eぶらあぼ 2015.2月号
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48アルテアニミ ピアノ・デュオ 2台ピアノリサイタル Figures(フィギュール)2/15(日)14:30 秋吉台国際芸術村コンサートホール2/21(土)19:00 あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール2/26(木)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 japan@arteanimi.com/090-9460-2462(棟久) http://www.arteanimi.com/jp境界を越え、新しい世界を開いていきたい取材・文:高坂はる香Interviewアルテアニミ ピアノ・デュオ スイスを拠点に活動する、棟久木綿佳(むねひさ・ゆうか)とサムエル・フリードによるデュオ、アルテアニミ。すでに欧米では実力を認められエネルギッシュな活動を展開する彼らが、棟久の地元である山口県に加え、初めて東京、大阪でリサイタルを行う。 棟久/以下 M「一緒に演奏するようになったのは偶然でした。それぞれソロで出演したコンサート後のパーティーで、リクエストに応えて連弾したのです。同じローザンヌ音楽院に通っていましたが、友達だったわけではなく、突然の共演だったのにすごくうまくいって」 フリード/以下 F「“なんて見事に調和するんだ! 彼女を逃がしてはいけない!”と思いました(笑)」 2009年の結成直後から多くのコンクールでグランプリや優勝に輝き、「何かに導かれるかのようにどんどん可能性が広がった」という。 デュオ名はラテン語で“心のアート”の意味。「音楽によって心を通わせること、壁のない世界を実現すること」が二人の目指すところだ。 M「誰かと比べることには興味がなく、とにかく自分たちが好きでいられるもの、納得できるものを奏でたい。そうすれば共感は自然に得られると信じています」 F「時には伝統を超越した視野を持って、境界を越え、新しい世界を開いていきたいです」 理想とするものは共通し、互いに尊敬し合っていながら、二人の性格はまるで異なるという。 F「彼女は直感的なタイプ。僕は論理的に熟考して物事を進めるほう。全然違う道を通って、最後は同じ場所に辿りつきます」 公演のテーマは「Figures」(フィギュール)。デュティユーの「響きの形(Figures de résonnances)」から着想したもので、「異なる時代において、モノをさまざまな方向から見るということを、音楽でやればおもしろいのではないか」というコンセプトのもと、20、21世紀の作品を選んだ。 M「まずは同時代に別の場所で生きたプーランクとルトスワフスキを取り上げます。一方、同じ頃ロシアで活躍したツファスマンの作風がジャズに向かったのは、興味深い点。彼の『ジャズ組曲』は手拍子したくなるような魅力的作品です。『月の光』は、原曲より深い音や輝く音を聴くことができるデュティユー編曲版。また、私たちのために書き下ろされた久保洋子氏の作品も、フランスで学んだ作曲家が日本で生み出した作品という意味でおもしろいつながりが見えると思います」 F「作品の関連を大切に、一つの時空間に共存する意味のあるものを選びました。来てくれた方が何かを受け取って帰ることができる。そんな音楽を届けたいです」 高め合う二人が生み出す妥協のない音楽。ぜひライヴで体験したい。2/21(土)15:00 杜のホールはしもと問 チケットMove 042-742-9999 https://www.hall-net.or.jpシリーズ杜の響き Vol.30 佐藤俊介(ヴァイオリン) & 小菅 優(ピアノ) デュオ“新時代”の到来を告げるデュオ文:宮本 明小菅 優 ©Marco Borggreve佐藤俊介 ©Sakai Koki 世界を舞台に活躍するヴァイオリニスト佐藤俊介とピアニスト小菅優。同世代の彼らには、ともに幼稚園や小学校の頃から海外で暮らして音楽を学んできたという共通点もある。2人の共演は2009年以来とのことだが、15~16歳の頃から交流があり、互いの音楽も性格も知り抜いている間柄。曲目はストラヴィンスキー「イタリア組曲」、シマノフスキ「神話」より「アレトゥーサの泉」、ラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ」「同遺作」、フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」。最初に小菅から提案されたというラヴェルの遺作ソナタを軸に、関連性のある作曲家という視点から、ラヴェルの師匠のフォーレ、友人だったストラヴィンスキー、印象派の影響を受けたシマノフスキと、19世紀末から20世紀初頭の作品が並んだ。フランス音楽をキーワードに、この時代の多彩さを提示したプログラムでもある。木のぬくもりが五感にやさしい「杜のホールはしもと」で気鋭の2人のデュオを堪能する午後。
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