eぶらあぼ 2015.1月号
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73います。音楽は無限のエネルギーを与え、それを通して、世界中の様々な文化を体験し、そこから多くのことを学ばせてくれます。引き続き、現代の作品に取り組みつつ、ロマン派の作品も勉強したい。それに加えて、クラシック音楽ファンをさらに増やし、ステージを通して、私の音楽的な体験を皆さんに伝えていくことも、自分の使命だと思っています」©Uwe Arens無伴奏リサイタル2015.1/13(火)19:00 浜離宮朝日ホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 http://www.pacific-concert.co.jp準・メルクル(指揮) 読売日本交響楽団との共演2015.1/10(土)14:00 東京芸術劇場、1/11(日)14:00 横浜みなとみらいホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jpダニエル・ミュラー=ショット(チェロ)音楽は芸術における最も重要な言語です取材・文:寺西 肇Interview 優雅な音色と洗練された音楽性で世界の聴衆を魅了するチェリストのダニエル・ミュラー=ショットが、待望の再来日。無伴奏リサイタルに加え、読売日本交響楽団との共演も予定されている。 「様式の対比を大切にした」という、意欲的な選曲の無伴奏リサイタルは、バッハの組曲第2番・第5番を大枠に据え、ヒンデミットとプロコフィエフ、そしてクラムのソナタを挟み込むという骨太なプログラミングだ。 「バロックからロマン派、そして現代へと、聴衆と共に旅することは、私にとって、とても魅惑的な経験です」 様々な形態のステージの中で「最も難しいのは無伴奏リサイタル」と言い切る。 「チェリストとして考え得る限りの、あらゆる音楽的な次元を、誰の助けも得ずに創造しなければならない。その厳しい状況の中、聴衆の皆さんの集中力が、コンサート成功への重要な鍵となるのです」 準・メルクル指揮の読売日本交響楽団との共演では、チャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」を披露する。 「多様性があり、大変魅力的な作品です。この曲が音楽史に残った理由の一つに、チェリストの助言がありました。チャイコフスキーは、親友のフィッツェンハーゲンのためにこの曲を書きましたが、彼が変奏の順序変更を主張し、遂に仲違いしてしまうのです。でも、結果的にはチャイコフスキーはそれを了承し、名人芸的な変奏は最後に演奏されることになったのです。この変更のお陰で、この作品は名作として今日まで演奏され続けているといっていいでしょう」 ドイツのミュンヘン出身。「母親が演奏家で、家には常に音楽があった」と言う彼の、チェロとの出会いは8歳。 「ヨーヨー・マがコリン・デイヴィス指揮のバイエルン放送交響楽団と、シューマンのチェロ協奏曲を演奏するのをホールの2階席で聴きました。私は温かいチェロの音色に瞬く間に魅せられてしまい、すぐにチェロを習わせてくれるようにと両親への説得を始めたのです。私と同様に音楽に感動する機会に恵まれれば、もっと多くの若者が、この世界を志すかもしれません」 そんな彼にとって、音楽とは、そしてチェロとはどのような意味を持つのだろうか。 「音楽とは、私にとって、芸術における最も重要な言語。そして、私はチェロという声を持っていることに感謝して2015.2/8(日)14:00、2/9(月)19:00、2/10(火)19:00、2/11(水・祝)14:00サントリーホール ブルーローズ(小)問 クラシック事務局0570-012-666 http://www.fujitv.co.jp/events/classic-barClassic Bar ~in Blue Rose vol.2~ワインと音楽の粋なマリアージュ文:渡辺謙太郎左より:川久保賜紀 ©Yuji Hori、横山幸雄 ©Masafumi Nakayama、槇田貴久 美味しい飲み物や軽食と、一流の音楽に酔いしれる大人のひととき。サントリーホールのブルーローズで産声を上げた注目企画『Classic Bar ~in Blue Rose』の第2弾が、年明け2月に行われる。前回の「ウイスキー」に続き、今回は「ワイン」をテーマにした2部構成。第1部は、池袋の人気ワインバー「葉隠」のオーナーソムリエ・槇田貴久のトークライブで、テイスティングをまじえてワインの嗜み方をレクチャーする。「洋のワインを和の心で楽しむ」を提唱する槇田の話は、西洋クラシック音楽と日本人の付き合い方にも多くの示唆を与えてくれることだろう。そして第2部は、ヴァイオリンの川久保賜紀(2/8&2/9 ピアノ:江崎昌子)とピアノの横山幸雄(2/10&2/11)の実力派2人によるリサイタル&トーク。毅然さと柔軟さが絶妙にバランスした川久保の演奏はワインと相性がよさそうだし、ワインエキスパートの資格を持つ横山がどのような選曲で音楽と“マリアージュ”するかも楽しみだ。
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