eぶらあぼ 2015.1月号
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67夜クラシック Vol.3 菊池洋子(ピアノ) & Vol.4 小川典子(ピアノ)アフターワークでも気軽に楽しめる本格コンサート文:オヤマダアツシ第44回 サントリー音楽賞受賞記念コンサート藤村実穂子(メゾソプラノ) 世界屈指のメゾソプラノを称えて文:山崎浩太郎Vol.3 菊池洋子(ピアノ) 2015.1/23(金)20:00 Vol.4 小川典子(ピアノ) 2015.3/13(金)20:00文京シビックホール問 シビックチケット03-5803-1111 http://www.b-academy.jp2015.2/16(月)19:00 サントリーホール問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017 http://www.suntory.co.jp/sfa 夜の8時から1時間、気軽に聴ける低料金、女性ピアニストたちが「いま聴いて欲しい曲」を演奏。文京シビックホールの人気シリーズになりつつある『夜クラシック』は、首都圏のホールでも珍しい企画であり、登場するピアニストが個性を発揮してプログラムを組んでいる。その第3回に登場するのは菊池洋子、第4回は小川典子だ。 菊池は「念願がかなって初めてのコンサート披露」だと語るシューマンの「幻想小曲集op.12」、そして得意のモーツァルトからピアノ・ソナタ第14番を演奏する。8曲の小品から成るシューマンではファンタジーやイマジネーションを大切にし、モーツァルトではオペラをピアノ1台で上演するようなアプローチ(音色、ニュアンス、遠近感など)で楽しませてくれる。また、このシリーズでは、テーマとして誰もが1曲目にドビュッシーの「月の光」を演奏することになっているのだが、菊池のド 藤村実穂子の歌をはじめて聴いたのは、2001年のことだった。 新国立劇場の《ラインの黄金》でフリッカを歌ったときである。夫である主神ヴォータンにたえまなくお小言を浴びせるこの役を、けっして歌のフォルムをくずさずに骨格を保ちながら、きわだった存在感で表現してみせたその知性的な歌唱は見事なもので、翌年夏のバイロイト音楽祭でこの役を歌うことになっていると聞いて、それもしごく当然と納得した記憶がある。 藤村はこの出演によって、バイロイト音楽祭で主要キャストを歌う、史上はじめての日本人歌手となる快挙を達成したのだが、それよりも重要なのは、それから9年連続で出演して、さまざまな役柄を歌ってみせたことである。さらに世界各国の一流歌劇場に招かれるだビュッシーは珍しいかもしれない。 一方の小川は「小学生の時にアンドレ・ワッツのコンサートで聴いて感激した」というドビュッシーの「水の反映」をはじめ「沈める寺」ほかの名曲を。さらには武満徹の「雨の樹素描」や、「キラキラと輝いている一面だけではなく、異様で陰のある側面を紹介したい」というラヴェルの作品も加わり、得意のフランス音楽を軸としたプログラムだ。「似ているようで三者三様」だというけでなく、オーケストラのコンサートやリート・リサイタルでも活躍してきた。 その藤村が第44回サントリー音楽賞を受賞して、記念コンサートを開くと聞いて、正直な感想は「まだもらっていなかったのか」という驚きである。彼女の国際的な活躍ぶりからして、すでにこの賞を受賞しているものとすっかり思い込んでいたのだ。 当日の曲目は、彼女のキャリアをまさに集約したもの。ワーグナーの楽劇と歌曲に、サン=サーンスとチャイコフスキーのオペラ・アリア、それにバッハとシューベルト。指揮はクリストフ・ウルリヒ・マイヤー、管弦楽は新日本フィルハーモニー交響楽団だ。なかでもシューベルトの「魔王」は、どうやら珍しいオーケストラ伴奏版で歌ってくれるらしいので、これも楽しみだ。音楽の描き分けが小川の真骨頂。 気軽に、でも本格派の『夜クラシック』に注目を。小川典子 ©S.Mitsuta菊池洋子 ©Marco Borggreve ©R&G Photography
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