eぶらあぼ 2015.2月号
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239新国立劇場バレエ団2014/2015シーズン、いよいよ佳境に!!シーズン・ゲスト・ダンサーの魅力全開『ラ・バヤデール』ほか話題のラインナップ文:守山実花 今注目すべきバレエ・ダンサーは? と問われたたら、まずワディム・ムンタギロフの名前を挙げたい。テクニックはもちろん、表現力、音楽性にも優れ、立ち居振る舞いには隙がなく、かつ品格がある。パートナーとの一体感、パートナーリングも申し分ない。先の新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』公演で踊ったデジレ王子では、その美質が役の上に結実し、見事なダンスール・ノーブルぶりを見せてくれた。 2014年春、イングリッシュ・ナショナル・バレエから、英国ロイヤル・バレエに移籍。本人も「与えられる役、作品、ほとんどが初めてのもの」と語るように、次々と新しいレパートリーに挑戦、その表現力に磨きをかけている。この先さらに大きく飛躍していくであろうダンサーだ。 幸いにも私たちは続けて全幕作品に主演するムンタギロフを観ることができる。彼は新国立劇場バレエ団の2014/2015シーズン、シーズン・ゲスト・ダンサーなのだから。 2月は『ラ・バヤデール』で戦士ソロ『ラ・バヤデール』 2/17(火)~2/22(日) 新国立劇場 オペラパレス 問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jp/balletCatch Upルを演じる。ムンタギロフというと、ノーブルなプリンスのイメージが強いが、彼自身は、強く、勇敢な役を演じることも楽しんでいるという。戦士らしい、ダイナミックな雄々しいダンスを見せてくれることだろう。恋人である舞姫ニキヤと、政略結婚で妻合わされるガムザッティ、2人の間で揺れ動く心理をどのように演じるのか、ロイヤル・バレエで培われている演技力にも期待したい。パートナーは、繊細で情感豊かな小野絢子。似合いのペアになりそうで楽しみだ。 『ラ・バヤデール』は、古典バレエの様式美、息を呑むスペクタクル性、そして愛憎渦巻くドラマを堪能できる作品。キャストによる解釈・演技の違いを見比べるのも興味深い。長田佳世/菅野英男、米沢唯/福岡雄大、それぞれのペアが作り上げるドラマにも注目したい。また「影の王国」の導入シーンでは、新国立劇場バレエ団が誇る、統一感ある女性群舞の美しさを味わえるだろう。 ムンタギロフは、『白鳥の湖』(6/10~6/14)にも主演。『眠れる森の美女』で息の合ったパートナーシップを見せた米沢唯と再びペアを組む。シーズン・ゲストとして3作目になるこの作品では、カンパニーとの一体感もさらに高まっているのではないだろうか。シーズンを通して共演を重ねることで、ダンサーたちも、ムンタギロフからたくさんのものを吸収するに違いない。 ほかの上演作にも触れておこう。新制作『トリプル・ビル』(3/14~3/22)では、レパートリーの『テーマとヴァリエーション』、『ドゥエンデ』に加えて、男性だけの作品、ロバート・ノース振付『トロイ・ゲーム』が初演される。『トリプル・ビル』は、さまざまなダンサーにチャンスが与えられる機会でもある。若いダンサーたちの活躍にも期待したい。ローラン・プティ振付『こうもり』(4/21~4/26)は、エンターテインメント性と芸術性が程よく融合した、文句なしに楽しい作品。ABTのエルマン・コルネホがゲスト出演するほか、『シンデレラ』で主役デビューを果たした井澤駿がヨハンを踊るのにも注目だ。ワディム・ムンタギロフ『眠れる森の美女』©鹿摩隆司『ラ・バヤデール』©瀬戸秀美

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