eぶらあぼ 2015.2月号
195/205
240スヴェトラーナ・ザハロワ日本バレエ協会『コッペリア』東京バレエ団 創立50周年記念シリーズ10『ジゼル』ヴィハレフ版で舞う実力派3キャストの魅力ザハロワ&ボッレ、即日完売! 追加公演決定文:新藤弘子文:渡辺真弓 東京バレエ団の創立50周年記念シリーズもいよいよフィナーレ。シリーズ、掉尾を飾るのはロマンティック・バレエの名作『ジゼル』全2幕。ドイツの農村を舞台に、村娘ジゼルの純愛と恋人アルブレヒトの裏切りを主題に扱ったアダン作曲のバレエで、現実的な第1幕と妖精の異国的な第2幕と2つの世界の対比が大きな見どころとなっている。演出・振付には、ボリショイ・バレエのラブロフスキーやワシーリエフの改訂が加えられ、格調高い制作に定評がある。 東京バレエ団は、従来から世界一級のゲストを迎えてこの名作を上演してきたが、今回は、先のボリショイ・バレエ来日公演で絶賛を博した女王スヴェトラーナ・ザハロワとイタリアの生んだ貴公子ロベルト・ボッレが客演するのが話題。前売りは2日間とも完売となり同キャストでの追加公演(3/12)も決まった。その前評判に違わぬ“世紀のカップル”の名演を堪能させてくれることだろう。3/7(土)18:00、3/8(日)13:30/18:00 東京文化会館問 日本バレエ協会03-5437-0372 http://www.j-b-a.or.jp3/12(木)~3/15(日) ゆうぽうとホール、3/21(土・祝)14:00 妙高市文化ホール 問 NBSチケットセンター03-3791-8888 http://www.nbs.or.jp 古典バレエと一口に言っても、その奥は深い。時代とともに音楽や構成の見直しが行われ、さらに振付家たちの独自の解釈や思い入れが加わって、ひとつの作品にもさまざまなバージョンが存在するからだ。現代の感覚に合わせて改訂された作品も楽しいが、もしも作品が初演された時代にタイムスリップできたら、どんな発見があるのだろう? そんなバレエ・ファンの思いに応えてくれそうなのが、日本バレエ協会の『コッペリア』だ。振付のセルゲイ・ヴィハレフは、多くの有名作品の復刻に情熱を燃やし、成果を挙げてきた気鋭の振付家。この『コッペリア』は、パリ・オペラ座での初演から14年後の1884年にマリウス・プティパがロシアで上演したバージョンを出来る限り忠実に再現した。これによってロシアの舞台芸術賞である「黄金のマスク賞」を受賞した。初演版からカットされた踊りも含まれているという〈ヴィハレフ復刻によるプティパ版〉の『コッペリア』が興味をそそるのはもちろんだが、これを観ることで他のバレエ団の『コッペリア』もより面白く感じられるのでは、という欲張りな期待も盛り上がる。 主役スワニルダとフランツは、下村由理恵と芳賀望、法村珠里と浅田良和、志賀育恵と橋本直樹という、いずれも魅力的な配役だ。コッペリウスら脇役も実力者が固める。都民芸術フェスティバル参加公演のため、比較的低価格なのも嬉しい。この機会にぜひ劇場へ足を運びたい。 そしてもう1組は、渡辺理恵と柄本弾のフレッシュ・ペア(3/14)。渡辺は、抜群のプロポーションに清楚な雰囲気が持ち味で、『ドン・キホーテ』の森の女王などで活躍。一方、柄本はノイマイヤー版『ロミオとジュリエット』や『ドン・キホーテ』など次々に大作に主演し進境著しい。今回の初共演にも期待がかかる。 『くるみ割り人形』と『眠れる森の美女』に続いて、アーティスティック・アドバイザーのウラジーミル・マラーホフが指導に携わるのも心強い。芳賀 望浅田良和©Jun Kimoto橋本直樹下村由理恵法村珠里志賀育恵ロベルト・ボッレ渡辺理恵©Nobuhiko Hikiji柄本 弾©Nobuhiko Hikiji
元のページ