eぶらあぼ 2015.1月号
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75第103回 スーパー・リクライニング・コンサート2015.3/6(金)15:00/19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jpオール無伴奏に挑む期待の新星取材・文:渡辺謙太郎Interview岡本誠司(ヴァイオリン) 近年、才能豊かな若手を輩出している日本ヴァイオリン界に、またも期待の新星が現れた。2014年7月にドイツの国際バッハ・コンクールで日本人初優勝を飾った岡本誠司だ。現在、東京芸大に在学中の20歳だが、インタビューでの語り口は実に明晰で温厚。コンクールでもその人柄を反映した演奏が高い評価を得たのだろう。その岡本がHakuju Hallで開催されるスーパー・リクライニング・コンサートに出演する。プログラムは、コンクールの本選でも演奏したバッハのシャコンヌを軸に、ビーバー、テレマン、パガニーニ、エルンスト、イザイ、プロコフィエフという7つの無伴奏作品。 「オール・バッハも考えたのですが、無伴奏の歴史のダイナミズムを感じてもらえるような公演もいいなと思いまして。ヴァイオリン1挺だけで弾き通すのは、音響のいいホールでないと厳しい。残響が温かくクリアなHakuju Hallだからこそ実現した企画です」 今回で103回目を迎えるリクライニング・コンサートだが、オール無伴奏というのは当公演が初めてだという。 「大変光栄ですし、やりがいを感じています。ビーバーのパッサカリアとバッハのシャコンヌは同じ形式でも中身はまったく違いますし、イザイやプロコフィエフのような近現代作品では形式や奏法自体が大きく変わってくる。1曲でもいいから、皆さんそれぞれのお気に入りが見つかると嬉しいですね」 3歳でヴァイオリンを始めた岡本は、東京芸大附属高時代から澤和樹に師事。近年はチェリストの鈴木秀美の下でピリオド奏法も学んでいるが、バッハ・コンクールではモダン楽器を選択したそうだ。 「このコンクールは、楽器も奏法も選択が自由。参加者も審査員もバラエティ豊かで面白いコンクールでした。『大好きなバッハを、ピリオド奏法を考慮しながらモダン楽器で弾いてみたい』という、ここ数年ずっとやってみたかったことが実現して幸せでした」 岡本は、2010年のバッハ・コンクール第2位で、同じく鈴木秀美と繋がりがある佐藤俊介を大変尊敬しているという。 「モダン楽器とピリオド楽器を状況に応じて弾き分けながら、ソロ、室内楽、協奏曲と幅広く活躍する俊介さんは、僕の理想です」 今後の展望を、「バッハと同じくらいブラームス作品が好き。作品が作られた時代や背景を深く頭で考えて心で感じとりながらも、それにとらわれすぎない柔軟な活動をしていきたいです」と語る彼が、今回のパガニーニやイザイなどをどう弾くかも実に楽しみだ。2015.2/4(水)18:30 日経ホール問 日経ミューズサロン事務局03-3943-7066 http://www.nikkei-hall.com第433回 日経ミューズサロン カール=ハインツ・シュッツ(フルート)“魔法の音色”を味わおう文:笹田和人 音楽好きなら、一度は彼の吹くフルートの音色を耳にした経験があるはず。名門ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務め、ウィーン・リング・アンサンブルなど数々の室内アンサンブルで、骨太かつ温かな美音を披露しているカール=ハインツ・シュッツ。待望だった東京での初リサイタルが、日経ミューズサロンで実現する。クラクフ国際はじめ数々の名門コンクールを制し、ソリストとして一線のオーケストラと共演を重ね、PMFなどで後進の指導にも力を注ぐ名手。ウィーンに学び、国際的な活躍を続けるピアノの村田千佳と共演するステージは、ハイドンの「ソナタハ長調op.74」で、幕開けを告げる。そして、シュッツ自身の編曲によるプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」組曲を、ブラームスの「クラリネット・ソナタop.120」を原曲とするソナタ第1番と同第2番で挟み込むという、実に興味深いプログラム。世界中の耳を釘付けにしている、魔法の音色へ間近に触れてみたい。

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