定期演奏会ほか企画性のあるコンサートやアウトリーチ活動などを行い、また大晦日恒例となった東京文化会館小ホールでの『ベートーヴェン弦楽四重奏曲演奏会』にもレギュラー出演するなど、その演奏と存在価値へ注目が集まっている。結成20周年を迎えた2014年は、そうした活動に対し「ホテルオークラ音楽賞」が贈られるなど、知名度と評価は徐々にアップしているのだ。 とにかく楽しい! クラシック(?)の公演で、これ以上楽しいステージはまずないであろう。それがムノツィル・ブラスのコンサートだ。彼らは、クラシック、オペラ、ミュージカル、ジャズ、ロック、ダンス、歌、笑いが融合した型破りのステージを繰り広げ、聴衆を抱腹絶倒の渦に巻き込む。 ウィーンの居酒屋「ムノツィル・イン」で夜な夜な即興演奏に励むオーストリアの若手奏者たちが1993年に結成して20余年。年間130回を超える公演を行い、世界中で爆発的な人気を誇る彼らが、この2月にやってくる。元ウィーン・フィルの首席トランペット奏者ハンス・ガンシュの弟トーマス率いる当グループは、トランペット3人、トロンボーン3人、テューバ1人という異色の金管七重奏。様々なジャンルの音楽を披露しながら、舞台上(客席も)を動き、踊り、演技し、オペラ歌手顔負けの歌やコーラスまで聴かせる。超小型楽器や変な楽器も登場するし、メンバー そのクァルテット・エクセルシオが、共演者を迎えてさらにレパートリーや活動の可能性を広げているのが『Quartet+』というシリーズ。5回目となる3月のコンサートでは、小坂圭太(ピアノ)、柳瀬省太(ヴィオラ)、遠藤真理(チェロ)、石川滋(コントラバス)の4人をゲストに、シューベルトの五重奏曲「ます」やチャイコフスキーの弦楽六重奏曲「フィレンツェの想い出」といった室内も皆キャラが濃く、ステージ全体がまるで爆笑コントのよう。まさにボーダーレスのブラス・エンタテインメントだ。そして何より凄いのが、高度なテクニックと完璧なアンサンブル。音色は輝かしく、超絶技巧は驚くほど鮮やかで、どんなフレーズもピタリと揃う。ザルツブルク音楽祭にブラス・アンサンブルでは異例の出演を果たしたのも頷けるし、だからこそ楽しさが際立つというものだ。楽の名品を取り上げる。4人だけで作り上げてきた多彩な色のパレットに新しい色をプラスすることで、さらに未知の色を生み出すというこのシリーズだが、固定化されがちとも言える弦楽四重奏団の活動に柔軟性を与え、広く「室内楽」の楽しみを聴衆と共有する新しい形態だと言えるだろう。エクセルシオ(=より高みへ)という名にふさわしい活動のひとつとして、ぜひ注目を。 彼らの魅力はライヴで体験するに限る。今回はどんなステージを見せてくれるのか? あの感動と愉悦を思えば、また行かずにはおれない。クァルテット・エクセルシオ ©Naoko Ogura小坂圭太 ©大窪道治柳瀬省太 遠藤真理 ©中山かつみ石川 滋©Carsten Bunnemann
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